[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第100回―「超分子包接による化学センシング」Yun-Bao Jiang教授

[スポンサーリンク]

第100回の海外化学者インタビューは、Yun-Bao Jiang教授です。厦門大学化学科に所属し、電子・プロトン移動光物理学と分子認識のための超分子光化学を研究しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

化学に興味を持ったのは高校生の時でした。後に定性分析と呼ばれる科目で、既知の化学物質を加えたときの溶液の色の変化や沈殿物から溶液中の金属種を特定するのが得意だったことを覚えています。化学者になりたいと思った最も重要な出来事は、大学進学のための国家試験で化学の成績が100点満点中97点と非常に良かったことです。化学で有名な厦門大学で化学を学ぶ資格を得ました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

庭園設計士として働きたいと思っています。庭園には科学と芸術がうまく融合したものが必要だと思いますし、チャレンジングなことがいっぱいあります。大きな理由は、蘇州のような中国の伝統的な庭園や、中国の書道にとても感銘を受けたからです。 個人的には、中国の書道がとても好きで、楽しんでいます。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

最良の方法は、化学物質の適切な取り扱いをガイドし、環境に優しい化学物質を生産するために、化学が関与する多くのプロセスで何が起こるかを理解するのに役立つことです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

現代の北京歌劇界を代表する巨匠、梅蘭芳さんとの会食をしたいと思います。彼は女性の役を演じ、女性として歌うことで知られ、後に北京歌劇の国際的な名声を高めました。私が本当に感銘を受けたのは、彼の完璧な演技と舞台での素晴らしい歌声であり、それが北京歌劇を大きく形作ったと思います。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

1996 年に正教授に昇進したばかりの頃は、ミセル中での分子内電荷移動二重蛍光を利用したケミカルセンシングの開発に着手し、蛍光体の合成や蛍光滴定を行っていましたが、今でも実験を行っています。 現在でも、再結晶などの技術を若い学生に見せたり、非有機化学研究室で有機合成を行ったりしています。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

料理が好きなので料理の本を持っていこうと思います。化学関係の芸術のようなものですし、無人島の人が生きていくための手助けをするのにもいいと思います。

こんな時のCDはお気に入りの中国民謡がいいでしょう。

 

原文:Reactions – Yun-Bao Jiang

※このインタビューは2009年1月23日に公開されました。

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第55回「タンパク質を有機化学で操る」中村 浩之 教授
  2. 第103回―「機能性分子をつくる有機金属合成化学」Nichola…
  3. 第64回―「ホウ素を含むポルフィリン・コロール錯体の研究」Pen…
  4. 第111回―「予防・診断に有効なナノバイオセンサーと太陽電池の開…
  5. 第83回―「新たな電池材料のモデリングと固体化学」Saiful …
  6. 第87回―「NMRで有機化合物の振る舞いを研究する」Daniel…
  7. 第51回「電流でDNAを検出する」佐藤しのぶ准教授
  8. 第43回「はっ!」と気づいたときの喜びを味わい続けたい R…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. スーパーブレンステッド酸
  2. 森田浩介 Kosuke Morita
  3. リンドラー還元 Lindlar Reduction
  4. クリンコヴィッチ反応 Kulinkovich Reaction
  5. 化学者のためのエレクトロニクス講座~フォトレジスト編
  6. 砂糖水からモルヒネ?
  7. カラムやって
  8. 第33回ケムステVシンポ「研究DXとラボラトリーオートメーション」を開催します!
  9. 水素ガス/酸素ガスで光特性を繰り返し変化させる分子
  10. インフルエンザ治療薬「CS‐8958」、09年度中にも国内申請へ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

5/15(水)Zoom開催 【旭化成 人事担当者が語る!】2026年卒 化学系学生向け就活スタート講座

化学系の就職活動を支援する『化学系学生のための就活』からのご案内です。化学業界・研究職でのキャリ…

フローマイクロリアクターを活用した多置換アルケンの効率的な合成

第610回のスポットライトリサーチは、京都大学大学院理学研究科(依光研究室)に在籍されていた江 迤源…

マリンス有機化学(上)-学び手の視点から-

概要親しみやすい会話形式を用いた現代的な教育スタイルで有機化学の重要概念を学べる標準教科書.…

【大正製薬】キャリア採用情報(正社員)

<求める人物像>・自ら考えて行動できる・高い専門性を身につけている・…

国内初のナノボディ®製剤オゾラリズマブ

ナノゾラ®皮下注30mgシリンジ(一般名:オゾラリズマブ(遺伝子組換え))は、A…

大正製薬ってどんな会社?

大正製薬は病気の予防から治療まで、皆さまの健康に寄り添う事業を展開しています。こ…

一致団結ケトンでアレン合成!1,3-エンインのヒドロアルキル化

ケトンと1,3-エンインのヒドロアルキル化反応が開発された。独自の配位子とパラジウム/ホウ素/アミン…

ベテラン研究者 vs マテリアルズ・インフォマティクス!?~ 研究者としてMIとの正しい向き合い方

開催日 2024/04/24 : 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足…

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP