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化学者のつぶやき

近況報告PartIV

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昨年秋に近況報告をさせていただきました。色々溜まりすぎて、雑多な話題になってしまいますが、ケムステ代表の8ヶ月ぶりの近況報告です。最近スタッフも少し忙しいので記事もすこし減少気味。でも化学者のつぶやきなんでなにを話してもいいのです。それでは夜も更けて朝日が見えたこの時間のテンションで近況報告です(執筆時)。

 

研究室が変わりました

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と書くと、「え、独立したの?」と思われるかもしれませんが、残念ながらそうではありません。所属も変わっていませんし、今までいた伊丹研究室から歩いて100mほどの同じ階のITbMミックスラボに移っただけです。なんですかそれは?と思った方、

世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)」はご存知でしょうか。文科省のウェブサイトから引用すると

本事業は、高いレベルの研究者を中核とした世界トップレベルの研究拠点の形成を目指す構想に対して政府が集中的な支援を行うことにより、システム改革の導入等の自主的な取り組みを促し、世界から第一線の研究者が集まる、優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える拠点」の形成を目指しています。

とあります。

このWPIに昨年、名古屋大学が選ばれまして、「分子で世界を変える」をキャッチフレーズにトランスフォーマティブ生命分子研究所(ITbM:アイティービーエム)というものを立ち上げました(拠点長:伊丹健一郎教授)。そのため、化学と生命科学との融合のためまずはラボを”ミックス”しましょうということで、新しいラボ、「ミックスラボ」が立ちあがったけです。筆者は4月からこの研究所の連携研究者となりました。

現在ミックスラボは2つあり、筆者がいるところは5研究室からの精鋭が入って総勢約約20名。分液を振っているとなりで、植物を育てて、細胞培養をしているといった今までにない環境になっています。既に融合したプロジェクトは走っており、隣でお互いを刺激しあえるといった素晴らしい環境で研究をしています。

スタッフは伊丹研究室から筆者と伊藤英人講師、工学部の大井研から大松亨介特任講師、同じ理学部から中道 範人特任准教授、7月から新たに農学部から1人特任准教授が加わりました。学生や研究員も精鋭を集めました。研究室の立上げからでしたが仲の良いメンバーなのでとっても楽しくやっています。近いうちに面白い結果がでてくるのではと思います。

詳しくはITbMウェブサイトをご覧あれ!

 

藤コロ、金コロ、柴コロ!

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昨年はありがたいことに、天然物談話会と構造有機若手の会という2つの若手の会に呼んで頂きました(過去記事参照)が、今年は6月下旬から、7月にかけて3つの研究室主催のコロキウムに呼んでいただきました。

一番手は今年(いつもですが)驚愕の研究結果を出されている東京大学の藤田研究室によるコロキウム。非常に歴史のあるコロキウムであり、呼んでいただけて光栄です。研究はもちろんケムステの話や学生のモチベーションを如何にあげるかというお話をしてください。ということなので研究は少しだけにしてできるだけ面白い裏話をしたいと思います。研究の話はどこぞやの講演会に参加していればきけるので。

二番手は東京大学金井研究室金井先生はERATOで「生体分子をターゲットとして細胞内で化学反応を進行させる人工触媒システム」の創出と展開を推進しています。なんと現在総勢70名を超えたようで、研究室1つの会ではないですよね。ケムステ副代表もいるので楽しみです。

と、下書きを書いているうちに既に上記の2つのコロキウムに参加してきました。合計質問時間も含めて5時間ほど話しました。藤田先生、金井先生をはじめスタッフの方々と深くお話ができて非常に有意義な時間をすごせました。さらに学生さん(と若手スタッフの方)飲み会とラーメン一緒にいっていただいてありがとうございました!

 

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藤田研究室で

三番手は微生物科学研究所の柴崎研究室。まさか金井研究室と柴崎研究室から同時に呼ばれると思っていませんでした。ありがたい限りです。ポスドクが日本人ではない方ばかりなので英語でお願いしますということでした。微化研にはいったことがないので非常に楽しみです。

その間も万有札幌シンポジウムへ札幌に、後にはPreOMCOSOMCOSへ米国コロラドにいくので、夏は外出ばかりとなりそうです。

 

講演会を主宰

個人研究者レベルの化学者の講演会は最近、ボスの代理も含めて増えてきましたが、直接化学研究に携わらないひとの講演会を開いたことはありませんでした。

少し前の話になりますが、小林隆司さんという元「試してガッテン」や「サイエンスゼロ」などのディレクターを務め、現在NIMSの広報チーム長である方をスキルアップセミナーとして招待しまして講演をしていただきました。最近、NIMSのウェブサイト「材料のチカラ」の発案もされている方です。

小林さんとは化学コミュニケーション賞の授賞式でお知り合いになり、その場でテレビ局で培った「伝える技術」を題材にした素晴らしい講演を聴き、目からウロコ。ぜひ学生に聞かせたいということでお招きして講演会を開くことになったのです。2時間みっちりしゃべっていただきまして、大変素晴らしい講演会でした。学生が全く寝ていなかったのがその証拠w。とってもお忙しいと思いますが、もし皆様もご興味があればぜひお招きしてみてはいかがでしょうか。

 

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もうひとつ。今月17日に「分子科学のライジングスター」という大それたタイトルで名古屋大学でフォーラムを開きます。35歳以下と限定して分子を扱う各分野の将来を担う、ライジングスターをお招きしました。実はケムステも協賛しているので後ほど会告を出させていただきます。お近くの方は、是非是非お越し下さい。

 

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まとめともう一段階段をのぼる

 

日本化学会の進歩賞をいただいて、研究もこれから飛躍の年。昨年の夏のサバティカルからまとめばかりであんまり論文書いていなかったので春から新しいものを2報(掲載済、掲載決定済)、今月中になんとか2報(執筆済み)、夏までにあと3報(半分ぐらい)を出したいと思います。前回から出した論文、総説に関しては以下参照。

 

“Aromatic C–H Coupling with Hindered Arylboronic Acids by Pd/Fe Dual Catalysts”

Yamaguchi, K.; Kondo, H.; Yamaguchi, J.; Itami, K. Chem. Sci. 2013, Accepted Manuscript. DOI: 10.1039/C3SC51206A

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“Synthesis of Thiophene-Based TAK-779 Analogues by C–H Arylation”

Junker, A.; Yamaguchi, J.; Itami, K.; Wünsch B. J. Org. Chem. 2013, 78, 5579. .DOI:10.1021/jo400692p

 

“Nickel-Catalyzed Direct Coupling of Heteroarenes”

Yamaguchi, J.; Muto, K.; Amaike, K.; Yamamoto, T.; Itami, K J. Synth. Org. Chem. Jpn. 2013, 71, 576.

 

“Improvement of σ1 receptor affinity by late-stage C–H bond arylation of spiro cyclic lactones”

Meyer, C.; Neue, B; Schepmann, D.; Yanagisawa, S.; Yamaguchi, J.; Würthwein, E. U.; Itami, K.;  Wünsch, B.; Bioorg. Med. Chem.  2013, 21, 1844.DOI: 10.1016/j.bmc.2013.01.038

 

“Pd-catalyzed direct C-H bond functionalization of spirocyclic sigma-1 ligands: generation of a pharmacophore model and analysis of reverse binding mode by docking into a 3D homology model of the sigma-1 receptor”

Meyer, C.: Schepmann, D.: Yanagisawa, S.: Yamaguchi, J.:  Dal Col, V.:  Laurini, E.: Itami, K.;  Pricl, S.; Wünsch B.; J. Med. Chem. 2012, 55, 8047.DOI: 10.1021/jm300894h

 

“Recent Progress in Nickel-Catalyzed Biaryl Coupling”

Yamaguchi, J.; Muto, K.; Itami, K. Eur. J. Org. Chem. 2013, 19. DOI: 10.1002/ejoc.201200914

 

“New Cross-coupling Reactions through Nickel Catalysis”

Yamaguchi, J.; Amaike, K.; Muto, K.;  Itami, K. Catalysis 2013, 624-645

 

そういえば、書籍も書きました(チャプター1つ)。結構前ですが、今年の12月にようやく出版されるようです。ベストセラーであるMetal Catalyzed Cross-Coupling Reactionsの後継本。良い本だと思いますので興味があればご購入を。

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“Biaryl Synthesis through Metal-Catalyzed C-H Arylation”

Yamaguchi, J.; Itami K.; Metal Catalyzed Cross-Coupling Reactions and More; Wiley-VCH,  2013. in press.

 

化学コミュニケーション賞とケムステのこれから

上述したように今年3月に化学コミュニケーション賞をいただきました。PVも240万PV/月を超え、益々加速する化学ネットワーク。まずはぜひご参加いただければと思います。(記事:ケムステスタッフになりませんか?)

さらに次回の近況報告までに公約として掲げたいのが、次の3つ。

 1. サイエンスアゴラへの参加

2. 新しいコンテンツの計画(【仮題】セルフレビュー)

3. 国際版の公開(必ず)

 

まずは、長年検討していたサイエンスアゴラへの参加。今年は密かにケムステノベリティーグッズを作成して、スタッフが参加する予定です。また、最近、Altmetrics Scoreのにほんブログ部門で採用されたので、様々な面白い論文を紹介して行きたいと思います。その紹介方法の一つとして行うセルフレビュー。まだ内容は秘密です。最後に前回からお話している国際版の公開。急務ですがなかなか忙しくてできないでいましたが、次回の近況報告までは必ず公開したいと思います。

それではまた次回の近況報告にて。

 

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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