[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第106回―「分子の反応動力学を研究する」Xueming Yang教授

[スポンサーリンク]

第106回の海外化学者インタビューは、Xueming Yang教授です。大連化学物理学研究所の分子反応動力学国家重点研究室に所属(訳注:現在は南方科技大学に所属)しており、気相および表面上の分光学と化学動力学を研究しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

高校時代に優秀な化学の先生に恵まれたのは本当に幸運でした。彼女の名前はYueming Chenです。文化大革命時代の家庭的事情のため、高校時代はかなり大変でしたが、Chen先生はとても良い化学の先生で、とても気遣いのできる方でした。私は化学が好きになりました。物理学の学士号を取得しましたが、結局、化学に戻る道を選びました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

機械エンジニアになろうと思っています。機械を設計したり、作ったりするのが本当に好きで、これはかなり得意だと感じています。この能力と興味は、実際に自分で化学研究をする上で非常に役立っています。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

化学は、私たちの日常生活に根本的な影響を与えることができる、非常にユニークな分野だと思います。また化学者は、エネルギー不足や環境問題など、世界で最も緊急性の高い問題を解決する上でも、ユニークな立場にあると思います。しかし、最も喫緊の問題を解決するためにも、これ以上長期的な問題を生み出さないようにする必要があります。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

鄧 小平氏に是非会ってみたいと思います。私を含む、多くの人々の人生を根本的に変えた偉大な人物だと思います。中国の人々のため、彼がしてくれたことには、個人的に感謝したいと思います。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

この質問は、長い間ちゃんとした実験をしていないことを思い出させるので、本当は答えたくありません。ちゃんとした実験を最後にしたのは9年ほど前だったと思います。その実験は水の光分解でした。しかし率直な話、今でも一番楽しい仕事は、実験中の学生たちと一緒に過ごすことです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

長い間、毎日何かしら絵を描いたり、何かしら書いたりできるように、何も書かれていない大きな紙の本を持っていきたいと思います。

盲目の音楽家として有名なAh Bingの二胡(中国のバイオリン)音楽である『二泉映月』のCDを持っていきます。美しくて、切なくて、穏やかな曲です。一人で聞いても飽きないと思います。

原文:Reactions –  Xueming Yang

※このインタビューは2009年3月6日に公開されました。

 

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第44回―「N-ヘテロ環状カルベン錯体を用いる均一系触媒開発」S…
  2. 第101回―「高分子ナノ構造の精密合成」Rachel O’Rei…
  3. 第19回 有機エレクトロニクスを指向した合成 – G…
  4. 第138回―「不斉反応の速度論研究からホモキラリティの起源に挑む…
  5. 第38回「材料の励起状態制御に挑む」嘉部量太 准教授
  6. 第111回―「予防・診断に有効なナノバイオセンサーと太陽電池の開…
  7. 第42回―「ナノスケールの自己集積化学」David K. Smi…
  8. 第113回―「量子コンピューティング・人工知能・実験自動化で材料…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 東芝やキヤノンが優位、微細加工技術の「ナノインプリント」
  2. ポンコツ博士の海外奮闘録⑤ 〜博士,アメ飯を食す。バーガー編〜
  3. ヨン・ピエール Jorn Piel
  4. ヨウ化サマリウム(II) Samarium(II) Iodide SmI2
  5. ケムステV年末ライブ & V忘年会2021を開催します!
  6. 出張増の強い味方!「エクスプレス予約」
  7. トリフルオロメタンスルホン酸すず(II) : Tin(II) Trifluoromethanesulfonate
  8. ホウ素が隣接した不安定なカルベン!ジボリルカルベンの生成
  9. 製造過程に発がん性物質/テフロンで米調査委警告
  10. 高分子鎖デザインがもたらすポリマーサイエンスの再創造|オンライン R2

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る

概要米国の女性科学者たちは科学界のジェンダーギャップにどのように向き合い,変えてきたのか ……

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

細胞代謝学術セミナー全3回 主催:同仁化学研究所

細胞代謝研究をテーマに第一線でご活躍されている先生方をお招きし、同仁化学研究所主催の学術セミナーを全…

マテリアルズ・インフォマティクスにおける回帰手法の基礎

開催日:2023/12/06 申込みはこちら■開催概要マテリアルズ・インフォマティクスを…

プロトン共役電子移動を用いた半導体キャリア密度の精密制御

第582回のスポットライトリサーチは、物質・材料研究機構(NIMS) ナノアーキテクトニクス材料研究…

有機合成化学協会誌2023年11月号:英文特別号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2023年11月号がオンライン公開されています。…

高懸濁試料のろ過に最適なGFXシリンジフィルターを試してみた

久々の、試してみたシリーズ。今回試したのはアドビオン・インターチム・サイエンティフィ…

細胞内で酵素のようにヒストンを修飾する化学触媒の開発

第581回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

カルロス・シャーガスのはなし ーシャーガス病の発見者ー

Tshozoです。今回の記事は8年前に書こうと思って知識も資料も足りずほったらかしておいたのです…

巨大な垂直磁気異方性を示すペロブスカイト酸水素化物の発見 ―水素層と酸素層の協奏効果―

第580回のスポットライトリサーチは京都大学大学院工学研究科物質エネルギー化学専攻 陰山研究室の難波…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP