[スポンサーリンク]

ケムステニュース

帝人、EV向けメンブレンのラインを拡充

[スポンサーリンク]

6日、テイジンはEV他を背景とするバッテリー需要に対応するため、松山事業所の生産設備の増強し微多孔膜「ミライム(miraim)」の量産工場を2018年中に稼働させると発表した。 (引用:2月6日Response)

ミライムはテイジンが開発した超高分子量ポリエチレンを原料とする高機能メンブレン(多孔質膜)で、テイジン独自の技術により10μm前後の微細な穴の密度、薄膜の厚さ、耐熱・耐圧・浸透性といったコーティング技術を細かく制御できるようです。今までは、韓国で主に生産していましたが、今回30億円をかけて愛媛県松山市の事業所に量産設備を新設することになり生産能力は五倍になるそうです。主の応用はバッテリーの電極や電解質を分離するための薄膜(メンブレン)で、現在、テイジンではスマホや電子機器向けの民生用バッテリー向けにメンブレンを製造していますが、今後は最近の電気自動車ブームにより需要が高まっている車載用バッテリーのニーズにも答えていくそうです。もちろん他の化学会社も生産拡大を計画していて各社の競争が激しくなりそうです。

社名 生産拠点 生産能力(m2/年・推定) 増産計画
旭化成 日本・韓国・米国 6億 20年までに2倍以上に
東レ 日本・韓国 4億 20年までに5倍以上に。欧州での工場新設検討
住友化学 日本・韓国 2億1000万 将来は4億m2/年へ
宇部興産 日本 2億 20年頃までに3億m2/へ
テイジン 日本・韓国 3600万 将来的には5倍に

各社の事業戦略

ミライムの他の応用として半導体製造におけるレジスト液(洗浄液)の濾過膜があります。半導体を製造する際に、水やアルカリ液で洗浄する工程があります。それらの液体に異物が含まれていると、正しく凹凸パターンが作られず、不良品になってしまいます。回路を半導体のプロセッサやメモリの配線がより細かくなる中、材料の異物を除去できることが厳密に求められています。そのため、テイジンではハイエンドな半導体のニーズとIoTブームにより生産拡大をする必要があると判断したようです。

半導体開発における液体を扱うラボ(ウェットラボ)の様子。粒子が少ないクリーンルームで作業をしている。

「電池」に関するケムステ関連記事

関連書籍

[amazonjs asin=”4904774485″ locale=”JP” title=”リチウムイオン電池の安全性と要素技術 (設計技術シリーズ)”] [amazonjs asin=”4907002564″ locale=”JP” title=”多孔質フィルム/膜の製造技術”]

関連リンク

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. 積水化学、高容量電池の火炎防ぐ樹脂繊維複合材を開発
  2. ハネウェル社、アルドリッチ社の溶媒・無機試薬を販売へ
  3. 相原静大教授に日本化学会賞 芳香族の安定性解明
  4. マイクロ波加熱を用いた省エネ・CO2削減精製技術によりベリリウム…
  5. NECら、データセンターの空調消費電力を半減できる新冷媒採用シス…
  6. 武田、フリードライヒ失調症薬をスイス社と開発
  7. エーザイ、アルツハイマー治療薬でスウェーデン企業と提携
  8. トムソン・ロイターのIP & Science事業売却へ…

注目情報

ピックアップ記事

  1. Cyclopropanes in Organic Synthesis
  2. キシリトールのはなし
  3. 槌田龍太郎 Ryutaro Tsuchida
  4. 緑膿菌の代謝産物をヒトの薬剤に
  5. アルカロイド骨格を活用した円偏光発光性8の字型分子の開発 ~天然物化学と光材料化学の融合~
  6. 高選択的な不斉触媒系を機械学習で予測する
  7. ピーター・ジーバーガー Peter H. Seeberger
  8. トロスト不斉アリル位アルキル化反応 Trost Asymmetric Allylic Alkylation
  9. 総収率57%! 超効率的なタミフルの全合成
  10. ポンコツ博士の海外奮闘録XXIII ~博士の危険地帯サバイバル 薬物編~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年2月
 1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP