[スポンサーリンク]

一般的な話題

ケムステSlack、開設一周年!

[スポンサーリンク]

ケムステが主体となって立ち上げた化学専用オープンコミュニティ、ケムステSlackを開設してはや一年が経過しました!(Slackって何?という方はこちら
現在、参加登録者数は1800人近く、アクティブユーザー数(一週間以内にログインした人の数)も600人程度と、当初想定していたよりもはるかに大きなコミュニティになっています。設立前は、目指せ100人!とか言っていたのが懐かしいです。

スタート時と比較すると参加人数もチャンネル数も増え、多岐にわたる化学の情報が共有されています。学術系コミュニティとしての落ち着きと安定感も出てきて、価値のあるコミュニティに成長しつつある手ごたえを感じている次第です。最近はケムステVシンポとの相乗効果か、新規参入の方も多くなってきており、今後の盛り上がりも楽しみです!

一方、Slackの文化が馴染まず、うまい使い方ができないままフェードアウトしている方や、参加を迷っている方も多いのではないかという感触です。また、ある程度の盛り上がりは既にあるものの、Slackの持つポテンシャルはこんなものではなさそうな気もしています。

この記事では、ここまで運用してみての雑感と、今のケムステSlackをよりうまく使っていくヒントをいくつかお伝えしようと思います。

ケムステSlackへの参加方法や概要は、ケムステSlack開設時の記事を参考にしていただければ幸いです。

一年間運用してみての率直な感想

思い切ってSlackコミュニティを作ってみてよかったな、と思っています。やはり限られた時間の中での運用の難しさを感じる場面も感じていますが、予期していなかった相乗効果が随所で見られていて、補って余りある良さを感じています。思いつくままにあげてみると、

  1. 他大学の学生から自分の出版した論文に対しての質問、議論が直接きて良い議論ができた
  2. 分野別チャンネル(「#c01_光化学」など。後述)で話題の論文などを肴に異分野の研究者と盛り上がれる
  3. SNSとは異なった経路で異分野の情報がそれなりの頻度で流れてくるので見識が拡がるのを感じる
  4. 視聴者の方々や、ケムステスタッフ間のコミュニケーションが明らかに増えた

設立時から狙っていた、肩肘張らないコミュニケーションの場の提供、という点はある程度達成できている気がします。また、設立時から比較すると、少し以下のような構造的な工夫もしています。

チャンネルの多様化

Slackの機能として、チャンネルシステムがあります。これはいうなればメッセージのジャンル分けで、チャンネルに応じて得たい情報を選べるようになっています。

ケムステSlackに入ると、以下の10チャンネルにはデフォルトで登録されます。

#a01_お知らせ_新着記事
#a02_目安箱
#a03_雑談
#a04_質問
#a05_気になるニュース
#a06_気になる論文
#a07_学会イベント情報
#a08_求人情報
#a09_奨学金_研究費_賞
#a10_自己紹介

このうち、#a01以外は、ユーザーの意思でチャンネルを抜けることもできます。また、チャンネルごとに通知設定もできるので、利用スタイルに応じてうまく設定してもらえると理想的かもしれません。

また、運営を初めてほどなくして、参加者からの希望で新たなチャンネル設立を受けるという方針でいろいろ増やしていきました。こんな感じです。

まず、上で紹介したデフォルトのチャンネルはaで始まるチャンネルですが、化学に関連しているけどちょっと周辺であるような話題はbチャンネルとして分類しています。2020年7月27日現在、以下のチャンネルが登録されています。

#b01_科学技術_ビジネス化
#b02_海外留学
#b03_本日の課題
#b04_diy化学
#b05_化学英語
#b06_化学教育
#b07_オープンサイエンス
#b08_コロナ対応
#b09_化学史
#b10_化学産業_企業

また、cチャンネルは学術分野別チャンネルです。

#c01_光化学
#c02_機械学習_人工知能
#c03_ニューモダリティ
#c04_数学
#c05_有機金属_錯体化学
#c06_高分子化学
#c07_ケミカルバイオロジー
#c08_天然物化学

あとまだ一つだけですが地域特化のdチャンネルもあります。

#d01_九州

個々のチャンネルの紹介をしだすと長くなるので、それは別の機会にします。現時点(2020年7月現在)では、上記の29チャンネルが存在し、様々な情報交換がなされています! また、見てお分かりの通り、かなり不ぞろいです。なんであのチャンネルがないんだ!と心に湧き上がってきた方、是非 #02_目安箱 でチャンネル申請を。お待ちしています!

左のサイドバーから、「チャンネル」の横にある+をクリックすると、チャンネルの一覧が見れます。興味を持てるチャンネルがあれば、是非参加してください!

ユーザーからの感想

一周年を記念して、ケムステSlack内でもアンケート(良いところ、改善点など)を取ってみました。いくつか参加者の声を紹介させていただきたいと思います。

[使っていて、ケムステSlackの良いと思うところ、気に入っているところを教えてください。]

  • 日頃かかわることのない方々と交流でき、気兼ねなく質問ができる場として重宝しています。
  • 注目の論文を紹介してくださるので異分野の論文でも興味の惹かれる論文に出会えるところ。
  • 熱心に投稿してくださる方のお陰でタイムリーに情報が手に入る。
  • 取っ付きづらい論文も、タイトルだけしか読まなくても「今こんなことが起こっているんだ」と簡単に知ることが出来る点。学部生の身なのですが、新しい論文を積極的に目を通すのはかなりハードルが高く(特に異分野)、ケムステスラックを情報源としています。英語論文にまだ慣れていない人間としてはケムステスラックが一番良いと個人的に結論づけました。また、やる気のある学生を応援してくれる教授、化学メーカー、博士課程の方、また同志となる学生達とコミュニケーションを取れるのが何よりも利点だと思います。質問のチャンネルが特に素晴らしいと思います。自分の大学内に留まらず、様々な分野、学職の人と関われるということはかなり世界、視点を広げてくれるものだと思います。
  • 色々な情報が得られ、情報媒体として役立っている。時に議論などが生まれるのもとても良い。
    セミオープンで専門の場なので、研究室とも一般SNSとも違った話を聞けたり、発言・質問できるのが楽しいです。
  • 初学者と上級者が一堂に会している雰囲気が好きです。研究室や学会にもない、ここだけの独自の空気だと思います。
  • 見ているとモチベーションが上がる

[今一つと思うところや改善点、今後の期待等、アドバイスあれば教えてください。]

  • 投稿者がまだまだ少ないようにも感じる
  • もう少し投稿に対する反応が良ければ,研究や情報の価値や興味の度合いをはかれるのになと思います。
  • 双方向の議論・意見交換などがさらに活発になったらより楽しくなるだろうなぁとは思っています。参加者の気の持ちよう次第なのですが。なんとなく、皆が自由に会話に参加できる空気になるには、なにか一歩足りないような気がしています
  • 所属学会の垣根を超えた交流(オフ会や異分野シンポジウム、勉強会など)やSlackを通した議論などがより活発になっていくと面白いと思います。
  • ユーザー同士の交流する場があるといいなと感じました。
  • せっかく分野の違う人がいつでもコミュニケーションできる環境なので、参加者たちで研究プロジェクトやアイデアソンイベント等を立ち上げたり運営する仕組み作りをして、オンラインサロン的な雰囲気になれば業界全体として楽しくなりそうです。
  • ケムステslackが持つポテンシャルには期待しています!

新しい研究交流の場になっている点は、上手く使えているユーザーは満足してくれている回答が多かったです。特に少し異分野を覗くような形の情報が入ってきやすいのと、場合によってはそのまま専門家に気軽に質問・議論できる点が面白いと感じてくださっているようでした。一方、発言者がどうしても少なかったり、自由に発言をどうぞ!と言われてもやっぱり障壁を感じる…というような意見も多かったです。この点何とかしたいという思いは持ってまして、例えば筆者が主にかかわりが深い光化学チャンネルや錯体化学チャンネルでは、試験的に勉強会のようなものをときどき企画したりしています。今後もいろいろ試行錯誤しながら、コミュニティとしての活性化を図りたいと思います。

多くの方から意見が聞けて、大変嬉しかったです!

最後に

コロナ禍で、ネットベースの知の探究がより重要になってきたからこそ、良いプラットフォームにできればと考えています。そのためには、参加者の皆さんのお力添えも間違いなく必要です。こちらとしても、ケムステSlack関連の記事を積極的に書いて様々な活用の展開を紹介していくようにしたいと思います。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

まだ入ってないけど、ちょっと興味湧いてきた!という方、まずはこちらのケムステSlack開設時の記事を見てみてください。よければぜひ、一緒に化学を楽しみ、盛り上げる仲間になっていただけると幸いです!

ケムステSlack参加はこちら

関連リンク

  1. 日本初の化学専用オープンコミュニティ、ケムステSlack始動!
  2. Slack
  3. 【完全初心者向け!】コミュニケーションツールSlack(スラック)の使い方
  4. ケムステ過去記事:化学系ラボでSlackを使ってみた

spectol21

投稿者の記事一覧

ニューヨークでポスドクやってました。今は旧帝大JKJ。専門は超高速レーザー分光で、分子集合体の電子ダイナミクスや、有機固体と無機固体の境界、化学反応の実時間観測に特に興味を持っています。

関連記事

  1. パラトーシスを誘導する新規化合物トリプチセンーペプチドハイブリッ…
  2. ベンゼン一つで緑色発光分子をつくる
  3. テルペンを酸化的に”飾り付ける”
  4. リングサイズで性質が変わる蛍光性芳香族ナノベルトの合成に成功
  5. 化学者のためのエレクトロニクス講座~次世代の通信技術編~
  6. 褐色の要因となる巨大な光合成膜タンパク質複合体の立体構造の解明
  7. 近況報告PartI
  8. 産官学の深耕ー社会への発信+若い力への後押しー第1回CSJ化学フ…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 光学活性なα-アミノホスホン酸類の環境に優しい新規合成法を開発
  2. 太陽電池バックシートの開発と評価【終了】
  3. 映画「分子の音色」A scientist and a musician
  4. ODOOSをリニューアル!
  5. ジオトロピー転位 dyotropic rearrangement
  6. ダイセルによる化学を活用した新規デバイス開発
  7. 中分子創薬に挑む中外製薬
  8. キラルシリカを“微小らせん石英セル”として利用した円偏光発光制御技術の開発
  9. 化学コミュニケーション賞2023を受賞しました!
  10. 第63回「遊び人は賢者に転職できるのか」― 古川俊輔 助教

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年7月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
2728293031  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP