[スポンサーリンク]

E

求電子的トリフルオロメチル化 Electrophilic Trifluoromethylation

[スポンサーリンク]

 

概要

フッ素原子は立体的には水素原子と酷似しているが、電気的には全く逆の陰性である。このためフッ素置換によって、構造を大きく変えることなく電気的チューニングが行える。 とりわけトリフルオロメチル基をもつ有機化合物は、医薬品開発において重要標的となる分子群である。

導入には、大別して求核的手法(Ruppert-Prakash法)および求電子的/ラジカル的手法の二つが考えられる。

とりわけ後者は実用的な手法が限られていたものの、近年になって優れた試薬および反応条件が様々に開発されつつある。以下に代表的なものを記しておく。

e_trifluoromethyl_3.gif

基本文献

<General Reviews>

<Umemoto’s reagent>

<Togni’s reagent>

  • Eisenberger, P.; Gischig, S.; Togni, A. Chem. Eur. J. 2006, 12, 2579. DOI: 10.1002/chem.200501052
  • Kieltsch, I,; Eisenberger, P.; Togni, A. Angew. Chem. Int. Ed. 2007, 46, 754. DOI: 10.1002/anie.200603497
  • Eisenberger, P.; Kieltsch, I.; Armanino, N.; Togni, A. Chem. Commun. 2008, 1575. DOI: 10.1039/B801424H
  • Stanek, K.; Koller, R.; Togni, A. J. Org. Chem. 2008, 73, 7678. DOI: 10.1021/jo8014825
  • Koller, R.; Stanek, K.; Stolz, D.; Aardoom, R.; Niedermann, K.; Togni, A. Angew. Chem. Int. Ed. 2009, 48, 4332. DOI: 10.1002/anie.200900974
  • Eisenberger, P.; Kiltsch, I.; Koller, R.; Stanek, K.; Togni, A. Org. Synth. 2011, 88, 168. [PDF]

<Shibata-Johnson reagent>

  • Noritake, S.; Shibata, N.; Nakamura, S.; Toru, T.; Shiro, M. Eur. J. Org. Chem. 2008, 3465. DOI: 10.1002/ejoc.200800419

<Langlois/Baran’s reagent>

  • Langlois, B. R.; Laurent, E.; Roidot, N. Tetrahedron Lett. 1991, 32, 7525. doi:10.1016/0040-4039(91)80524-A
  • Ji, Y.; Bruecki, T.; Baxter, R. D.; Fujiwara, Y.; Seiple, I. B.; Su, S.; Blackmond, D. G.; Baran, P. S. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2011, 108, 14411. doi: 10.1073/pnas.1109059108
  • Fujiwara, Y.; Dixon, J.A.; Rodriguez, R.A.; Baxter, R.D.; Dixon, D.D.; Collins, M.R.; Blackmond, D.G.; Baran, P.S. J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 1494. DOI: 10.1021/ja211422g
  • Fujiwara, Y.; Dixon, J.A.; O’Hara, F.; Daa Funder, E.; Dixon, D.D.; Rodriguez, R.A.; Baxter, R.D.; Herle, B.; Sach, N.; Collins, M.R.; Ishihara, Y.; Baran, P.S. Nature 2012, 492, 95. doi:10.1038/nature11680
  • Ye, Y.; Kunzi, S. A.; Sanford, M. S. Org. Lett. 2012, 14, 4979. DOI: 10.1021/ol3022726

 

反応機構

トリフルオロメチル基は電気陰性なフッ素原子に反応中心が囲まれているため、背面攻撃からの置換(SN2反応)が不利である。

 

反応例

 

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”0895737051″ locale=”JP” title=”Fluorine-Containing Molecules: Structure, Reactivity, Synthesis, and Applications (Molecular Structure and Energetics)”][amazonjs asin=”0471543705″ locale=”JP” title=”Synthetic Fluorine Chemistry”][amazonjs asin=”352730617X” locale=”JP” title=”Handbook of Fluorous Chemistry”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 秋山・寺田触媒 Akiyama-Terada Catalyst
  2. エッシェンモーザーカップリング Eschenmoser Coup…
  3. NHPI触媒によるC-H酸化 C-H Oxidation wit…
  4. N末端選択的タンパク質修飾反応 N-Terminus Selec…
  5. エッシェンモーザー・タナベ開裂反応 Eschenmoser-Ta…
  6. コープ転位 Cope Rearrangement
  7. 宮浦・石山ホウ素化反応 Miyaura-Ishiyama Bor…
  8. ワーグナー・メーヤワイン転位 Wagner-Meerwein R…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ケムステの記事を導出しています
  2. カーボンナノチューブの分散とその応用【終了】
  3. アントンパール 「Monowave300」: マイクロ波有機合成の新武器
  4. 生物指向型合成 Biology-Oriented Synthesis
  5. ノーベル医学生理学賞、米の2氏に
  6. 椎名マクロラクトン化 Shiina Macrolactonization
  7. 国公立大入試、2次試験の前期日程が実施 ~東京大学の化学の試験をレビュー~
  8. 位置多様性・脱水素型クロスカップリング
  9. 第36回 生体を模倣する化学― Simon Webb教授
  10. Reaxys無料トライアル実施中!

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年3月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

2024年ノーベル化学賞は、「タンパク質の計算による設計・構造予測」へ

2024年10月9日、スウェーデン王立科学アカデミーは、2024年のノーベル化学賞を発表しました。今…

デミス・ハサビス Demis Hassabis

デミス・ハサビス(Demis Hassabis 1976年7月27日 北ロンドン生まれ) はイギリス…

【書籍】化学における情報・AIの活用: 解析と合成を駆動する情報科学(CSJカレントレビュー: 50)

概要これまで化学は,解析と合成を両輪とし理論・実験を行き来しつつ発展し,さまざまな物質を提供…

有機合成化学協会誌2024年10月号:炭素-水素結合変換反応・脱芳香族的官能基化・ピクロトキサン型セスキテルペン・近赤外光反応制御・Benzimidazoline

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年10月号がオンライン公開されています。…

レジオネラ菌のはなし ~水回りにはご注意を~

Tshozoです。筆者が所属する組織の敷地に大きめの室外冷却器がありほぼ毎日かなりの音を立て…

Pdナノ粒子触媒による1,3-ジエン化合物の酸化的アミノ化反応の開発

第629回のスポットライトリサーチは、関西大学大学院 理工学研究科(触媒有機化学研究室)博士課程後期…

第4回鈴木章賞授賞式&第8回ICReDD国際シンポジウム開催のお知らせ

計算科学,情報科学,実験科学の3分野融合による新たな化学反応開発に興味のある方はぜひご参加ください!…

光と励起子が混ざった準粒子 ”励起子ポラリトン”

励起子とは半導体を励起すると、電子が価電子帯から伝導帯に移動する。価電子帯には電子が抜けた後の欠…

三員環内外に三連続不斉中心を構築 –NHCによる亜鉛エノール化ホモエノラートの精密制御–

第 628 回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院薬学研究科 分子薬科学専…

丸岡 啓二 Keiji Maruoka

丸岡啓二 (まるおか けいじ)は日本の有機化学者である。京都大学大学院薬学研究科 特任教授。専門は有…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP