[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

最新有機合成法: 設計と戦略

[スポンサーリンク]

[amazonjs asin=”4759819614″ locale=”JP” title=”最新有機合成法: 設計と戦略”]

概要

有機合成法について,系統立てて書かれた本です.前版の刊行から約10年,その後に大きく進展したC-C結合形成反応やカップリング反応,有機金属反応についても,反応機構とともに丁寧に解説されています.有機合成反応について,必要な反応が幅広く網羅され,新しい合成法の例もコンパクトにまとめられています.合成のセンスを磨くのに最適の書です.(引用:化学同人

対象

  • 基礎書を学んだ大学生以上
  • 基礎書では物足りない大学生
  • 大学院有機化学をよりよく理解するために

目次

1章 合成デザイン(逆合成解析/カルボニル基の極性の逆転/合成計画の手順/他)
2章 合成計画における立体化学の重要性(配座解析/非結合相互作用の評価/他)
3章 官能基の保護の概念(N-H基の保護/OH基の保護/ジオールのアセタール保護/他)
4章 官能基変換(アルコールからアルデヒドやケトンへの酸化/化学選択的酸化剤/他)
5章 官能基変換反応(炭素−炭素二重結合の反応/炭素−炭素三重結合の反応)
6章 エノラートアニオンを経由する炭素−炭素単結合の形成(エナミン/アルドール反応/他)
7章 有機金属反応剤を用いる炭素−炭素結合の形成(有機リチウム反応剤/有機銅試薬/他)
8章 パラジウム触媒カップリング反応(パラジウム酸化状態/Trost–Tsuji反応/他)
9章 炭素−炭素π結合の形成(炭素−炭素二重結合の形成/炭素−炭素三重結合の形成)
10章 炭素環状化合物の合成(遊離ラジカルの分子内環化反応/カチオン-π環化/他)

内容

概要にあるように、10年前に刊行された書籍の改定バージョン。タイトルどおり最新有機合成を学べる書籍として人気を博していた書籍だ。みためは以下の黒っぽい本から、薄い青色(緑色)の本に変わった。訳者は檜山カップリングなどで著名な檜山爲次郎氏(京大名誉教授)である。まずはおすすめとする対象であるが、学部で習う基礎書を一通り学んだもの、それでは物足りない人である。つまり、有機合成を専門として大学院に進学する人には大いにオススメする。もちろん専門としないが、有機合成を頻繁に用いる大学院生以上にとっても非常に有用な本である。

第1版は黒ベースの本だった

 

この書籍のよいところは、有機合成に特化して、基礎書に書かれている基本的な内容から説明してくれるところだ。

例えば、第2章の合成計画における立体化学の重要性 の部分に関しては、配座異性体や、シクロヘキサンの安定配座などから説明している。

また、第9章の 炭素ー炭素π結合の合成では Wittig反応とは誰がみつけてどんな反応で、安定イリドや不安定イリドに分類できるというところからはじめている。いずれも、基礎書にも掲載されている内容だ。

無論、基礎書の方が詳しいが、いきなり難しい合成の各論をされてもわからないことだらけになることを防いでいる。その基礎的な記載から始まり、基礎書には掲載されていない内容を説明の後、現在でも有機合成のリアルに直面する問題に対する常法たる解法や、理由を反応機構を交えて説明してくれるので頭に入りやすい。

また今回の改定によって、かなりページ数遷移金属触媒をつかったカップリング反応や変換反応も記載されているところも特筆すべきところだ。

基本的な知識も簡単に説明

 

あくまでも合成的な観点から記載されているため、自在なものづくりに必要な最低限の知識を与えてくれる。

基礎書を勉強した後の次の書籍としては、大学院有機化学などがあるが、最新の有機合成をしっかり学びたい、ものにしたい場合はこちらのほうが適していると思われる。大学の先生には系統立てて書かれているので、大学院の有機合成化学の講義としてもおすすめである。

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 化学で何がわかるかーあなたの化学、西暦何年レベル?ー
  2. 【書籍】機器分析ハンドブック3 固体・表面分析編
  3. すごい分子 世界は六角形でできている
  4. Organic Synthesis Workbook
  5. 化学するアタマ―論理的思考力を鍛える本
  6. Essential Reagents for Organic S…
  7. 研究者/研究力
  8. 基礎から学ぶ機器分析化学

注目情報

ピックアップ記事

  1. 調光機能付きコンタクトレンズが登場!光に合わせてレンズの色が変化し、目に入る光の量を自動で調節
  2. ITO 酸化インジウム・スズ
  3. 配位子が酸化??触媒サイクルに参加!!
  4. 化学系プレプリントサーバ「ChemRxiv」の設立が決定
  5. 【日産化学 27卒】 【7/10(木)開催】START your ChemiSTORY あなたの化学をさがす 研究職限定 Chem-Talks オンライン大座談会
  6. TMSClを使ってチタンを再生!チタン触媒を用いたケトン合成
  7. 有機合成化学協会誌2023年3月号:Cynaropicri・DPAGT1阻害薬・トリフルオロメチル基・イソキサゾール・触媒的イソシアノ化反応
  8. 分子びっくり箱
  9. 海水から「イエローケーキ」抽出に成功、米科学者グループが発表
  10. 還元された酸化グラフェン(その1)

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年5月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
28293031  

注目情報

最新記事

CIPイノベーション共創プログラム「有機電解合成の今:最新技術動向と化学品製造への応用の可能性」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「有機電解合…

CIPイノベーション共創プログラム「世界を変えるバイオベンチャーの新たな戦略」

日本化学会第106春季年会(2026)で開催されるシンポジウムの一つに、CIPセッション「世界を変え…

年会特別企画「XAFSと化学:錯体, 触媒からリュウグウまで –放射光ことはじめ」

放射光施設を利用したX線吸収分光法(XAFS)は、物質の電子状態や局所構造を元素選択的に明らかにでき…

超公聴会 2026 で発表します!!【YouTube 配信】

超公聴会は、今年度博士号を取得する大学院生が公聴会の内容を持ち寄ってオンライン上で発表する会です。主…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part II

さて、Part Iに引き続きPart II!年会をさらに盛り上げる企画として、2011年より…

凍結乾燥の常識を覆す!マイクロ波導入による乾燥時間短縮と効率化

「凍結乾燥は時間がかかるもの」と諦めていませんか?医薬品や食品、新素材開発において、品質を維…

日本化学会 第104春季年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I

まだ寒い日が続いておりますが、あっという間に3月になりました。今年も日本化学会春季年会の季節です。…

アムホテリシンBのはなし 70年前に開発された奇跡の抗真菌薬

Tshozoです。以前から自身の体調不良を記事にしているのですが、昨今流行りのAIには産み出せな…

反応操作をしなくても、化合物は変化する【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか温度を測ること…

ジチオカーバメートラジカル触媒のデザイン〜三重項ビラジカルの新たな触媒機能を発見〜

第698回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(大井研究室)博士後期課程1年の川口…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP