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一般的な話題

DNAが絡まないためのループ

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DNA はなぜ絡まずに収納されるのか。これはゲノム高次構造に関する最も悩ましい問題の1つだが、「ループ状ドメイン」の形成がその1つの答えとなりそうだ。ただし、ループ形成を推し進めているものの正体については見解が分かれている。

タイトルおよび説明はシュプリンガー・ネイチャーの出版している日本語の科学まとめ雑誌である「Natureダイジェスト」7月号から。最新サイエンスを日本語で読める本雑誌から個人的に興味を持った記事をピックアップして紹介しています。過去の記事は「Nature ダイジェストまとめ」を御覧ください。

ループ形成の謎に挑む研究者たち

二重らせんを組み遺伝子情報を伝えるDNA。ヒトゲノムDNAは長さ2mにも及ぶにも関わらず、これらは絡まることなくそれぞれの細胞にうまく詰め込まれています。それらはなぜ絡まないか?

カバンにいれたDNAより極太のイヤホンだって簡単に絡まる

 

その答えは「ループ押し出し(loop extrusion)」と呼ばれる環状のモータータンパク質を絶えず通り抜けてループをつくっているからと説明されます。

ではそのループはどうやってできているのか?また何がループ形成の原動力となっているのか?

本記事ではその答えを探る研究について特集を組んで数ページに渡り解説しています。有力な案は以下の図の通り。

  1. DNAはタンパク質複合体である環状のコヒーシンを通り抜けてループになる。
  2. CTCFいうタンパク質はDNAに結合している向きが正しい場合にだけループ押し出しを止める。
  3. 最終的に押し出しの完了した根元には2個のCTCFタンパク質とコヒーシンがある。

これらが繰り返されて多数のループを形成し絡まらないと言う案です。

コヒーシン複合体とCTCFタンパク質が絡まりを抑える (画像:Natureダイジェスト)

 

何がループ押し出しの原動力になっているのかという問いにはいまだ最終的な答えには程遠いですが、現在ゲノム生物学における最大とされているこの問題の解決に多くの科学者達が挑んでいます。

世界初のナノカーレース開催!

ナノメートルサイズの自動車が金でできたサーキットを走るという、ユニークなレースが開催された。

話題となっていたので知っている方も多いと思いますが、本年の4月28-29日に、フランスのCEMES-CNRS研究所で世界最小のカーレースが行われました。出走した車はすべて単分子でできたいわゆる「ナノカー」。6ケ国から6チームが参加し、最速のナノカーの称号を目指して金のトラック上で競いました。

6つの「ナノカー」が世界最小のカーレースに挑んだ(画像出典:Natureダイジェスト)

 

日本からは物質・材料研究機構 国際ナノアーキテクトニクス拠点(MANA-NIMS)の化学者中西和嘉さんをチームリーダーとした5名の科学者が参加。

JAPANナノカーチーム

 

カッコイイので空間充填モデルで描かれていますが、日本チームの”車”は構造式で描くと以下の分子。ビナフトールが両側についていて、車体はベンゼンです。ビナフトールが上下に動いてキャタピラーのように動く仕組みです。車というよりもロボットのように動くようです。

日本チームの車の分子構造

 

ナノカーレースのウェブサイトには、各チームのナノカーがどのように動くのか?解説しています。また本記事ではナノカーレースとその当日の様子、またチームリーダーの中西さんのインタビューも紹介しています。


NanoCar Race 投稿者 CNRS-en

 実在する機械のように分子設計し合成する分子マシンが2016年のノーベル賞を受賞しこの分野は大変盛り上がっています。このナノカーが自走することは難しそうですが、化学を啓蒙するツールとして大変魅力的であり、このカーレースは非常に面白い企画であったと思いました。

その他の記事

今月号の特別無料公開記事は2つ。1つは「イモムシには腸内細菌がいない?」。「腸内細菌はすべての生物にとって必須である」という既存の概念を覆す可能性がある発見だとされています。

もう一つは「人工硝子体として長期埋め込み可能なゲル」です。Nature関連雑誌に掲載された日本人著者へのインタビューで酒井崇匡教授(東京大学)にインタビューしています。膨潤や白濁などを起こさないハイドロゲルを開発し、実際ウサギに注入。人工硝子体としての可能性を示しました。本論文は最近創刊されたNature Biomedical Engineeringに掲載されています。

他にも様々な最新科学に関する記事がありますが、もうひとつ気になったのが、「靴紐が解けてしまう謎が解けた」。タイトルどおり、靴紐がなぜ突然解けるのか?を真剣に科学した内容です。著者がその理由がわからず、他の人達も理由が答えられなかったので研究してみたといった唐突な内容。こういうお話大好きです。

最先端科学を知ること

前回の記事に続いて、最先端科学を知ることについての重要性について少し述べます。

先日、東大で開催されたとある講演会・交流会に参加してきました。アメリカ西海岸と東海岸の研究者コミュニティ、CSFBJRFが主催した合同講演会です。東大理学研究科の合田教授らが中心となっているコミュニティで、短期間でもアメリカのカルフォルニアもしくはボストンで研究・開発に従事していた方ならば誰でも参加することが可能です。

CSF&BJRF合同講演会&交流会

 

講演内容は微小な電気機械システム(MEMS)研究の年吉洋教授(東大)とNEXTTOKYOを提案している、梅澤高明氏。年吉教授は昔はお遊びであったMEMSが携帯端末などの普及によりあっという間に実用的なものになってしまった経緯と自身の研究についてお話されました。梅澤氏は、現在急速に進んでいる東京の再開発が10個の六本木ヒルズをつくるというつまらないものでなく、地域で特徴のある個性的な街づくりを提言し、実現しようとしている話をしていました。2名とも大変レベルの高い話を、簡単に話されていて感銘を受けました。いやいやこんな話できるのかな(苦笑)。

内容は両者とも化学にはまーーったく関係ないですが、関係ないからこそ楽しく聞けました。まあそこまでは良かったのですが、およそ100名ほどの参加者がいる中で化学関係者は数名。それ以外は法律の研究や経営者、物理系・生物の研究者ばかり。なんとも話を続けるのが難しいのです。

今回は科学に限らずでしたが、やはり教養として最低限の知識ぐらい身に着けておくべきだ改めて思いました。そして、最先端科学を学ぶならばこのNatureダイジェストが一番のおすすめです。

新規研究室購読者に、前年度のPDF1年分を収録したDVD贈呈

現在、Natureダイジェストの新規購読者キャンペーンを行っています。2017年9月30日までに研究室購読を申し込みいただくと(個人ではありません)、もれなく前年度のPDF1年分を収録したDVDがもらえるそうです。キャンペーン申し込みはこちら

過去記事はまとめを御覧ください

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Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

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