[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

Guide to Fluorine NMR for Organic Chemists

[スポンサーリンク]

概要

Following its well-received predecessor, this book offers an essential guide to chemists for understanding fluorine in spectroscopy. With over 1000 compounds and 100 spectra, the second edition adds new data – featuring fluorine effects on nitrogen NMR, chemical shifts, and coupling constants.

対象

  •  フッ素の化合物を取り扱い、NMR測定を行う研究者

解説

19F NMRに関する書籍です。19F NMRは、1H, 13C, 31P, 29SiなどとともにメジャーなNMR測定核種であり、フッ素化合物を取り扱う場合には重要な分析手段です。特徴は、19Fの天然存在比がほぼ100%であること、1Hのように定量可能であること、多くの場合特殊なプローブなしで測定できることがあげられます。本書籍では、その19F NMRの測定データが系統立てて紹介されています。

第一章のイントロダクションに続き、第二章のフッ素置換基の基本的な性質、第三章のCF誘導体、第四章のCF2誘導体、第五章のCF誘導体、第六章の複雑な化合物、第七章のヘテロフッ素結合誘導体の各化学シフト、結合定数の傾向を解説しています。F NMRでは、F-Fだけでなく、H-Fカップリングによりピークが分裂するため、分裂パターンが複雑になります。また、1Hデカップリング13C NMRでもC-Fカップリングにより分裂したピークが観測されます。本書では、このような分裂パターンをスペクトルにより確認することができます。

私が特に参考になると思うのは第七章で、思わぬピークが出てきたときに炭素以外と結合している原料や副生成物の同定に有用な情報が載っています。例えば、BF3は、-126 ppmにピークが観測され、PF6は、F NMRの-72 ppmと31P NMRの52 ppmにピークが観測されるそうです。

近年、盛んにおこなわれているフッ素置換基導入に関する研究では、FNMRによる構造解析と純度の決定、不純物の確認は大変重要な作業であると言えます。特に、スペクトルを単に比較するだけでなく分裂パターンや結合定数を正しく理解する必要があると私は考えます。その際にこの本は有用だと思います。

Zeolinite

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 2009年1月人気化学書籍ランキング
  2. 化学探偵Mr.キュリー8
  3. 学問と創造―ノーベル賞化学者・野依良治博士
  4. 2008年12月人気化学書籍ランキング
  5. 【書籍】新版 元素の小辞典
  6. 二次元物質の科学 :グラフェンなどの分子シートが生み出す新世界
  7. 入門 レアアースの化学 
  8. アメリカへ博士号をとりにいく―理系大学院留学奮戦記

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. のむ発毛薬の輸入承認 国内初、年内にも発売へ
  2. ホフマン脱離 Hofmann Elimination
  3. 高分子鎖デザインがもたらすポリマーサイエンスの再創造|オンライン・対面併設|進化する高分子材料 表面・界面制御 Advanced コース
  4. Qi-Lin Zhou 周其林
  5. Nanomaterials: An Introduction to Synthesis, Properties and Applications, 2nd Edition
  6. 西田 篤司 Atsushi Nishida
  7. 分子標的の化学1「2012年ノーベル化学賞GPCRを導いた親和クロマトグラフィー技術」
  8. ギ酸 (formic acid)
  9. 冬虫夏草由来の画期的新薬がこん平さんを救う?ーFTY720
  10. JEOL RESONANCE「UltraCOOL プローブ」: 極低温で感度MAX! ②

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2016年12月
« 11月   1月 »
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

注目情報

最新記事

第167回―「バイオ原料の活用を目指した重合法の開発」John Spevacek博士

第167回の海外化学者インタビューは、ジョン・スペヴァセック博士です。Aspen Research社…

繊維強化プラスチックの耐衝撃性を凌ぐゴム材料を開発

名古屋大学大学院工学研究科有機・高分子化学専攻の 野呂 篤史講師らの研究グループは、日本ゼオンと共同…

反応化学の活躍できる場を広げたい!【ケムステ×Hey!Labo 糖化学ノックインインタビュー②】

2021年度科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)に採択された『糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動…

UiO-66: 堅牢なジルコニウムクラスターの面心立方格子

UiO-66 は六核ジルコニウムオキシクラスターを SBU に持ち、高い熱安定性 · 化学安定性を示…

危ない試薬・面倒な試薬の便利な代替品

実験室レベルでは、未だに危険な試薬を扱わざるを得ない場合も多いかと思います。tert…

赤外線の化学利用:近赤外からテラヘルツまで

(さらに…)…

【誤解してない?】4s軌道はいつも3d軌道より低いわけではない

3d 遷移金属は、多くが (3d)n(4s)2 という中途半端に 3d 軌道が埋まったまま 4s 軌…

第六回ケムステVプレミアレクチャー「有機イオン対の分子設計に基づく触媒機能の創出」

新型コロナ感染者数が爆増し、春の学会がまたほとんどオンラインになりました。残念で…

生体医用イメージングを志向した第二近赤外光(NIR-II)色素:③その他の材料

バイオイメージングにおけるの先端領域の一つである「第二近赤外光(NIR-II)色素」についての総説を…

自己多層乳化を用いたマトリョーシカ微粒子の調製 〜油と水を混ぜてすぐ固めるだけ〜

岡山大学学術研究院自然科学学域(工)の渡邉貴一研究准教授と同大学院自然科学研究科博士前期課程の安原有…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP