[スポンサーリンク]

ケムステニュース

製薬各社 2011年度 第2四半期決算

[スポンサーリンク]

 913610_796619451.jpg

 2011年度、国内製薬大手各社の第2四半期決算が発表されました。長引く円高で各社苦戦を強いられる中、アステラスは増収増益を確保し、通期見通しを上方修正しています。一方エーザイは、主力のアリセプトが予想を上回るスピードで後発品の餌食となり減収減益、通期見通し下方修正と苦しい状況になっています。それでは各社の決算状況の概要を見ていきましょう。

  • 武田薬品 減収減益

 売上高前期比1.6%減の7025億円。営業利益4.8%減の2110億円。純利益5.9%減の1356億円で減収減益となった。円高の影響をもろに受けての減収減益だ。主力のアクトスは12.6%減の1710億円。特に日本では後発品の参入により2割売り上げを落としている。タケプロンも米国での後発品の影響が大きく17.1%1減の623億円だった。9月30日にはスイスの製薬会社ナイコメッド社の買収を完了した。その買収額96億ユーロ(1.05兆円, 1ユーロ=110円)はニュースにもなった。主力のアクトス特許満了に備え早めの一手を打った格好だ。これにより通期の売上見通しを1.45兆円から1.54兆円に上方修正した。利益面については買収費用の計上により下方修正している。

  • アステラス 増収増益

 売上高前期比4.8%増の4839億円。営業利益22.2%増の829億円。純利益17%増の513億円で増収増益となった。主力のプログラフ、ハルナールの後発品による影響が一巡した。プログラフが2.1%減の799億円。ハルナールは4.5%減の319億円。特に国内事業の順調な推移が際立った。主力のベシケアも予想を上回る状況で通期見通しを上方修正している。

  • 第一三共 減収減益

 売上高前期比8.6%減の4560億円。営業利益31%減の621億円。純利益29%減の370億円で減収減益となった。欧米クラビット後発品発売、円高、ランバクシー社の売り上げ減が影響した。ランバクシー社単体の売り上げは20.6%減の782億円。クラビットは22.2%減の264億円。主力のオルメテックはグローバルで1.8%増の1238億円を売り上げた。国内ではメマリーやネキシウムといった新製品を新発売した。それぞれ39億円、26億円。また、国内一般医薬品事業はロキソニンの好調がけん引し6.7%増の224億円。新製品群の伸長に期待がかかる。

  • エーザイ 減収減益

 売上高前期比19.7%減の3310億円。営業利益24.9%減の504億円。純利益16.6%減の333億円で減収減益となった。米国アリセプトが後発品の影響をもろに受け、前年同期比93%減の73億円と約1000億円が飛んだ。国内アリセプトは13%増の576億円と好調を維持するが、日本でも11年度後半から後発品が参入してくる。12年度には薬価改定により1~2割薬価が下げられることが予想されている。日米欧で販売を開始した新薬ハラヴェンの売り上げは62億円。アリセプトの売り上げ激減が予想以上だったためか、通期見通しを下方修正した。

matsumoto

投稿者の記事一覧

修士(工学)。学生時代は有機合成・天然物合成に従事し、現在は某製 薬メーカー合成研究員。

関連記事

  1. 日本コンピュータ化学会2005秋季年会
  2. AIが作った香水、ブラジルで発売
  3. 住友化学、硫安フリーのラクタム製法でものづくり大賞
  4. 既存の石油設備を活用してCO2フリー水素を製造、ENEOSが実証…
  5. 力を受けると蛍光性分子を放出する有機過酸化物
  6. 変わりゆく化学企業の社名
  7. 服用で意識不明6件、抗生剤に厚労省が注意呼びかけ
  8. ノーベル化学賞受賞者が講演 3月1日、徳島文理大学

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 高電気伝導性を有する有機金属ポリイン単分子ワイヤーの開発
  2. ビッグデータが一変させる化学研究の未来像
  3. ヒドリド転位型C(sp3)-H結合官能基化を駆使する炭素中員環合成
  4. フローケミストリーーChemical Times特集より
  5. バージェス試薬 Burgess Reagent
  6. 「重曹でお掃除」の化学(その2)
  7. 細胞をつなぐ秘密の輸送路
  8. 化学研究で役に立つデータ解析入門:回帰分析の応用編
  9. アダム・コーエン Adam E. Cohen
  10. 秋の褒章2009 -化学-

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2011年11月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

第11回 慶應有機化学若手シンポジウム

シンポジウム概要主催:慶應有機化学若手シンポジウム実行委員会共催:慶應義塾大…

薬学部ってどんなところ?

自己紹介Chemstationの新入りスタッフのねこたまと申します。現在は学部の4年生(薬学部)…

光と水で還元的環化反応をリノベーション

第609回のスポットライトリサーチは、北海道大学 大学院薬学研究院(精密合成化学研究室)の中村顕斗 …

ブーゲ-ランベルト-ベールの法則(Bouguer-Lambert-Beer’s law)

概要分子が溶けた溶液に光を通したとき,そこから出てくる光の強さは,入る前の強さと比べて小さくなる…

活性酸素種はどれでしょう? 〜三重項酸素と一重項酸素、そのほか〜

第109回薬剤師国家試験 (2024年実施) にて、以下のような問題が出題されま…

産総研がすごい!〜修士卒研究職の新育成制度を開始〜

2023年より全研究領域で修士卒研究職の採用を開始した産業技術総合研究所(以下 産総研)ですが、20…

有機合成化学協会誌2024年4月号:ミロガバリン・クロロププケアナニン・メロテルペノイド・サリチル酸誘導体・光励起ホウ素アート錯体

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2024年4月号がオンライン公開されています。…

日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました

3月28日から31日にかけて開催された,日本薬学会第144年会 (横浜) に参加してきました.筆者自…

キシリトールのはなし

Tshozoです。 35年くらい前、ある食品メーカが「虫歯になりにくい糖分」を使ったお菓子を…

2つの結合回転を熱と光によって操る、ベンズアミド構造の新たな性質を発見

 第 608回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院 生命科学院 生命科学専攻 生命医…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP