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機能指向型合成 Function-Oriented Synthesis

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 化合物の構造にこだわった合成ではなく、その機能の再現を最重要ポイントと据えた合成法のことを、機能指向型合成(Function-Oriented Synthesis, FOS)と呼ぶ。スタンフォード大学のPaul A. Wenderによって提唱された概念。(冒頭図は文献[1]TOCより引用)

 FOSがもたらす「構造から機能へのシフト」は、合成上解決すべきポイントを大幅に変える。またFOSの考え方によれば、同様の効果を示しつつも、よりシンプルな構造を持つターゲット設定をすることができる。

 たとえばphorbol esterを例に取ると、コンピュータモデリングによる構造―機能相関研究から、PKCの活性制御に必要なモチーフについての仮説を立て、化合物を設計することで、合理的に設計に基づく初のPKCモジュレータ1の創製につながっている。

文献[3]より引用

参考文献

  1. “Function Oriented Synthesis, Step Economy, and Drug Design” Wender, P. A.; Verma, V. A.; Paxton, T. J.; Pillow, T. H. Acc. Chem. Res. 2008, 41, 40-49. DOI: 10.1021/ar700155p
  2. “Toward the Ideal Synthesis and Transformative Therapies: The Roles of Step Economy and Function Oriented Synthesis” Wender, P. A.  Tetrahedron 2013, 69, 7529-7550. doi:10.1016/j.tet.2013.06.004
  3. “Function Through Synthesis-Informed Design” Wender, P. A.; Quiroz, R.; Stevens, M.  Acc. Chem. Res. 2015, 48, 752-760. DOI: 10.1021/acs.accounts.5b00004

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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