[スポンサーリンク]

化学書籍レビュー

創薬化学

[スポンサーリンク]

内容

創薬化学は、有機化学を基盤科学として、薬理学、生化学、分子生物学、分析化学、薬物動態学、製剤学、生命情報学など多くの基礎科学に関連した学際的学問であり、これからさらに発展が期待される21世紀の学問と位置づけられる。本書は創薬化学を初めて学ぶ者にとって必要不可欠なものを厳選して記載した。いずれの章も“創薬”の観点から学部学生、大学院生にとって必要と思われる記述に限定して、それぞれの専門家が執筆した。(内容紹介より)

対象

  • 薬学・創薬化学を学びはじめた学部生~大学院修士
  • これから創薬化学の世界に入門される方
  • 医薬品情報担当者や薬理研究者

解説

医薬品はどうやって作られ、試験され、世に出されるのか?これを考えるためには、まず何をおいても「創薬化学」の基礎と全体像を押さえておく必要がある。

本書は薬学部の学部生・大学院生を主たる対象に、創薬化学の入門的知識を提供する目的で執筆された教科書である。

低分子創薬に関する主なトピック・エッセンスはほぼ網羅され、それぞれ系統立てて解説されている。後半部では代表的低分子医薬の開発経緯なども紹介されており、現場の創薬研究がどのような過程を経てきているかについても、実例にもとづき学ぶことができる。良書であるがあくまで最初の1冊という想定のため、各項目に関しては紹介程度の記載しか無いものが多い。本書の読破後に、より発展的な書籍を読んでいくこととなるはずだ。

本書は2004年刊行であり、第1刷から既に10年以上が経過している。読者の多い教科書であれば既に改訂時期だろうが、「学部生向けに低分子創薬の基礎を理解させる」という目的に限れば、総じて今でも通用する内容だと思える。とはいえ「創薬化学のパラダイムシフト」として紹介される例が、今では当たり前に過ぎるゲノム創薬とコンピュータ補助設計であることからも、やはり幾ばくかの古さは否めない。先端トピック紹介の部分だけでも追記が必要なタイミングかも知れない。また伝統ある低分子創薬を主に扱う都合上、昨今台頭著しいバイオ医薬に関しては記載が薄めである。これについては「ここまで進んだ次世代医薬品」を補助読本として読むと、理解が進むと思われる。

同レベルの書籍としては佐藤健太郎著「創薬科学入門」が挙げられるだろう。こちらも入門教科書としての使用に堪えうる構成だが、読み物的な筆致で書かれており読みやすい。これと本書を合わせて読めば、低分子創薬のプロセスと、それに必要となる一通りの基礎・考え方・概念・道具は大づかみできると思われる。

関連書籍

関連リンク

気ままに創薬化学

cosine

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 高分子の合成(上)(下)
  2. 【書籍】化学探偵Mr.キュリー5
  3. 改正 研究開発力強化法
  4. Lithium Compounds in Organic Syn…
  5. Innovative Drug Synthesis
  6. 菌・カビを知る・防ぐ60の知恵―プロ直伝 防菌・防カビの新常識
  7. 医薬品の合成戦略ー医薬品中間体から原薬まで
  8. ここまで進んだ次世代医薬品―ちょっと未来の薬の科学

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 周期表の形はこれでいいのか? –その 2: s ブロックの位置 編–
  2. アメリカの大学院生だってパーティするっつーの! 【アメリカで Ph.D. を取る –Qualification Exam の巻 後編】
  3. エチルマレイミド (N-ethylmaleimide)
  4. 染色体分裂で活躍するタンパク質“コンデンシン”の正体は分子モーターだった!
  5. 第45回―「ナノ材料の設計と合成、デバイスの医療応用」Younan Xia教授
  6. 個性あるジャーナル表紙
  7. ケムステのライターになって良かったこと
  8. シャープレス不斉ジヒドロキシル化 Sharpless Asyemmtric Dihydroxylation (SharplessAD)
  9. アルケンとニトリルを相互交換する
  10. 有機合成化学の豆知識botを作ってみた

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

注目情報

注目情報

最新記事

転職を成功させる「人たらし」から学ぶ3つのポイント

転職活動を始めた場合、まずは自身が希望する職種、勤務地、年収などの条件を元にインターネットで求人を検…

mRNAワクチン(メッセンジャーRNAワクチン)

病原体のタンパクをコードしたmRNAをベースとしたワクチン。従来のワクチンは、弱毒化・不活化した病原…

第139回―「超高速レーザを用いる光化学機構の解明」Greg Scholes教授

第139回の海外化学者インタビューはグレッグ・ショールズ教授です。トロント大学化学科(訳注:現在はプ…

分子の対称性が高いってどういうこと ?【化学者だって数学するっつーの!: 対称操作】

群論を学んでいない人でも「ある分子の対称性が高い」と直感的に言うことはできるかと思います。しかし分子…

非古典的カルボカチオンを手懐ける

キラルなブレンステッド酸触媒による非古典的カルボカチオンのエナンチオ選択的反応が開発された。低分子触…

CEMS Topical Meeting Online 機能性材料の励起状態化学

1月28日に毎年行われている理研の無料シンポジウムが開催されるようです。事前参加登録が必要なので興味…

カルボン酸に気をつけろ! グルクロン酸抱合の驚異

 カルボン酸は、カルボキシ基 (–COOH) を有する有機化合物の一群です。カルボン…

第138回―「不斉反応の速度論研究からホモキラリティの起源に挑む」Donna Blackmond教授

第138回の海外化学者インタビューはドナ・ブラックモンド教授です。2009年12月現在、インペリアル…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP