[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第61回―「デンドリマーの化学」Donald Tomalia教授

[スポンサーリンク]

第61回の海外化学者インタビューは、ドナルド・A・トマリア教授です。国立デンドリマー・ナノテクノロジーセンターのディレクターであり、セントラルミシガン大学のDistinguished Research Scientistかつ教授でもあります。ナノ材料合成(すなわち、デンドリマー、金属ナノクラスターなど)、それらのナノ化学量論、ナノ立体構造、さらなる複雑性を生み出す構造明確なナノ材料に関わるナノ周期反応性および集合パターンの同定に焦点を当てた研究に従事しています。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

好奇心からです!強い好奇心を持って生まれたので、幼い頃からの衝動が化学にのめり込ませることに気づきました。どれだけ多くの問題が解決されたとしても、それら解決策により、さらに多くの新たな問題が生まれることを見いだしました。こういう特徴だけとっても、化学は途轍もなくエキサイティングな趣味であり、「親友」であり、そして生涯の仕事になりました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

おそらく造園家です。第一に、体を動かすことが好きです。第二に、ユニークな機能、ダイナミクス、可能な利益について考えることを、直感的に楽しんでいます。それらは、建築物がピコ、ナノ、マイクロスケールレベルの構造に貢献しているものです。マクロレベルでも同じような問題が出てくると思います。だからこそ園芸が趣味なのです。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

化学は生活の中に広く行き渡っています。環境・健康・社会、そして宇宙存在にすらもです。そのような普遍的規律の実践者として、我々の努力はポジティブなものであり、またあらゆる問題に有益となることを確実なものとすべく、責任を持つべきです。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

間違いなく、英国マンチェスターのジョン・ダルトン(1766-1844)です。「New System of Chemical Philosophy」(1808)をもたらした勇気、ビジョン、そして献身にはいつも感心しています。彼のビジョンと努力は、我々の伝統的な化学プラットフォームを興し、そこからすべての化学者が利益を享受し、高め、得てきました。私とダルトンは172歳差ですが、同じ誕生日(9月5日)なので、毎年の誕生日には乾杯したいですね。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

過去6か月の間に行ったデンドリマー合成と光化学実験です。我々が合成した特定のナノスケールデンドリマーが、なぜ特異な蛍光特性を示しつつも従来型の蛍光発色団を有しないのか、ということに興味をそそられました。この時には、この蛍光特性は確認されていました。しかし、なぜ蛍光を示すのかについては、まだ完全な答えは得られていません。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

お気に入りの本はレオナルド・ダ・ヴィンチのノートブックです。人生のあらゆる面に対する、彼の並外れた規律・明晰さ・鋭い観察力には驚きを隠せません。

お気に入りのCDは、ヴォルフガング・モーツァルトの全集です。彼のユニークな音符・音階・音のパタン・音色の存在によって、私はいつも新鮮なインスピレーション・興奮・新たなアイデア、そして充実感を見出すようです。

 

原文:Reactions -Donald Tomalia

※このインタビューは2008年4月25日に公開されました。

 

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第28回 錯体合成から人工イオンチャンネルへ – P…
  2. 第77回―「エネルギーと生物学に役立つ無機ナノ材料の創成」Cat…
  3. 第36回「光で羽ばたく分子を活かした新技術の創出」齊藤尚平 准教…
  4. 第149回―「ガスの貯蔵・分離・触媒変換に役立つ金属-有機構造体…
  5. 第146回―「原子から社会までの課題を化学で解決する」中村栄一 …
  6. 第八回 ユニークな触媒で鏡像体をつくり分けるー林民生教授
  7. 第151回―「生体における金属の新たな活用法を模索する」Matt…
  8. 第92回―「金属錯体を結合形成触媒へ応用する」Rory Wate…

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【速報】2017年ノーベル化学賞は「クライオ電子顕微鏡の開発」に!
  2. 「人工タンパク質ケージを操る」スイス連邦工科大学チューリヒ校・Hilvert研より
  3. 海水から「イエローケーキ」抽出に成功、米科学者グループが発表
  4. 亜鉛クロロフィル zinc chlorophyll
  5. メリフィールド氏死去 ノーベル化学賞受賞者
  6. 食べず嫌いを直し始めた酵素たち。食べさせれば分かる酵素の可能性!?
  7. 有機超伝導候補が室温超高速光応答材料に変身
  8. 【ケムステSlackに訊いてみた①】有機合成を学ぶオススメ参考書を教えて!
  9. フッ素のゴーシュ効果 Fluorine gauche Effect
  10. ボロン酸を用いた2-イソシアノビフェニルの酸化的環化反応によるフェナントリジン類の合成

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年2月
« 1月   3月 »
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
242526272829  

注目情報

注目情報

最新記事

第五回ケムステVプレミアレクチャー「キラルブレンステッド酸触媒の開発と新展開」

新型コロナ感染者数は大変なことになっていますが、無観客東京オリンピック盛り上がっ…

がん治療用の放射性物質、国内で10年ぶり製造へ…輸入頼みから脱却

政府は、がんの治療や臓器の検査をする医療用の放射性物質の国内製造を近く再開する。およそ10年ぶりとな…

三洋化成の新分野への挑戦

三洋化成と長瀬産業は、AI 技術を応用した人工嗅覚で匂いを識別する「匂いセンサー」について共同で事業…

ケムステSlack、開設二周年!

Chem-Stationが立ち上げた化学系オープンコミュニティ、ケムステSlackを開設して早くも二…

過酸がC–H結合を切ってメチル基を提供する

光増感剤とニッケル触媒を用いたC(sp3)–Hメチル化が開発された。合成終盤でのメチル化に威力を発揮…

化学の祭典!国際化学オリンピック ”53rd IChO 2021 Japan” 開幕!

2021年7月「オリンピック/パラリンピック 東京2020大会」も無観客ではあるものの無事開幕されま…

O-脱メチル化・脱アルキル化剤 基礎編

メトキシ基→ヒドロキシ基への変換、割と苦戦しますよね。保護基と呼ぶには利便性が数歩足…

マイクロ波化学のカーボンニュートラルや循環型社会におけるアプリケーションや事業状況

当社のマイクロ波プラットフォーム技術および工業化知見を活用し、アクリル樹脂の分解に必要なエネルギーを…

NMRデータ処理にもサブスクの波? 新たなNMRデータ処理ソフトウェアが登場

NMRメーカーである日本電子のイギリス法人、JEOL UKが6月、WindowsとmacOSの両方で…

芳香環交換反応を利用したスルフィド合成法の開発: 悪臭問題に解決策

第 326回のスポットライトリサーチは、早稲田大学理工学術院 山口潤一郎研究室 …

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP