[スポンサーリンク]

D

デ-マヨ反応 de Mayo Reaction

[スポンサーリンク]

 

 概要

1,3-ジカルボニル化合物とアルケンを光環化条件に付し、続いて開裂させることで1,5-ジカルボニル化合物を得る方法。

 

基本文献

  • de Mayo, P. et al. Proc. Chem. Soc. London 1962, 119.
  • de Mayo, P.; Takeshita, H. Can. J. Chem. 1963, 41, 440.
  • Challand, B. D.; Hikino, H.; Kornis, G.; Lange, G.; de Mayo, P. J. Org. Chem. 1969, 34 , 794. DOI: 10.1021/jo01256a006
  • de Mayo, P. Acc. Chem. Res. 1971, 4, 41. DOI: 10.1021/ar50038a001

<photochemical reaction in total synthesis>

 

反応機構

deMayo_3.gif

反応例

Ingenolの合成[1] deMayo_2.gif

実験手順

ベンザインを基質とする反応例[2] deMayo_0.gif

ジムロート・温度計・撹拌子を備え、加熱乾燥させた500mL三径丸底フラスコに、窒素雰囲気下CsF (19.7 g, 130 mmol, 2.5 equiv)を加える。無水アセトニトリル(260mL)をシリンジで加え、撹拌しながらアセト酢酸メチル(5.60 mL, 6.01 g, 51.8 mmol, 1.00 equiv)と2-(trimethylsilyl)phenyl trifluoromethanesulfonate (15.7 mL, 19.3 g, 64.7mmol, 1.25 equiv)をシリンジで加える。反応溶液をオイルバスに浸して40分加熱還流させる。溶液は加熱に従い懸濁状液から黄色、橙色、再び黄色溶液へと変化していく。オイルバスから引き上げて室温まで放冷し、溶液を飽和食塩水(200mL)で希釈する。水層をジエチルエーテル(3×200mL)で抽出し、合わせた有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥させる。ろ過後、有機層をエバポレータ(35℃, 45 mmHg)で濃縮すると橙色油状物質が得られる。カラムクロマトグラフィ(SiO2, 170g, ジエチルエーテル/ヘキサン)で大まかに精製した後、減圧蒸留(124-130℃, 0.75 mmHg)を行うことで、目的物を白色結晶性固体として得ることができる(6.63 g, 67%)。

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Winkler, J. D.; Rouse, M. B.; Greaney, M. F.; Harrison, S. J.; Jeon, Y. T. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 9726. doi:10.1021/ja026600a
[4] Ebner, D. C.; Tambar, U. K.; Stoltz. B. M. Org. Synth. 2009, 86, 161. [website]

 

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4785330899″ locale=”JP” title=”光化学―光反応から光機能性まで”][amazonjs asin=”4621086855″ locale=”JP” title=”分子光化学の原理”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. DABSOを用いるSO2導入反応 SO2 incorporati…
  2. コーリー・ニコラウ マクロラクトン化 Corey-Nicolao…
  3. シリル系保護基 Silyl Protective Group
  4. 一重項酸素 Singlet Oxygen
  5. ピニック(クラウス)酸化 Pinnick(Kraus) Oxid…
  6. トロスト不斉アリル位アルキル化反応 Trost Asymmetr…
  7. 山口マクロラクトン化 Yamaguchi Macrolacton…
  8. 水素化ジイソブチルアルミニウム Diisobutylalumin…

注目情報

ピックアップ記事

  1. シェールガスにかかわる化学物質について
  2. 【書籍】電気化学インピーダンス 数式と計算で理解する基礎理論
  3. 100年以上未解明だった「芳香族ラジカルカチオン」の構造を解明!
  4. ここまでできる!?「DNA折り紙」の最先端 ③ ~立体を作ろう! 編~
  5. ルイス酸/塩基でケイ素を操る!シリレンの原子価互変異性化
  6. 「夢・化学-21」 夏休み子ども化学実験ショー
  7. ピンポン玉で分子模型
  8. ニトログリセリン / nitroglycerin
  9. 有機合成化学の豆知識botを作ってみた
  10. 野依不斉水素移動反応 Noyori Asymmetric Transfer Hydrogenation

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年5月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP