アラスカのカブトムシは「分子の防寒コート」で身を守る

Dec
25
2009
Author: cosine[Edit ] View: [1287]
Category:海外ニュースより , 研究
はてなブックマーク - アラスカのカブトムシは「分子の防寒コート」で身を守る このエントリーを含むはてなブックマーク この記事をGoogle Bookmarksに登録する この記事をYahoo!ブックマークに登録する この記事を含むlivedoorクリップ この記事をnewsingに登録する この記事をChoixに登録する この記事をBuzzurlに登録する この記事をイザ!ブックマークに登録する この記事をFC2ブックマークに登録する この記事をニフティクリップに登録する この記事をdel.icio.usに登録する








antifreeze_alaska1.jpg
(引用:Chemistry World)

アラスカなどの極地方には、極限環境で棲息している生きものが多くいます。

彼らの身体を構成するものは、もちろん炭素、水素、窒素、酸素・・・であり、そういう目で見れば、我々人間と大差ありません。

しかし彼らは、時には-70℃まで至るほどの厳しい気候から自分の身を守り、生命活動を続けています。その秘密とは一体全体何なのでしょうか?

この問いに対して新たな視点から回答を与える研究が、このほどアラスカの研究グループから報告されました。

彼らはアラスカの氷土に生息するカブトムシ(Upis ceramboides)から、ザイロマンナン(xylomannan)という化合物を単離しました。名前から想像できる通り、キシロース(xylose)およびマンノース(mannose)という2種の糖が連結した骨格をもちます。それに脂質分子が付加した形になっています。

これは不凍分子(Antifreeze Molecule)と呼ばれる化合物群にカテゴライズされます。

これまで発見された不凍分子としては、タンパク質骨格をベースとした不凍タンパク質が良く知られていました。

研究者達も当初は、「アラスカカブトムシからも、不凍タンパク質が見つかるに違いない」と考え、その発見に尽力していたようです。しかし結局見つからずじまい。最終的にこのザイロマナンの発見に行き着いたそうです。

ザイロマンナンのような、非タンパク型の不凍分子はこれまでに例が無く、働き方もタンパク型のそれとは異なっている、と考えられています。

仮説段階ではありますが、ザイロマンナンがお互い自己集積することによって、細胞膜の周りをコーティングし、細胞外でできてしまった氷の侵入を防ぐことで、細胞へのダメージを抑えているのではないか、と推測されています。

言ってみれば分子が織りなす「防寒コート」というわけですね。まったく自然界の優れた仕組みには恐れ入るばかりです。


この発見には、4年もの歳月が費やされたそうです。こういう地道そのものの研究があってこそ、我々が知りうる世界の境界というものが、じわりじわりと広がってゆく――それを忘れないようにしたいものですね。

  • 文献
"A nonprotein thermal hysteresis-producing xylomannan antifreeze in the freeze-tolerant Alaskan beetle Upis ceramboides"
Walters, K. R., Jr.; Seriannib, A. S.; Sformoc, T.; Barnesc, B. M.; Dumana, J. G. Proc. Natl. Acad. Sci. USA published online 11/23/2009, doi: 10.1073/pnas.0909872106


  • 関連リンク

不凍タンパク質 - Wikipedia

不凍糖タンパク質の化学合成 -不凍魚の秘密をさぐる

Non-protein antifreeze helps Arctic beetle chill out (Chemistry World)

Scientists Isolate New Antifreeze Molecule in Alaska Beetle (Science Daily)

Alaska's super-cool bug blood (alaskadispatch.com)



【スポンサード広告】

関連記事

このページをTwitterでつぶやくもしくはReTweetする

つぶやく場合は青、ReTweetしていただける場合は赤をクリックしてください!
Twitter-blue-32 Twitter-red-32

この記事を評価してくださいませんか?皆さんのコメントもお待ちしております!!

評価は下の星にマウスをあわせてドラッグしてください。1~5段階です。コメントはWrite a reviewをクリックして入力してください。ユーザー登録不要です。






ホーム > 海外ニュースより , ホーム > 研究 > アラスカのカブトムシは「分子の防寒コート」で身を守る


« ストラディバリウスの音色の秘密は「ニス」にあらず | トップページ | 2009年10大化学ニュース »

サイト内検索


新着記事


カテゴリ

化学ニュース

  • 国内

RSS表示パーツ

  • 海外

RSS表示パーツ

Powered by Movable Type 4.261