[スポンサーリンク]

ケムステニュース

Arena/エーザイ 抗肥満薬ロルカセリンがFDA承認取得

[スポンサーリンク]

 エーザイ株式会社は、アリーナ・ファーマシューティカルズ・インク(Arena Pharmaceuticals, Inc.)が、2012年6月27日に「BELVIQ®」(一般名lorcaserin hydrochloride)について、BMIが30kg/m2以上、あるいは少なくとも1つ以上の合併症を患うBMIが27kg/m2以上の成人患者の体重管理を目的とした食事療法と運動療法に対する補助療法としてFDA承認を取得したと発表した。

 

 

本剤は、米国麻薬取締局によるスケジュール審査が完了した後に発売となる。また、安全性および有効性を分析するため発売後6回にわたりポスト・マーケティ ング・スタディを実施する。エーザイはアリーナ社から米州20カ国における独占的販売供給ライセンスを得ておりアリーナ社が生産し、エーザイ・インクが販売活動を行う事となる。

米国における肥満症治療において13年ぶりの新薬承認となる。アナリストのエドワード・テントホフ氏は、売上高は2020年に約20億ドル(約1590億円)に達すると予想し、「米国民の3分の2は太り過ぎか肥満体であるため計り知れない機会が存在する」と語った。

2年半という長い審査機関を経て、13年ぶりの抗肥満薬ロルカセリンがFDA承認されました。ロルカセリンは、セロトニン受容体アゴニストであり、選択的に脳内セロトニン2C受容体を刺激することで、少量の食事でも満腹感を得ることができるようになって体重を減少させると考えられています。

ここまで審査が長引いたのは、幾つかの理由が挙げられています。

  1. ダイエット薬は過去に副作用渦が数多く発生している事
  2. アメリカで過去に承認されていたフェンフルラミン(非選択的セロトニンアゴニスト)が、強い副作用のため1997年に使用禁止となっている事
  3. ロルカセリン自身も、高投与量における動物試験での発がんリスクや心臓弁膜症のリスクが指摘されている事

一方で、それでもなお承認された理由として、以下の理由が挙げられています。

  1. 副作用懸念は小さいというメーカー側の自信
  2. 高まる肥満率の一方で13年間も新薬が出ない領域での、新薬候補へのFDAの期待
  3. 審査に妥協しないための、安全性/有効性確認のポスト・マーケティ ング・スタディへの同意

ロルカセリンの創薬については、「つぶやき」に書きましたので、併せてご覧ください。

 

関連記事

肝はメチル基!? ロルカセリン

関連記事

  1. 理化学研究所、植物の「硫黄代謝」を調節する転写因子を発見
  2. 世界5大化学会がChemRxivのサポーターに
  3. 令和元年度 のPRTR データが公表~第一種指定化学物質の排出量…
  4. カネカ 日本の化学会社初のグリーンボンドを発行
  5. アルコール依存症患者の救世主現る?
  6. 化学は切手と縁が深い
  7. 京大融合研、産学連携で有機発光トランジスタを開発
  8. 自動車のスリ傷を高熱で自己修復する塗料

注目情報

ピックアップ記事

  1. リチウム二次電池における次世代電極材料の開発【終了】
  2. 黒田 玲子 Reiko Kuroda
  3. ダイアモンドの双子:「神話」上の物質を手のひらに
  4. 柔軟な姿勢が成功を引き寄せた50代技術者の初転職。現職と同等の待遇を維持した確かなサポート
  5. DNAに人工塩基対を組み入れる
  6. シュプリンガー・ネイチャーが3つの特設ページを公開中!
  7. デレピン アミン合成 Delepine Amine Synthesis
  8. 化学者のためのエレクトロニクス入門② ~電子回路の製造工程編~
  9. 近況報告PartIV
  10. 製薬、3強時代に 「第一三共」きょう発足

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP