[スポンサーリンク]

B

森田・ベイリス・ヒルマン反応 Morita-Baylis-Hillman Reaction

[スポンサーリンク]

 

概要

アルデヒド/イミンと電子不足アルケンを用いる、求核触媒による炭素-炭素結合形成反応。アトムエコノミーに優れ、不斉合成へも応用可能。

求核触媒としてはDABCO,?DMAP, DBUなどの環状三級アミンやホスフィンがよく用いられる。

古典的反応条件ではきわめて遅くしか進行しない。ルイス酸の添加は求核触媒をしばしば不活性化する結果になり、また加熱するとアルケンの重合などが併発するため、単純な発想ではこの克服は難しい。現在でも研究のキーポイントとなっている。

近年では不斉有機分子触媒を用いる研究が盛んである。

基本文献

  •  Morita, K.; Suzuki, Z.; Hirose, H. Bull. Chem. Soc. Jpn. 1968, 41, 2815. DOI: 10.1246/bcsj.41.2815
  •  Baylis, A. B.; Hillman, M. E. D. Chem. Abstr. 1972, 77, 34174q.
  •  Drewes, S. E.; Roos, G. H. P. Tetrahedron 1988, 44, 4653. doi:10.1016/S0040-4020(01)86168-8

<Review>

 

反応機構

マイケルアルドール型反応類似の機構で進行する。プロトン移動段階が律速に絡むとされ、この過程をスムーズに行える系が活性の面で優れる。
(参考: Tetrahedron 1992, 48, 6371; Tetrahedron 1993, 49, 6931; J. Org. Chem. 2005, 70, 3980; Org. Lett. 2005, 7, 147; Angew. Chem., Int. Ed. 2005, 44, 1706.) baylis_hillman_2.gif

反応例

Salinosporamide A の合成[1]:分子内Baylis-Hillman反応により、ビシナル位不斉四置換炭素中心を立体選択的に構築している。

baylis_hillman_3.gif

有機触媒β-ICDを用いる触媒的不斉Baylis-Hillman反応[2] baylis_hillman_4.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Rerddy, L. R.; Saravanan, P.; Corey, E. J.J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 6230. DOI: 10.1021/ja048613p
[2] Iwabuchi, Y.; Nakatani, M.; Yokoyama, N.; Hatakeyama, S. J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 10219. DOI: 10.1021/ja992655+

 

関連反応

 

 

関連書籍

[amazonjs asin=”047017577X” locale=”JP” title=”Catalytic Asymmetric Synthesis”][amazonjs asin=”3527305173″ locale=”JP” title=”Asymmetric Organocatalysis: From Biomimetic Concepts to Applications in Asymmetric Synthesis”][amazonjs asin=”3527315225″ locale=”JP” title=”Enantioselective Organocatalysis: Reactions and Experimental Procedures”][amazonjs asin=”4882319136″ locale=”JP” title=”有機分子触媒の新展開 (CMC Books)”][amazonjs asin=”3527298711″ locale=”JP” title=”Modern Carbonyl Chemistry”]

関連リンク

関連記事

  1. 【クリックは完了. よし壊せ!】イミノカルベノイドによる渡環およ…
  2. ワッカー酸化 Wacker oxidation
  3. クリンコヴィッチ反応 Kulinkovich Reaction
  4. 酵素による光学分割 Enzymatic Optical Reso…
  5. バートン・ケロッグ反応 Barton-Kellogg React…
  6. ウーリンス試薬 Woollins’ Reagent
  7. マクミラン触媒 MacMillan’s Cataly…
  8. プラトー反応 Prato Reaction

注目情報

ピックアップ記事

  1. 生きた細胞内でケイ素と炭素がはじめて結合!
  2. 炭素文明論「元素の王者」が歴史を動かす
  3. 同位体効果の解釈にはご注意を!
  4. ラジカルの安定性を越えろ! ジルコノセン/可視光レドックス触媒を利用したエポキシドの開環反応
  5. 夢・化学-21 化学への招待
  6. 最も引用された論文
  7. 白い器を覆っている透明なガラスってなんだ?
  8. マイクロ波プロセスの工業化 〜環境/化学・ヘルスケア・電材領域での展開と効果〜(1)
  9. ストックホルム市庁舎
  10. 今さら聞けないカラムクロマト

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

第69回「見えないものを見えるようにする」野々山貴行准教授

第69回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

第68回「表面・界面の科学からバイオセラミックスの未来に輝きを」多賀谷 基博 准教授

第68回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

配座制御が鍵!(–)-Rauvomine Bの全合成

シクロプロパン環をもつインドールアルカロイド(–)-rauvomine Bの初の全合成が達成された。…

岩田浩明 Hiroaki IWATA

岩田浩明(いわたひろあき)は、日本のデータサイエンティスト・計算科学者である。鳥取大学医学部 教授。…

人羅勇気 Yuki HITORA

人羅 勇気(ひとら ゆうき, 1987年5月3日-)は、日本の化学者である。熊本大学大学院生命科学研…

榊原康文 Yasubumi SAKAKIBARA

榊原康文(Yasubumi Sakakibara, 1960年5月13日-)は、日本の生命情報科学者…

遺伝子の転写調節因子LmrRの疎水性ポケットを利用した有機触媒反応

こんにちは,熊葛です!研究の面白さの一つに,異なる分野の研究結果を利用することが挙げられるかと思いま…

新規チオ酢酸カリウム基を利用した高速エポキシ開環反応のはなし

Tshozoです。最近エポキシ系材料を使うことになり色々勉強しておりましたところ、これまで関連記…

第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り拓く次世代型材料機能」を開催します!

続けてのケムステVシンポの会告です! 本記事は、第52回ケムステVシンポジウムの開催告知です!…

2024年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!

大変長らくお待たせしました! 2024年ノーベル化学賞予想の結果発表です!2…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP