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化学者のつぶやき

OIST Science Challenge 2022 (オンライン)に参加してみた

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hodaです。先日OIST Science Challenge 2022に参加してきました。現地開催の予定でしたが、コロナウイルスの感染状況から今年はオンライン開催でした。せっかく参加するチャンスを頂いたので、記録として共有したいと思います。

OIST Science Challengeとは

数年前から毎年3月に沖縄科学技術大学院大学(OIST)で開催されているワークショップです。STEM(理系)分野専攻の学部1年生から修士2年相当までの学生が応募可能です。実際に学部1年生から修士2年の方までいらっしゃいました。募集当初はOISTに行くことができる予定(全9日間, 飛行機代と滞在費を出してもらえる。)でしたが、結局全5日間のオンライン開催となりました。私視点からではありますが、応募からワークショップの最終日までの記録を残したいと思います。

いざ応募

11月ごろから募集案内が発表され、12月31日が応募締め切りということで、2か月近くの猶予がありました。(余裕だとは一言も言っていない。)

私が主に準備したものは以下です。

  • 200語以内の英作文

応募理由書が必要です。英語で自己PRを書いたことがなくて、とても不安だった私は2人に添削していただきました。他の参加者にも聞いてみたところ、添削をしてもらった方もいれば、締め切りギリギリになったので添削はしてもらっていないという方もいました。

  • テーマに沿った発表資料(スライド6枚)

今年のワークショップのテーマは”Diversity in Science” でした。テーマに沿った発表資料を作成し、作成資料はワークショップ最終日のFinal Presentationにも使います。開催される年によってワークショップのテーマは変わるようです。私もざっくりとしたテーマだと思いましたが、広いテーマだからこそ自分の思うように作成していいのだろう、と勝手に考えていました。

  • 大学(または大学院)の成績の計算

成績(GPA)を提出する必要がありました。自分の大学と評価の計算方法が異なっていたため、計算し直しました。

いろいろな方々に助けていただきながら完成した書類のおかげで、選考を通過することができました。この場を借りて、感謝申し上げます。

ワークショップ1週間前

事前説明会のような形でオンライン説明会がありました。もちろん早速英語です。説明会のあとは、Gatherで参加者の交流会がありました。英語でなかなか話が始まらず、日本語での交流会になってしまいました。ワークショップの始まる前から、自分の英語スキルが足りないことを痛感しました。

ワークショップ1日目

待ちに待ったワークショップ初日でした。プログラムとしては、アイスブレイクや最終日にあるFinal Presentationのためのプレゼンレクチャー、Science Talkがありました。Final Presentationのためのプレゼンレクチャーでは、指名されて答える場面がありうまく答えられた気はしませんでしたが、とても楽しかったです。初日のScience TalkはProf. David Armitageによる、生態系のお話でした。普段生態系のお話は全く聞くことがないので、理解できた部分は多くありませんが、頑張って聴講しました。

特にスケジュールにはありませんでしたが、参加者の一人がGatherに集まろうと提案してくれて、参加者の一部が自主的にオンライン上で集まってしゃべったりしていました。その時の画面上のスクリーンショットをお見せします。

記念撮影のために横一列に並ぶ参加者@ Gather

ワークショップ2日目

午前中はOISTの施設のオンライン見学がありました。まずは、OISTのメインキャンパスから少し離れた場所にあるMarine Science Stationをオンライン見学しました。私が印象に残っているのは、イカです。たくさんイカがいました(すみません、あまり理解できていなくて…)。オンラインであまりサイズ感はわからないけれど、きっと大きな施設だろうと思いました。

source of an image: OIST(許可を得て引用)

他にも、Engineering Building やOISTの学生が住んでいる部屋の見学などもありました。

午後は、Prof. Christine LuscombeによるScience Talkがありました。ポリマーのお話で、初日よりも分野的に理解しやすかったので頑張って質問してみました。とても興味深いお話でした。また、最終日のFinal Presentation準備の時間もあり、私は必死にプレゼン準備をしていました。

夜にはOISTの学生企画によるオンライン飲み会も開催されました。ワークショップの参加者、オーガナイザーやOISTの学生が参加しており、私は5時間半参加しました。真面目なことも、関係ないこともとにかくしゃべり倒しました。

ワークショップ3日目

午前中にはOISTの博士課程の話や、沖縄での生活の話がありました。

午後は楽しみにしていたラボツアーでした。3コースが設定されており、オンラインのメリットを生かして、ツアー中も3コースを行き来することができました。とにかく聞きたかったことを質問しました。ラボツアーに参加して、さらにOIST現地に行ってみたいと思いました。

またまた夜に参加者数人でGatherに集まり、いろいろな話をしていました。

ワークショップ4日目

午前中は”Diversity in Science”のテーマに沿ったkeynote speechとパネルディスカッションがありました。サイエンスの話というよりは、サイエンスを取り巻く環境に関してのお話で、普段自分が積極的に聴講しに行くようなお話ではなかったので、よい経験でした。参加者がたくさん質問していて、すごいなと思っていました。

午後はProf. Sam ReiterによるScience Talkからスタートしました。私の理解が正しければ、タコの睡眠の話だったと思います。特にいろいろな分野が混ざった研究の話でした。

また、OISTの学生とのQ&Aの時間がありました。お話をしに来てくれた学生は日本以外の国から来た方が多かったので、英語でうまく伝えられているかどうか非常に不安でしたが、聞きたいことを聞くことができました。

ワークショップ5日目(最終日)

午前中にはFinal Presentationが行われました。1人4分のプレゼンと、1分の質疑応答がありました。今年のテーマは”Diversity in Science”でしたが、まさに多様性あふれるプレゼンでした。研究発表の機会はあっても、今回のワークショップのテーマのような大きなテーマでプレゼンする機会はほとんどないので、その点でも結構考えました。

午後にはFinal Presentationの表彰と全5日間のワークショップの閉会式のようなものがありました。全5日間はあっという間でした。

最終日の夜にもOISTの学生に懇親会を企画していただき、ずっと話していました。

OIST Science Challenge 2022を終えて

オンライン開催ということで実際にOISTに行くことは叶わなかったですが、感染対策から開催中止となるイベントも多い中、オンライン開催していただき感謝しかありません。

ワークショップももちろんよい経験でしたが、一番印象に残っていることは、ワークショップ参加者やOISTの学生とたくさんお話しすることができたことです。今回の記事にも、やたら懇親会の話が登場してくると思います。参加していた学生の分野は生物や医薬の人が多いような印象を受けましたが、化学、機械、情報、数学や文理融分野など非常に幅が広かったです。いろんな分野の人とお話しすることができてとても刺激的でした。参加者は北海道から沖縄まで日本の人が多いですが、留学生も数人いらっしゃいました。英語でうまく話せなくて、留学生とあまりお話しできなかったことが私の反省点です。英語に全く不安がなかったわけではなかったので、質問のときに言いたいことが伝わっていたようでよかったですが、英語ももっと勉強しなければと思いました。

今回のオンラインワークショップを経験して、いつかOISTになんらかの形で行ってみたいと思いました。参加して本当に良かったです。

OIST関連リンク

OISTホームページ
OIST Science Challenge 2022

冒頭の写真はOISTのこちらのページから引用しました

OIST関連のケムステスポットライトリサーチ

ガン細胞を掴んで離さない分子の開発
機械的力で Cu(I) 錯体の発光強度を制御する
可視光レドックス触媒と有機蓄光の融合 〜大気安定かつ高性能な有機蓄光の実現〜

hoda

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大学院生です。ケモインフォマティクス→触媒

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