[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

とにかく見やすい!論文チェックアプリの新定番『Researcher』

[スポンサーリンク]

昨今、学術ジャーナルがどんどん乱立しており、もはや全ての論文を追うことは不可能になっています。そんな状況に少しでも楽に対応出来るようなツールを、ケムステでは以前から紹介してきました(末尾の関連記事参照)。

今回は最近登場した新しいアプリ、『Researcher』をご紹介したいと思います。

どんなアプリなの?

新着論文チェック用途に特化したアプリです。

各種SNSアカウントと紐付けてサインアップすれば無料で使えます。またマルチデバイス対応なので、スマホ片手にサクッと新着論文をチェックできます。気になったところをワンタップでブックマークしておけば、あとでまとめてチェックすることもできます。UIは英語のみですが、研究者向けアプリなので大きな問題ではないでしょう。

利点

情報量が必要十分で見やすい

以前紹介したRSSリーダーを使う論文チェック法よりも、論文チェックを念頭に置いた情報が厳選されており、レイアウトも見やすくなっています。大まかな公開日を表示してくれるのも地味ですがプラスポイント。

論文1エントリあたりの情報

分野のトレンドを追える

炎アイコンのメニューをクリックすると、分野ごとに注目されている論文が表示されます。各分野のプルダウンメニューから、より細かいカテゴリにフィルタリングして閲覧することも出来ます。個人的意見ですが、表示数が各細目ごとに10個程度であり、多すぎないのが良いと思えます。

各論文ごとに紐付いたオススメ論文が表示される

これも、サジェスト数が多すぎないのが良いと思えます。沢山オススメされたところで全部は読めないですし、読んだ先からおすすめされるので、精度さえ良ければこのアプリの仕様(3つぐらい)が丁度いいとも思えます。

ただアルゴリズムの都合でしょうか、同論文のプレプリント版も紐付いて表示されてきます。その分サジェストされる枠が埋まってしまう問題があるので、やはり4~5つぐらいあっても良いかもしれませんね(苦笑)。オプションで変更可能にしてくれないかな。

キーワードでフィルタリングできる

個人的にはこれが一番気に入っている機能です。

昨今は論文誌が多すぎるので、興味ある研究をピックアップしていくだけで膨大な時間が取られます。また総合科学ジャーナルにもなるとカバーされる分野も広大であり、RSSリーダーで眼に入る大半の論文が興味の無い研究だったりします。

Researcherを使えば、キーワードフィルタリングをかけたうえで、ジャーナル横断式に新着論文チェックができます。

たとえば下のように「Bioconjugation」と設定しておけば、複数のジャーナルからBioconjugationに関する論文だけ抜粋して表示されます。複数のキーワードを登録しておけば精度も上がり、より自分好みに使えると思います。

論文用途に一元化されたブックマーク

いわゆる「あとで読む」アプリ(Pocketなど)に情報を集約していると、普段使いの情報もどんどん放り込んでしまう都合、求める情報を見つけ出すのが大変になったり、溜まった情報量に萎えがちです。

Researcherで論文特化型のブックマークスペースを作っておけば、再確認に抵抗を感じることが減ってくるように思います。継続こそが力なりなので、論文チェックの心理ハードルは少しでも下げておきたいところですね。

欠点

全てのジャーナルがカバーされている訳ではない

特にマイナージャーナルは検索によって出てこないことがたびたびあります。ただほとんどの主要ジャーナルはカバーされている印象ですので、普段使いには問題無いレベルだと思います。

既読エントリが排除されない

短期間に複数回チェックすると、同じ論文を何度も目にすることになります。また新着エントリが消えないので、少し前の論文まで遡るのは大変です。そういう点や見逃しなどが気になるなら、やはりFeedlyなどを併用しておくのが良いと思います。

動作が重い・少しバグがある

特にヒット件数が多い場合は、表示に時間が掛かる印象です。巧みなキーワードフィルタリングによって表示論文数を減らすことが快適に使うコツに思います。またアクセスタイミングによってはトラブルで表示されないバグがあるようなので、これは改善を期待します。

まとめ

いくつかイマイチな点も記したものの、総合的に見てかなりいい感じのアプリです。新着論文チェック機能のみに特化したうえで余計な機能を全てとっぱらい、シンプルな表示に徹底されています。まさに『新着論文チェックの新定番』といえるアプリで、情報爆発に追われ日々ストレスの溜まる研究者にとっても、大きな助けになるでしょう。

一方で、公開からまだ1年ぐらいでもあるので、安定性や表示速度などの面で行き届いてないところはありそうです。今後ともの改善を待ちましょう。ともあれ百聞は一見にしかず、登録自体はすぐ出来るので、一度試して見てはいかがでしょうか!?

関連動画

ケムステ関連記事

外部リンク

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 歪んだアルキンへ付加反応の位置選択性を予測する
  2. 環状ビナフチルオリゴマーの大きさが円偏光の向きを変える
  3. 思わぬ伏兵・豚インフルエンザ
  4. DNAのもとは隕石とともに
  5. 研究者のためのCG作成術④(レンダリング編)
  6. 1,3-ジエン類のcine置換型ヘテロアリールホウ素化反応
  7. 合成生物学を疾病治療に応用する
  8. 論文がリジェクトされる10の理由

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 固体型色素増感太陽電池搭載マウスを買ってみました
  2. ビタミンと金属錯体から合成した人工の酵素
  3. LG化学より発表されたプラスチックに関する研究成果
  4. ジェフ・ボーディ Jeffrey W. Bode
  5. キラルな八員環合成におすすめのアイロン
  6. 細胞をつなぐ秘密の輸送路
  7. スイス医薬大手のロシュ、「タミフル」の生産能力を増強へ
  8. 私がなぜケムステスタッフになったのか?
  9. 水素化ナトリウムの酸化反応をブロガー・読者がこぞって追試!?
  10. イリヤ・プリゴジン Ilya Prigogine

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年11月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  

注目情報

注目情報

最新記事

超原子価ヨウ素反応剤を用いたジアミド類の4-イミダゾリジノン誘導化

第468回のスポットライトリサーチは、岐阜薬科大学  合成薬品製造学研究室(伊藤研究室)に所属されて…

研究室でDIY!ELSD検出器を複数のLCシステムで使えるようにした話

先日のBiotage Selekt + ELSDの記事でちらっと紹介した、ELS…

第37回ケムステVシンポ「抗体修飾法の最前線 〜ADC製造の基盤技術〜」を開催します!

修論・卒論・博士論文で大忙しの2,3月ですが、皆さんいかがお過ごしでしょうか。まとめ作業とデスク…

有機合成化学協会誌2023年1月号:[1,3]-アルコキシ転位・クロロシラン・インシリコ技術・マイトトキシン・MOF

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年1月号がオンライン公開されました。す…

飲む痔の薬のはなし1 ブロメラインとビタミンE

Tshozoです。あれ(発端記事・その後の記事)からいろいろありました。一進一退とはいえ、咀…

深紫外光源の効率を高める新たな透明電極材料

第467回のスポットライトリサーチは、東京都立大学大学院 理学研究科 廣瀬研究室の長島 陽(ながしま…

化学メーカー発の半導体技術が受賞

積水化学工業株式会社の高機能プラスチックスカンパニー開発研究所エレクトロニクス材料開発センターが開発…

ラジカル種の反応性を精密に制御する-プベルリンCの世界初全合成

第466回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院薬学系研究科 天然物合成化学教室 (井上研究室)…

Biotage Selekt+ELSD【実機レビュー】

最近では、有機合成研究室には1台以上はあるのではないかという自動フラッシュ精製装置ですが、その中でも…

ケムステV年末ライブ2022開催報告! 〜今年の分子 and 人気記事 Top 10〜

だいぶ遅くなってしまいましたが、年末に開催したケムステV年末ライブの模様を報告いたします。 …

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP