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H

ヒュスゲン環化付加 Huisgen Cycloaddition

アルキン、窒素化合物→ 複素環化合物

 

概要

  • [3+2]双極子付加環化反応の一種。きわめて高収率かつ高い官能基選択性で進行する。ほかにどのような官能基があっても、ほぼアルキンとアジドのみが反応する。反応は不可逆的である。溶媒を選ばず、水中でも反応は進行する。アトムエコノミーは100%である。
  • この特性が脚光を浴び、機能性物質創製(医薬候補化合物、バイオプローブ、ソフトマテリアルetc)におけるリゲーション反応として広く活用されるようになった。Sharplessによって推進されているクリックケミストリーの代名詞的反応として知られる。このため俗に“Click Reaction”と呼ばれることも。
  • 適切な銅(I)触媒の添加によって、末端アルキンの場合には100万倍近く反応が加速される。それとともに、位置選択性も向上する。特にCu(I)-TBTA触媒は優れた活性を示す。最近ではルテニウムにも触媒活性があることが報告されている。

huisgen13_3.gif

基本文献

・Huisgen, R. Angew. Chem., Int. Ed. Engl. 19632, 565.
・Review: Wu, P.; Fokin, V. V. Aldrichimica Acta 200740, 7.[PDF]

<Cu-catalyzed conditions>

  • Rostovtsev, V. V.; Green, L. G.; Fokin, V. V.; Sharpless, K. B. Angew. Chem., Int. Ed. 2002, 41, 2596. [Abstract]
  • Tornoe, C. W.; Christensen, C.; Meldal, M. J. Org. Chem. 2002, 67, 3057. DOI: 10.1021/jo011148j
  • Chan, T. R.; Hilgraf, R.; Sharpless, K. B.; Fokin, V. V.Org. Lett. 2004, 6, 2853. DOI: 10.1021/ol0493094
  • Rodionov, V. O.; Presolski, S. I.; Diaz Diaz, D.; Fokin, V. V.; Finn, M. G. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 12705. DOI: 10.1021/ja072679d

<Review for Click Chemistry>

 

反応機構

熱的条件は、典型的な[3+2]双極子付加環化反応である。

銅触媒を用いる場合には、銅アセチリド経由で進行すると考えられている。位置選択性もこのメカニズムで説明可能。

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反応例

クリックケミストリーという大局的研究思想に基づく応用が盛んである。傑出した研究例を以下に示す。

  • Sharplessらはアセチルコリンエステラーゼ(AchE)を鋳型とし、異なる結合部位をもつ2種の阻害剤をHuisgen環化によりリゲーションすることを試みた。その結果、世界最強のAchE阻害剤を発見することに成功している[1]

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  • Bertozziらは、歪んだ電子求引性シクロオクチンをデザインし、無触媒下・穏和な条件でHuisgen環化を達成した[2]。本条件はバイオアッセイに影響を与える重金属を用いる必要がないため、様々な生体化合物のプローブとして有効活用できると期待される。
    huisgen13_5.gif

 

  • ルテニウム触媒によるHuisgen環化[3]。 内部アルキンでも反応が進行する。 huisgen13_6.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

  1.  (a) Sharpless, K. B. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 200241, 1053. [Abstract] (b) Sharpless, K. B. et al. J. Am. Chem. Soc. 2005, 127, 6686. DOI:10.1021/ja043031t
  2. (a) Agard, N. J.; Prescher, J. A.; Bertozzi, C. R. J. Am. Chem. Soc. 2004, 126, 15046.DOI: 10.1021/ja044996f (b) Bertozzi, C. R. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA 2007104, 16793. doi:10.1073/pnas.0707090104
  3.  (a) Fokin, V. V. et al. J. Am. Chem. Soc. 2005127, 15998. DOI: 10.1021/ja054114s (b) Fokin, V. V. et al.J. Am. Chem. Soc. 2008130, ASAP. DOI: 10.1021/ja0749993

 

関連反応

 

関連書籍

外部リンク

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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