[スポンサーリンク]

C

触媒的C-H酸化反応 Catalytic C-H Oxidation

[スポンサーリンク]

 

概要

  • 有機化合物にあまねく存在するC-H結合をアルコールやケトンに酸化する触媒反応の総称(酸化では酸素官能基以外を導入する反応もすべて対称となるため、C–H酸素官能基化反応 C–H oxyganationともいう)。
  • アリル位・ベンジル位(活性C-H)・ヘテロ原子(O,Nなど)の隣接α位は比較的酸化されやすく、選択性高い条件も多く開発されている。一方で不活性C-Hとされるアルカン(sp3 C-H)、芳香環(sp2 C-H)の直接的酸化は、現在でもチャレンジングな化学変換であり、全世界で開発競争が盛んである。

基本文献

  • Shilov, A. E. and Shul’pin, G. B.  Chem. Rev. 1997, 97, 2879. DOI: 10.1021/cr9411886
  • Ishihara, Y.; Baran, P. S. Synlett 2010, 1733. DOI: 10.1055/s-0030-1258123
  • Newhouse, T.; Baran P. S. Angew. Chem. Int. Ed. 2011 50, 3362. DOI: 10.1002/anie.201006368
  • Roduner, E., Kaim, W., Sarkar, B., Urlacher, V. B., Pleiss, J., Gläser, R., Einicke, W.-D., Sprenger, G. A., Beifuß, U., Klemm, E., Liebner, C., Hieronymus, H., Hsu, S.-F., Plietker, B. and Laschat, S. ChemCatChem, 2013, 5, 82. DOI: 10.1002/cctc.201200266

反応機構

 

反応例

  • Periana触媒[1] :メタンをメチルアルコールへと直接かつ選択的に変換できる触媒。条件を選べば酢酸へと変換することも可能。
CHoxidation_1.gif
  • 配向基を持った基質に関しては検討・研究が進んでいる。比較的選択性高く酸化を行うことが可能。Yuらによって開発された例[2]を以下に示す。
CHoxidation_2.gif

  • White触媒を用いる例[3]:活性なアリル位を直接的に酸化する。条件が温和であり、天然物のような複雑化合物の合成にも適用可能。
  • CHoxidation_5.gifマクロラクトン化への適用例[4] CHoxidation_6.gif

 

  • 配向基なしにC-H結合を選択的酸化しうる触媒[5]がWhiteらによって報告されている。[5]CHoxidation_4.gif
  • 電子求引性オキサジリジン触媒を用いる条件[6]
  • CHoxidation_3.gifメチルトリオキソレニウムはC-H酸化の良好な触媒として働く[7]。
CHoxidation_7.gif
  • ルテニウム触媒を用いた触媒的C–H酸化反応[8]
  • クロム酸触媒を用いた触媒的C–H酸化反応は低温で進行する[9]

2015-10-13_09-18-16

実験手順

実験のコツ・テクニック

参考文献

  1. (a) Perianam R. A. et al. Science 1998280, 560. DOI: 10.1126/science.280.5363.560 (b) Periana, R. A. et al. Science 2003301, 814. DOI: 10.1126/science.1086466
  2.  Yu, J.-Q. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 200544, 7420. doi:10.1002/anie.200502767
  3. (a) Chen, M. S.; White, M. C. J. Am. Chem. Soc. 2004126, 1346. DOI: 10.1021/ja039107n (b) Chen, M. S.; Prabagaran, N.; Labenz, N. A.; White, M. C. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 6970. DOI: 10.1021/ja0500198
  4. (a) Stang, E. M.; White, M. C. Nature Chem. 20091, 547 DOI: 10.1038/NCHEM.351 (b) Fraunhoffer, K. F.; Prabagaran, N.; Sirois, L. E.; White, M. C. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 9032. DOI: 10.1021/ja063096r
  5. (a) Chen, M. S.; White, M. C. Science 2007318, 783. DOI: 10.1126/science.1148597 (b) Chen, M. S.; White, M. C. Science 2010327, 566 DOI: 10.1126/science.1183602 (c) Vermeulen, N. A.; Chen, M. S.; White, M. C. Tetrahedron 2009, 65, 3078. DOI: 10.1016/j.tet.2008.11.082 (d) Bigi, M. A.; Reed, S. A.; White, M. C., Nat. Chem. 2011, 3, 216. DOI: 10.1038/nchem.967
  6.  Du Bois, J. et al. J. Am. Chem. Soc. 2005127, 15391. DOI: 10.1021/ja055549i
  7. (a) Wearing, J. T. et al. Tetrahedron Lett. 199536, 6415. doi:10.1016/0040-4039(95)01344-H (b) Hermann,W. A. et al. Angew. Chem. Int. Ed. Engl. 199332, 1157. doi:10.1002/anie.199311571
  8. McNeill, E.; Bois, J. D., J. Am. Chem. Soc.  2010, 132, 10202. DOI: 10.1021/ja1046999
  9. (a) Lee, S.; Fuchs, P. L.,  J. Am. Chem. Soc.  2010, 124, 13978.(b) Lee, S.; Fuchs, P. L., Org. Lett. 2004, 6 ,1437. DOI: 10.1021/ol049712a
  10. Y. Xu.;  Guobing, Y.; Zhi, R.; Dong, G.  Nature Chem. 20157, 829-834. DOI: 10.1038/nchem.2326

 

 関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. マーティンスルフラン Martin’s Sulfur…
  2. 正宗・バーグマン反応 Masamune-Bergman Reac…
  3. ブレデレック イミダゾール合成 Bredereck Imidaz…
  4. ジムロート転位 (共役 1,3-双極子開環体経由) Dimrot…
  5. バートン・ザード ピロール合成 Barton-Zard Pyrr…
  6. ベンザイン Benzyne
  7. カチオン重合 Cationic Polymerization
  8. 向山酸化 Mukaiyama Oxidation

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 錯体と有機化合物、触媒はどっち?
  2. 除虫菊に含まれる生理活性成分の生合成酵素を単離
  3. NMRのプローブと測定(Bruker編)
  4. フィッツィンガー キノリン合成 Pfitzinger Quinoline Synthesis
  5. ストリゴラクトン類縁体の構造活性相関研究 ―海外企業ポスドク―
  6. Z選択的ホルナー-エモンズ試薬:Z-selective Horner-Emmons Reagents
  7. 化学分野での特許無効審判における 実験データの戦略的な活用方法【終了】
  8. 株式会社ジーシーってどんな会社?
  9. 水中マクロラクタム化を加速する水溶性キャビタンド
  10. 生物活性分子のケミカルバイオロジー

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

注目情報

注目情報

最新記事

Carl Boschの人生 その9

Tshozoです。書いてると色々膨らんで収集がつかなくなりますね。ということで前回の続き。W…

創薬・医療系ベンチャー支援プログラム”BlockbusterTOKYO” ビジネスプラン発表会を開催!

東京都が主催し、Beyond Next Ventures株式会社が運営するBlockbuster T…

酸化反応を駆使した(-)-deoxoapodineの世界最短合成

第294回のスポットライトリサーチは、吉田慶 博士にお願いしました。今回取り上げる研究は有機…

特許取得のための手続き

bergです。本記事では特許出願に必要な手続きについてかいつまんでご紹介します。皆さんの研究もひょっ…

「ソーシャルメディアを活用したスタートアップの価値向上」 BlockbusterTOKYO 2020 第9回 研修プログラムを実施!

Blockbuster TOKYOは東京都が主催し、Beyond Next Ventures株式会社…

カルボカチオンの華麗なリレー:ブラシラン類の新たな生合成経路

反応経路の自動探索によりセスキテルペンのトリコブラシレノールの新たな全生合成経路が提唱された。ト…

特許の効力と侵害

bergです。今回は知的財産権の代表格である特許権について、その効力と侵害された/侵害してしまったと…

光レドックス触媒反応 フォトリアクター Penn PhD Photoreactor M2をデモしてみた

いまや有機反応の開発に欠かせなくなった可視光反応場。多くの化学論文誌で毎週必ずいくつかみるほどですね…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP