[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

comparing with (to)の使い方

[スポンサーリンク]

副詞の役割を果たす「comparing with (to)」もよく誤って用いられる語です。以下にその典型的な英語論文での誤用例と修正例を示します。

[誤] Comparing to the previous results, the present results are much more complete.

[正] The present results are much more complete than the previous results.

[誤] Comparing with the thermal velocity, u is quite small.

[正] In comparison with the thermal velocity, u is quite small.

上記2つの誤用例にはともに文法的な誤りが存在します

「comparing with (to)」は全体として副詞の働きをしますが、その中の「comparing」は分詞句を導く現在分詞だということに注目してください。

一般に現在分詞句が文頭に置かれる場合は、その後ろに来る節の主語は現在分詞の主語と同一でなければなりません。(同一でない場合には、分詞が「懸垂分詞」と呼ばれます。)上記2つの誤用例の場合、現在分詞すなわち動詞「comparing」の主語は、言外に暗示されている「人」(たとえば「we」または「I」)だと解釈されますが、それらに続く節の主語はそれぞれ「results」と「u」となります。現在分詞の主語とその後の節の主語が一致しないため、誤りと言えるのです

以下に「comparing with (to)」が正しく用いられている例を挙げます。

[正] Comparing with the observation for Titan, we identify the following discrepancy.

[正] However, comparing to the unfiltered sample, we can show that our treatment is useful.

上記2つの例文は文法的にはもちろん正しいのですが、以下の例文のように、「comparing」と前置詞「with」や「to」の間に比較の対象となる直接目的語を加えると、より自然な表現になります。

[正] Comparing the present observations with the observation for Titan, we identify the following discrepancy.

[正] However, comparing our sample to the unfiltered sample, we can show that our treatment is useful.

関連した解説についてはグレン・パケット:『科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現』(京都大学学術出版会,2004)の第38章をご参照下さい。

出典元:エナゴ学術英語アカデミー

化学論文での「comparing with (to)」の利用例

This result could be rationalized by comparing the NMR conformations of the cis and trans isomers with the X-ray structure of a non-switchable cyclic RGD-pentapeptide bound to integrin.  引用:10.1039/c1cs15023e

The products were identified by comparing the GC-MS with that of the authentic samples. 引用:10.1021/ja1058247

The origin of the effect of leaving group on ee was revealed by comparing the stoichiometric reactions of the sodium enolate of R-methyl tetralone with the arylpalladium bromide and iodide complexes. 引用:10.1021/ja074453g

%e8%8b%b1%e6%96%87%e6%a0%a1%e6%ad%a3%e3%82%a8%e3%83%8a%e3%82%b4

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 製薬業界における複雑な医薬品候補の合成の設計について: Natu…
  2. 【書籍】「ルールを変える思考法」から化学的ビジネス理論を学ぶ
  3. 鬼は大学のどこにいるの?
  4. Happy Friday?
  5. アルミに関する一騒動 ~約20年前の出来事~
  6. 分析技術ーChemical Times特集より
  7. エステルからエーテルをつくる脱一酸化炭素金属触媒
  8. 有機合成化学協会誌10月号:不飽和脂肪酸代謝産物・フタロシアニン…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー2
  2. (+)-フロンドシンBの超短工程合成
  3. ヒュー・デーヴィス Huw M. L. Davies
  4. パラジウム触媒の力で二酸化炭素を固定する
  5. フロイド・ロムスバーグ Floyd E. Romesberg
  6. ロジャー・コーンバーグ Roger Kornberg
  7. Scifinderが実験項情報閲覧可能に!
  8. ケテンの[2+2]環化付加反応 [2+2] Cycloaddition of Ketene
  9. 多彩な蛍光を発する単一分子有機化合物をつくる
  10. ふるい”で気体分離…京大チーム

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

特許の基礎知識(2)「発明」って何?

特許法では、「発明」に対して特許権が与えられ、特定の人(個人や企業)がその発明を独占的に使えるように…

Arborisidineの初の全合成

インドレニンアルカロイドである(+)-arborisidineの初の全合成が達成された。二つの不斉四…

natureasia.com & Natureダイジェスト オンラインセミナー開催

Natureダイジェスト編集担当者による日本語コンテンツ紹介やnatureasia.comのオンライ…

勤務地にこだわり理想も叶える!転職に成功したエンジニアの話

総合職であれば、本社以外の勤務や転勤を職務の一貫として、身近なものとして考えられる方は多いのではない…

決算短信~日本触媒と三洋化成の合併に関連して~

投資家でなければ関係ないと思われがちな決算短信ですが、実は企業のいろいろな情報が正直に書いてある書類…

複雑にインターロックした自己集合体の形成機構の解明

第199回のスポットライトリサーチは、東京大学総合文化研究科(平岡研究室)博士課程・立石友紀さんにお…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP