[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第108回―「Nature Chemistryの編集長として」Stuart Cantrill博士

[スポンサーリンク]

第108回の海外化学者インタビューは、スチュアート・カントリル博士です。Nature Chemistry誌の編集長を務めています(第1号刊行記念として編集長自ら答えています!)。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

おそらくは、物理学がつまらなすぎて数学が簡単すぎると感じていたからでしょう―どちらも今は無縁ですが。最初の大学生活は2週間弱でした。バーミンガム大に物理学と天体物理学の学位を取りに行ったのですが、大学に入ったとたん、自分がとんでもない間違いをしていたことに気がつきました。念願の「1年休学」の間 「自分探し」や「魂の探求」を実際にはほとんどしてこなかったので、その後にAレベルの成績だった他の2つの科目のうち1つを選んでしまったのです。(当時サーではなかった)フレイザー・ストッダートがシラバスを破り捨て、立体化学の基礎を教える代わりに、オリンピアダンや他のインターロック分子について教えてくれた時、授業の初日に夢中になりました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

シェフかもしれません。本質は化学なんですが、出来たものは食べられるので。 そうは言っても、自分はあまりにも食事にうるさいので、おそらくはうまくいかないでしょうね。

理想の世界ではマンチェスター・ユナイテッドでプレーするセンターフォワードになりたいと思っていましたが、それが叶わなかった理由はたくさんあります。 サッカーが得意ではないし、膝も悪いし・・・。

現実的な話をするなら、作家になりたいですね。とても本を書きたいと思っています。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

次号のNature Chemistryを編集しています!名声と幸運につながるといいですね。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

これは難しい質問です。他の「Reactions」でも、この項目の回答はたいていいつも楽しく読んでいます。ですので、前の何人かがやっていたようにズルをして、複数のゲストとの夕食会をホストすることにします。

招待する最初の2人のゲストは、イングランド(および関連するその時々の他の領地)の君主、クイーン・エリザベス1世とクイーン・エリザベス2世です。私はただ座って、この国を支配してきたこの2人の注目すべき女性に、約4世紀もの間にこの国を支配してきた彼らの経験についてのメモを比較してもらいたいと思います。あ、あと、この質問にはもう答えられないかもしれないので、ダグラス・アダムスという、この世のものとは思えないほどの想像力とユーモアのセンスを持った素晴らしい作家をお招きしたいと思います。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

おそらく2003年初頭にカリフォルニア工科大学で行った、閉環メタセシス反応だったと思いますが、100%の確証はありません・・・NMRチューブで行い、Angewandteの論文につながったと思います。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

ネイチャー・ケミストリーの創刊号も含め、このような状況でも許される標準的な文章を持っていると仮定すると、またもや本を前にしてズルをしなければならなくなりそうです。初めてトールキンの『指輪物語』を読んだのは10歳の時で、折り目だらけの本を持って行くわけにはいかないでしょうか。最近読んだ本の中では最高の一冊ですが、まだよく理解できていないものに、Audrey Niffeneggerの『The Time Traveler’s Wife』です。理由は深入りしませんが、メキシコのビーチ傘の外にあるデッキチェアに座って日の出を見ながら、この本を読み終えました。全くぴったりの設定に思えました。

[amazonjs asin=”4566023826″ locale=”JP” title=”文庫 新版 指輪物語 全10巻セット (評論社文庫)”][amazonjs asin=”B015PB0L6G” locale=”JP” title=”The Time Traveler’s Wife (English Edition)”]

音楽に関しては・・・うーん・・・別の日に尋ねてもらうと、違う答えを返すんじゃないでしょうか。だから、またもやちょっとズルしてみましょうか・・・もし1枚のCDでよければ、18種類のトラックを焼こうと思います・・・以下の曲が入っているでしょう。U2R.E.M.、James、New OrderDepeche ModeThe CureManic Street PreachersSnow PatrolNine Inch Nails、そして、もっと思慮深い時のために、ベートーヴェンチャイコフスキーモーツァルトを少しだけ。

Q. 「Reactions」でインタビューしてみたい化学者は誰ですか?

ロバート・バーンズ・ウッドワードですが、もうこの世にいないので難しいかもしれません。存命の化学者となると・・・バリー・シャープレスジョージ・ホワイトサイズE・J・コーリーですね。

原文:Reactions –  Stuart Cantrill

※このインタビューは2009年3月20日に公開されました。

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第112回―「生体分子センサー・ドラッグデリバリーシステムの開発…
  2. 第55回―「イオン性液体と化学反応」Tom Welton教授
  3. 第八回 自己集合ペプチドシステム開発 -Shuguang Zha…
  4. インタビューリンクー時任・中村教授、野依理事長
  5. 第28回「ナノバイオデバイスが拓く未来医療」馬場嘉信教授
  6. 第60回「挑戦と興奮のワイワイ・ワクワク研究センターで社会の未来…
  7. 第155回―「化学結合と反応性を理論化学で理解する」Sason …
  8. 第94回―「化学ジャーナルの編集長として」Hilary Cric…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 実現思いワクワク 夢語る日本の化学者
  2. 有機機能性色素におけるマテリアルズ・インフォマティクスの活用とは?
  3. 化学者のためのWordマクロ -Supporting Informationの作成作業効率化-
  4. 第106回―「分子の反応動力学を研究する」Xueming Yang教授
  5. 論文コレクター必見!WindowsでPDFを全文検索する方法
  6. 有機ラジカルポリマー合成に有用なTEMPO型フリーラジカル
  7. 第99回日本化学会年会 付設展示会ケムステキャンペーン Part I
  8. N-フルオロ-N’-(クロロメチル)トリエチレンジアミンビス(テトラフルオロボラート):N-Fluoro-N’-(chloromethyl)triethylenediamine Bis(tetrafluoroborate)
  9. 還元的アルドール反応 Reductive Aldol Reaction
  10. 期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

第18回 Student Grant Award 募集のご案内

公益社団法人 新化学技術推進協会 グリーン・サステイナブルケミストリーネットワーク会議(略称:JAC…

杉安和憲 SUGIYASU Kazunori

杉安和憲(SUGIYASU Kazunori, 1977年10月4日〜)は、超分…

化学コミュニケーション賞2024、候補者募集中!

化学コミュニケーション賞は、日本化学連合が2011年に設立した賞です。「化学・化学技術」に対する社会…

相良剛光 SAGARA Yoshimitsu

相良剛光(Yoshimitsu Sagara, 1981年-)は、光機能性超分子…

光化学と私たちの生活そして未来技術へ

はじめに光化学は、エネルギー的に安定な基底状態から不安定な光励起状態への光吸収か…

「可視光アンテナ配位子」でサマリウム還元剤を触媒化

第626回のスポットライトリサーチは、千葉大学国際高等研究基幹・大学院薬学研究院(根本研究室)・栗原…

平井健二 HIRAI Kenji

平井 健二(ひらい けんじ)は、日本の化学者である。専門は、材料化学、光科学。2017年より…

Cu(I) の構造制御による π 逆供与の調節【低圧室温水素貯蔵への一歩】

2024年 Long らは、金属有機構造体中の配位不飽和な三配位銅(I)イオンの幾何構造を系統的に調…

可視光活性な分子内Frustrated Lewis Pairを鍵中間体とする多機能ボリルチオフェノール触媒の開発

第 625 回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院 工学研究科 有機・高…

3つのラジカルを自由自在!アルケンのアリール-アルキル化反応

アルケンの位置選択的なアリール-アルキル化反応が報告された。ラジカルソーティングを用いた三種類のラジ…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP