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海外化学者インタビュー

第80回―「グリーンな変換を実現する有機金属触媒」David Milstein教授

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第80回の海外化学者インタビューは、デヴィッド・ミルスタイン教授です。ワイツマン化学研究所の有機化学部門に所属し、有機金属化学と均一触媒反応を研究しています。それでは、インタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

熱心で古風な化学の先生がいました。軌道についてはあまり気にしませんでしたが、鮮やかで考えさせる実験によってクラスを興奮させていました。興味をそそられて、自分でもいくつかの実験をしてみましたが、驚いたことにうまくいきました。先生の化学への愛情と献身は感動的なものでした。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

船長です。海が好きなのです。海はリラックスでき、挑戦的で、予測不可能なものです。化学が好きな時もあります。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

最善を尽くすことによってです。「低い障壁」の方針に向かうのではなく、変化をもたらすと信じられる問題に集中しましょう。流行やバズワードの影響を受けないようにしましょう。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

イスラエルの初代大統領、ハイム・ワイツマンです。先見の明のある化学者でもありました。彼は、科学と政治(または政治的手腕)の融合が実りをもたらした、希少事例の代表格でした。英国第一次世界大戦における彼の科学的貢献は、1917年のバルフォア宣言への道を開きました(「パレスチナにおけるユダヤ人のための国民的住居の設置を支持する陛下の政府見解」)。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

研究室でではありませんが、息子たちの誕生日を、化学的好奇心をみせつつ楽しくしようとしました。およそ10年前に中止されました(息子は結局化学者にはなりませんでした)。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

ボート製造職人のマニュアルがいいです。もっとまじめな話、リヒャルト・ヴィウシュテッターの「From My Life」。1915年のノーベル賞受賞者による、思慮深く示唆に富む本です。お気に入りのCDは、ベートーベンの「交響曲第九番」です。

原文:Reactions – David Milstein

※このインタビューは2008年9月5日に公開されました。

cosine

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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