[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

ターボグリニャール試薬 Turbo Grignard Reagent

[スポンサーリンク]

概要

  • Grignard試薬を調製する際、1当量の塩化リチウム(LiCl)を添加することで、金属-ハロゲン交換もしくはMg挿入反応がともに加速される。Grignard試薬を低温調製することが可能たる特性から、ターボGrignard試薬の名称で呼ばれている。
  • この手法を用いる事で、従来自己反応してしまうとされていたエステル・ニトリル・ケトン・各種複素環などで官能基化されたGrignard試薬も調製することが可能になった。
  • 実用的な温度範囲で行うことが可能であり、金属-ハロゲン交換中の副反応も抑えられる優れた手法である。

基本文献

Review

  • Li-Yuan Bao, R.; Zhao, R.; Shi, L. Chem. Commun. 2015, 51, 6884. DOI: 10.1039/C4CC10194D

 

反応機構

反応が加速する理由としては、Grignard試薬の会合体が分解され、系中で発生するi-PrMgCl・LiClの、i-Prのアニオン性が向上するため、と考えられている。

 2016-02-03_10-38-13

Blasberg, F: Bolte, M.; Wagner M.; Lerner, H.-W. Organometallics2012, 31, 1001. DOI: 10.1021/om201080t

 

反応例

  • 鎖状アルケニル化合物のグリニャール反応[1]

ol048363hn00001

  • 環状ジエニル化合物のグリニャール試薬の調製[2]

GA

  • トリアゼン化合物のグリニャール試薬/カルバゾールの合成[3]

ol0505454n00001

  • ハロピリジンの選択的マグネシウム化:三置換ピリジンの合成[4]

 

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

  1. Ren, H.; Krasovskiy, A.; Knochel, P. Org. Lett. 2004, 6. 4215.  DOI: 10.1021/ol048363h
  2. Ren, H.; Krasovskiy, A.; Knochel, P. Chem. Comm. 2005, 543. DOI: 10.1039/B415588B
  3. Liu, C-Y.; Knochel, P. Org. Lett. 2005, 7, 2543. DOI: 10.1021/ol0505454
  4. Ren, H.; Knochel, P. Chem. Comm. 2006, 726. DOI: 10.1039/B515168F
  5. Sinha, P.; Knochel, P. Syn lett 2006, 19, 3304.
  6. Liu, C.-Y.; Ren, H.; Knochel, P. Org. Lett. 2006, 8, 617.
  7. Stoll. A, H.; Krasovskiy, A.; Knochel, P. Angew. Chem. Int. Ed. 2006, 45, 606.
  8. Kopp, F.; Knochel, P. SynLett 2007, 980.
  9. Kopp, F.; Wunderlich, S.; Knochel, P. Chem. Comm. 2007, 2075.
  10. Lin, W.; Chen, L.; Knochel, P. Tetrahedron 2007, 63, 2787.
  11. Despotopoulou, C.; Bauer, R.C.; Krasovskiy, A.; Mayer, P.; Stryker, J. M.; Knochel, P. Chem. Eur. J. 2008, 14, 2499.
  12. Melzig, L.; Rauhut, C. B.; Knochel, P. Chem. Commun. 2009, 3536.
  13. Rauhut, C. B.; Cervino, C.; Krasovskiy, A.; Knochel, P. SynLett 2009, 67.

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”0471999083″ locale=”JP” title=”Grignard Reagents: New Developments”][amazonjs asin=”0824795458″ locale=”JP” title=”Handbook of Grignard Reagents (Chemical Industries)”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ホフマン転位 Hofmann Rearrangement
  2. ジアゾメタン diazomethane
  3. フェリエ転位 Ferrier Rearrangement
  4. ローゼンムント還元 Rosenmund Reduction
  5. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide…
  6. ブラン環化 Blanc Cyclization
  7. ハンチュ ピロール合成 Hantzsch Pyrrole Syn…
  8. ホフマン・レフラー・フレイターク反応 Hofmann-Loffl…

注目情報

ピックアップ記事

  1. カガクをつなげるインターネット:サイエンスアゴラ2017
  2. 光刺激に応答して形状を変化させる高分子の合成
  3. 【医薬分野のみなさま向けウェブセミナー】マイクロ波を用いた革新的製造プロセスとヘルスケア領域への事業展開
  4. 富山化学とエーザイ 抗リウマチ薬(DMARD)T-614を国内申請
  5. 英文校正会社が教える 英語論文のミス100
  6. 高機能性金属錯体が拓く触媒科学:革新的分子変換反応の創出をめざして
  7. 光触媒の力で多置換トリフルオロメチルアルケンを合成
  8. 関東化学2019年採用情報
  9. 非選択性茎葉処理除草剤の『ザクサ液剤』を登録申請
  10. 超多剤耐性結核の新しい治療法が 米国政府の承認を取得

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

第61回Vシンポ「中分子バイオ医薬品分析の基礎と動向 ~LCからLC/MSまで、研究現場あるあるとその対処~」を開催します!

こんにちは、Macyです。第61回Vシンポのご案内をさせていただきます。今回は、Agilen…

水分はどこにあるのか【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

「MI×データ科学」コース 〜LLM・自動実験・計算・画像とベイズ最適化ハンズオン〜

1 開講期間2026年5月26日(火)、29日(金) 計2日間2 コースのねらい、特色近…

材料の数理モデリング – マルチスケール材料シミュレーション –

材料の数理モデリング概要材料科学分野におけるシミュレーションを「マルチスケール」で理解するた…

第59回天然物化学談話会@宮崎(7/8~10)

ごあいさつ天然物化学談話会は、全国の天然物化学および有機合成化学を研究する大学生…

トッド・ハイスター Todd K. Hyster

トッド・カート・ハイスター(Todd Kurt Hyster、1985年10月10日–)はアメリカ出…

“最難関アリル化”を劇的に加速する固定化触媒の開発

第 703回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院 理工学府 博士課程前期で…

「ニューモダリティと有機合成化学」 第5回公開講演会

従来の低分子、抗体だけでなく、核酸、ペプチド、あるいはその複合体(例えばADC(抗体薬物複合体))、…

溶融する半導体配位高分子の開発に成功!~MOFの成形加工性の向上に期待~

第702回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理学部(田中研究室)にて助教をされていた秋吉亮平 …

ミン・ユー・ガイ Ming-Yu Ngai

魏明宇(Ming-Yu Ngai、1981年X月XX日–)は米国の有機化学者である。米国パデュー大学…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP