[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

アジズ・サンジャル Aziz Sancar

[スポンサーリンク]

アジズ・サンジャル(Aziz Sancar、1946年9月8日(トルコ生)[1]は、アメリカの生化学・分子生物化学者である。長年、DNA修復酵素の一つであるフォトリアーゼや哺乳類の概日リズム、フラボタンパク質Cryptochromeに関する研究を行ってきた。2000年より、雑誌Journal of Biological Chemistryのエディターを務める。Sancarはトルコ出身の二人目のノーベル賞受賞者である。

 

経歴

1969 イスタンブール メディカルスクール 卒業
1975 テキサス大学ダラス校 修士号取得
1977 テキサス大学ダラス校 博士号 (分子生物学) 取得
1977-1982 研究員 エール 医学研究所
1982-1988 準教授 ノースカロライナ大学
1988-1997 教授 ノースカロライナ大学
1997-現在 Sarah Graham Kenan教授

 

受賞歴

2015 ノーベル化学賞
2007 Turkish Koçアワード
2001 ノースカロライナDistinguished Chemist アワード
1995 NIH MERITアワード
1990 American Society for Photobiology Research アワード

 

研究業績

DNA損傷・修復に関する研究 [2]

サンジャルは、DNAの損傷から修復にかけての一連の流れを分子レベルで解明することに貢献した。紫外線によって二量体を形成したDNA内のチミン部位を三つの酵素(UvrABヌクレアーゼ、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ)による一連の働きで、元の状態へ戻す機構を明らかにしている。

この業績が評価され、Tomas Lindahl、 Paul Modrichらとともに2015年のノーベル化学賞を共同受賞した。

 

概日時計に関する研究 [3]

植物を含む多くの生物は、およそ24時間を周期とする固有の体内時計を持つ。実際の概日リズムの周期は、「24時間」からずれがあるものの、外部からの主に光刺激によって我々の一日単位である24時間周期へと同調する。人間の場合、視覚を通して視床下部の時計神経へと光が伝わることで、概日リズムの同調が行われている。この概日リズムの発生に要する遺伝子の一群は、時計遺伝子とよばれる。時計遺伝子は翻訳-転写-フィードバックループ(TTFL)で構成され、SancarはCRY(Cryptochrome)と呼ばれるフラボタンパク質がヒトの時計タンパク質の中核を成し、重要な働きをしていることを明らかにした。

fig3_sancar[1]

名言集

 

コメント&その他

 

関連動画

 

関連文献

  1. “Profile of Aziz Sancar“ PNAS  102, 16125–16127 doi: 10.1073/pnas.0507558102
  2. “Molecular Mechanisms of Mammalian DNA Repair and the DNA Damage Checkpoint” Aziz Sancar, Laura A. Lindsey-Boltz, Keziban Unsal-Kacmaz, and Stuart Linn, Annu. Rev. Biochem. 2004. 73, 39–85. doi: 10.1146/annurev.biochem.73.011303.073723 
  3. “Circadian Clock, Cancer, and Chemotherapy” Aziz Sancar, Laura A. Lindsey-Boltz, Shobhan Gaddameedhi, Christopher P. Selby, Rui Ye, Yi-Ying Chiou, Michael G. Kemp, Jinchuan Hu, Jin Hyup Lee, and Nuri Ozturk Biochemistry, 2015, 54, 110–123 DOI: 10.1021/bi5007354

 

関連書籍

 

関連リンク

 

関連記事

  1. クリストファー・ウエダ Christopher Uyeda
  2. 鈴木 啓介 Keisuke Suzuki
  3. 荘司 長三 Osami Shoji
  4. 堀場雅夫 Masao Horiba  
  5. Igor Larrosa イゴール・ラロッサ
  6. マイケル・クリシェー Michael J. Krische
  7. エキモフ, アレクセイ イワノビッチ Екимов, Алекс…
  8. 有賀 克彦 Katsuhiko Ariga

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 映画007シリーズで登場する毒たち
  2. 藤沢の野鳥変死、胃から農薬成分検出
  3. 万有製薬、つくば研究所を閉鎖
  4. ペリ環状反応―第三の有機反応機構
  5. 化学産業のサプライチェーンをサポートする新しい動き
  6. ローソン試薬 Lawesson’s Reagent
  7. 呉羽化学、明るさを保ちながら熱をカットする窓ガラス用素材
  8. 毛染めでのアレルギー大幅低減へ ~日華化学がヘアカラー用染料開発~
  9. だんだん柔らかくなるCOF!柔軟性の違いによる特性変化
  10. 生体医用イメージングを志向した第二近赤外光(NIR-II)色素:②合成蛍光色素

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2015年10月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031  

注目情報

最新記事

実験条件検討・最適化特化サービス miHubのメジャーアップデートのご紹介 -実験点検討と試行錯誤プラットフォーム-

開催日:2023/12/13 申し込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の…

カルボン酸β位のC–Hをベターに臭素化できる配位子さん!

カルボン酸のb位C(sp3)–H結合を直接臭素化できるイソキノリン配位子が開発された。イソキノリンに…

【12月開催】第十四回 マツモトファインケミカル技術セミナー   有機金属化合物 オルガチックスの性状、反応性とその用途

■セミナー概要当社ではチタン、ジルコニウム、アルミニウム、ケイ素等の有機金属化合物を“オルガチッ…

保護基の使用を最小限に抑えたペプチド伸長反応の開発

第584回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 薬学系研究科 有機合成化学教室(金井研究室)の…

【ナード研究所】新卒採用情報(2025年卒)

NARDでの業務は、「研究すること」。入社から、30代・40代・50代……

書類選考は3分で決まる!面接に進める人、進めない人

人事担当者は面接に進む人、進まない人をどう判断しているのか?転職活動中の方から、…

期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

π共役系配位子と金属が交互に配位しながら環を形成したサンドイッチ化合物の合成が達成された。嵩高い置換…

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP