[スポンサーリンク]

一般的な話題

有機合成化学協会誌2020年1月号:ドルテグラビルナトリウム・次亜塩素酸ナトリウム5水和物・面性不斉含窒素複素環カルベン配位子・光酸発生分子・海産天然物ageladine A

[スポンサーリンク]

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2020年1月号がオンライン公開されました。

オリンピックイヤーの幕開けですね。大学関係者としてはとても忙しい時期に突入していますが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。

有機合成化学協会誌、今月号も盛りだくさんの内容となっています。キーワードは、「ドルテグラビルナトリウム・次亜塩素酸ナトリウム5水和物・面性不斉含窒素複素環カルベン配位子・光酸発生分子・海産天然物ageladine A」です。今回も、会員の方ならばそれぞれの画像をクリックすればJ-STAGEを通してすべてを閲覧することが可能です。

巻頭言:私なりの有機合成化学の温故知新

今月号は関西学院大学理工学部化学科 田辺 陽 教授による巻頭言です。

ここ40年の時代の変遷を、田辺教授の視点から論じておられます。オープンアクセスです。

HIV-1インテグラーゼ阻害薬ドルテグラビルナトリウムの効率的合成法の開発

安酸達郎*、青山恭規

Development of Practical Synthetic Method for the Preparation of Dolutegravir Sodium, a Potent HIV-1 Integrase Inhibitor for the Treatment of HIV Infectious Disease

Tatsuro Yasukata* and Yasunori Aoyama

2017年度有機合成化学協会 協会賞(技術的なもの)

塩野義製薬株式会社CMC研究本部製薬研究所

本総合論文は、塩野義製薬(株)により上市されたHIV-1インテグラーゼ阻害薬ドルテグラビルナトリウムの合成法の開発について述べています。立体選択的かつ効率的なピリドン系三環性骨格の構築方法を見出し、ドルテグラビルナトリウムの工業的合成法の開発に成功しています。

次亜塩素酸ナトリウム5水和物 (NaOCl·5H2O)結晶を用いる有機合成反応

桐原正之1*、岡田倫英2、浅輪智丈3、杉山幸宏2、木村芳一4*

Organic Syntheses Using Sodium Hypochlorite Pentahydrate (NaOCl·5H2O) Crystals

Masayuki Kirihara1*, Tomohide Okada2, Tomotake Asawa3, Yukihiro Sugiyama2, and Yoshikazu Kimura4*

2017年度有機合成化学協会 協会賞(技術的なもの)

1* 静岡理工科大学理工学部物質生命科学科

2日本軽金属株式会社化成品事業部市場開発部

3 日本軽金属株式会社化成品事業部蒲原ケミカル工場開発部

4* イハラニッケイ化学工業株式会社研究開発部

本総説は、次亜塩素酸ナトリウム5水和物の有機合成反応への応用についてまとめたものです。この試薬は、従来の次亜塩素酸ナトリウム水溶液と違い、固体であるため、正確な量を量りとって使えます。また、水酸基の酸化反応だけでなく、trans-グリコールの開裂反応にも用いることができます。次亜塩素酸ナトリウム5水和物は、多くの有機合成化学者に使っていただきたい魅力的な試薬です。

フェロセン骨格をもつ面性不斉含窒素複素環カルベン配位子

吉田和弘*、安江里紗

N-Heterocyclic Carbene Ligands Having Planar Chiral Ferrocene Structure

Kazuhiro Yoshida* and Risa Yasue

千葉大学大学院理学研究院

遷移金属錯体を触媒として用いる不斉合成は、光学活性体を得る大変有用な方法ですが、不斉配位子の開発研究はこの方法論を支える主柱になっています。本総説では、フェロセンを導入した面性不斉NHC配位子に関する研究が、歴史的経緯とともに広範かつ丁寧にまとめられています。

先端産業を支える光酸発生分子の機能と設計

土村智孝

Molecular Design and Function of Photo-acid Generators Utilized for Advanced Industries

Tomotaka Tsuchimura

富士フイルム株式会社R&D統括本部有機合成化学研究所

高分子材料などでは、表面だけではなく材料内部でも重合などを確実に行う必要があり、その精密な制御が材料の性能に大きく直結する。光によって酸を発生させる重合開始剤はそのための重要な機能分子であり、本総説ではそれらの基礎的な分類から最近の分子設計と応用がまとめられている。

海産天然物ageladine Aの効率合成を基盤とした構造展開と新規活性探索

岩田隆幸深瀬浩一中尾洋一田中克典*

Efficient Synthesis of Marine Alkaloid Ageladine A and its Structural Modification for Exploring New Biological Activity

Takayuki Iwata, Koichi Fukase, Yoichi Nakao and Katsunori Tanaka*

理化学研究所開拓研究本部田中生体機能合成化学研究室

血管新生阻害剤として知られるageladine A を初期構造として、新たな神経分化調節分子が見いだされました。その鍵となったのは、1つのフラスコ内に4 種類の試薬を順番に加えることで、7 種類の反応を一挙に行う「ワンポット合成」です。本研究は、天然有機化合物に秘められた生物活性分子としての可能性を切り拓く研究として、合成化学だけでなく、天然物化学やケミカルバイオロジーを専門とする多くの研究者を勇気づける研究です。ぜひ、ご一読ください。

Rebut de Debut:第三級カルボカチオンの立体制御によるエナンチオ収束型触媒的SN1反応

今月号のRebut de Debutは1件です。オープンアクセスですのでぜひごらんください。

第三級カルボカチオンの立体制御によるエナンチオ収束型触媒的SN1反応 (大阪大学産業科学研究所)佐古 真

Message from Young Principal Researcher (MyPR):有機合成化学+出会い→無限の可能性 (大阪大学産業科学研究所)家 裕隆

今月号はMyPRがあります。大阪大学の家 裕隆教授によるMyPRです。メッセージ性に溢れ、とても読み応えのあるMyPRです。オープンアクセスですのでぜひごらんください。

感動の瞬間:起死回生からの研究ラストスパート

今月号の感動の瞬間は、東京工業大学理学院化学系 鈴木啓介教授による寄稿記事です。

鈴木先生の研究者人生を振り返る超大作になっています。記事を読み、人生は感動の連続なのだと感じました。オープンアクセスです。

これまでの紹介記事は有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズを参照してください。

関連書籍

[amazonjs asin=”4759819320″ locale=”JP” title=”企業研究者たちの感動の瞬間: モノづくりに賭ける夢と情熱”] [amazonjs asin=”4759810803″ locale=”JP” title=”化学者たちの感動の瞬間―興奮に満ちた51の発見物語”]

Avatar photo

めぐ

投稿者の記事一覧

博士(理学)。大学教員。娘の育児に奮闘しつつも、分子の世界に思いを馳せる日々。

関連記事

  1. リボフラビンを活用した光触媒製品の開発
  2. 芳香族ニトロ化合物のクロスカップリング反応
  3. NMR が、2016年度グッドデザイン賞を受賞
  4. 結晶構造に基づいた酵素機能の解明ーロバスタチン生合成に関わる還元…
  5. AIと融合するバイオテクノロジー|越境と共創がもたらす革新的シン…
  6. 科学ボランティアは縁の下の力持ち
  7. 「MI×データ科学」コース ~データ科学・AI・量子技術を利用し…
  8. 有機合成化学協会誌2018年2月号:全アリール置換芳香族化合物・…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第53回―「革命的な有機触媒を開発する」Ben List教授
  2. チャールズ・クリスギ Charles T. Kresge
  3. 環境対策と経済性を両立する電解酸化反応、創造化学が実用化実験
  4. ノーベル化学賞2011候補者一覧まとめ
  5. 新しい糖尿病治療薬認可へ~人体機能高めるタイプから吸入式まで
  6. ケムステも出ます!サイエンスアゴラ2013
  7. 国際宇宙ステーション「きぼう」日本実験棟でのColloidal Clusters 宇宙実験
  8. 有機合成化学協会誌2018年8月号:触媒的不斉全合成・分子ローター型蛍光核酸・インドロキナゾリンアルカロイド・非対称化・アズレン・ヒドラゾン-パラジウム触媒
  9. 秋山隆彦 Takahiko Akiyama
  10. 「発明の対価」8億円求め提訴=塩野義製薬に元社員-大阪地裁

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年1月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

異方的成長による量子ニードルの合成を実現

第693回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院理学系研究科(佃研究室)の髙野慎二郎 助教にお願…

miHub®で叶える、研究開発現場でのデータ活用と人材育成のヒント

参加申し込みする開催概要多くの化学・素材メーカー様でMI導入が進む一…

医薬品容器・包装材市場について調査結果を発表

この程、TPCマーケティングリサーチ株式会社(本社=大阪市西区、代表取締役社長=松本竜馬)は、医…

X 線回折の基礎知識【原理 · 基礎知識編】

X 線回折 (X-ray diffraction) は、原子の配列に関する情報を得るために使われる分…

有機合成化学協会誌2026年1月号:エナミンの極性転換・2-メチル-6-ニトロ安息香酸無水物(MNBA)・細胞内有機化学反応・データ駆動型マルチパラメータスクリーニング・位置選択的重水素化法

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2026年1月号がオンラインで公開されています。…

偶然と観察と探求の成果:中毒解毒剤から窒素酸化物を窒素分子へ変換する分子へ!

第692回のスポットライトリサーチは、同志社大学大学院理工学研究科(小寺・北岸研究室)博士後期課程3…

嬉野温泉で論文執筆缶詰め旅行をしてみた【化学者が行く温泉巡りの旅】

論文を書かなきゃ!でもせっかくの休暇なのでお出かけしたい! そうだ!人里離れた温泉地で缶詰めして一気…

光の強さで分子集合を巧みに制御!様々な形を持つ非平衡超分子集合体の作り分けを実現

第691回のスポットライトリサーチは、千葉大学大学院 融合理工学府 分子集合体化学研究室(矢貝研究室…

化学系研究職の転職は難しいのか?求人動向と転職を成功させる考え方

化学系研究職の転職の難点は「専門性のニッチさ」と考えられることが多いですが、企業が求めるのは研究プロ…

\課題に対してマイクロ波を試してみたい方へ/オンライン個別相談会

プロセスの脱炭素化及び効率化のキーテクノロジーである”マイクロ波”について、今回は、適用を検討してみ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP