[スポンサーリンク]

海外化学者インタビュー

第84回―「トップ化学ジャーナルの編集者として」Anne Pichon博士

[スポンサーリンク]

第84回の海外化学者インタビューは、アンネ・ピコン博士です。Nature Chemistry誌およびNature Asia-PacificのAssociate Editorを担当しています(訳注:現在はSenior Editor)。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

学校では数学、物理学、化学、生物学に興味を持っていましたが、化学には創造性を発揮する余地がより多くあることがわかりました。また、選択しなければならなかった年の熱心な化学の先生は、間違いなく私に影響を与えました。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

教師です!教師の家庭で育ち、(教える科目についてはいつも心変わりしますが)教師になるといつも思っていました。教育は特に重要だと思いますし、一翼を担えるなら全く構いません。もし本当になれるのなら、画家にもなりたいと思っていますが、絵の才能がそこまででもないことは幼い頃から明らかでした。

Q. 概して化学者はどのように世界に貢献する事ができますか?

化学者はすでに、環境問題から健康問題まで、非常に幅広い分野で現代的問題への答えを探し求めています。また、科学者と一般の人々の間にはコミュニケーションの問題もあり、ほとんどの人は、研究者が実際に何をしているのか良く分かっていません・・・教育を通じて、一般の人々に化学をもっとよく理解してもらうことは、非常に価値があると思います。

Q.あなたがもし歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

すでにここで何度か挙がっていますが、もしももう一度ディナーをしてくれるなら、自由と平等のために戦い世界を変えたネルソン・マンデラにお会いしたいです。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

博士課程を終えた2年前です。2種類の配位子でつくられた銅ベースの金属―有機構造体を調べ、優れた気体貯蔵特性を研究しました。構造もそうですが、美しい緑色の結晶として成長する(ほとんどこれが理由かも?)ため、その構造体を特に気に入っていました。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

これは大変難しい選択です。J・R・R・トールキンの「指輪物語」は何度も読んだ(映画を見たこともあります)ので、残念ですが避けておきましょう。Daniel Pennacの「La Saga Malaussène」シリーズを持っていきます。パリのベルヴィルに住むMalaussèneファミリーの面白くウィットに富んだ冒険譚です。おっと、「シリーズもの」 はズルでしょうか?それならGregory David Roberts著の「Shantaram」を持っていきます。ちょうど読み始めたばかりですが、非常に抗いがたい魅力があります。CDはボブ・マーリーの「Legend」にします。

[amazonjs asin=”B07BHX9VJ9″ locale=”JP” title=”El caso Malaussène (Vol. 1: Me mintieron) (Spanish Edition)”][amazonjs asin=”0349117543″ locale=”JP” title=”Shantaram”][amazonjs asin=”B0000669JL” locale=”JP” title=”Legend (New Packaging)”]

原文:Reactions – Anne Pichon

※このインタビューは2008年10月3日に公開されました。

 

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. 第39回「発光ナノ粒子を用いる生物イメージング」Frank va…
  2. 第96回―「発光機能を示す超分子・ナノマテリアル」Luisa D…
  3. 第162回―「天然物の合成から作用機序の解明まで」Karl Ga…
  4. 第17回 研究者は最高の実験者であるー早稲田大学 竜田邦明教授
  5. 第五回 化学の力で生物システムを制御ー浜地格教授
  6. 【第二回】シード/リード化合物の合成
  7. 第一回 人工分子マシンの合成に挑む-David Leigh教授-…
  8. 第176回―「物質表面における有機金属化学」Christophe…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 核酸医薬の物語3「核酸アプタマーとデコイ核酸」
  2. 酸素ボンベ爆発、男性死亡 
  3. 理研の研究グループがアスパラガスの成分を分析、血圧降下作用があることを発見
  4. マテリアルズ・インフォマティクスにおける予測モデルの解釈性を上げるには?
  5. アスピリンから生まれた循環型ビニルポリマー
  6. N-オキシドの合成 Synthesis of N-oxide
  7. 有合化若手セミナーに行ってきました
  8. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑤:ショットノートの巻
  9. 冬のナノテク関連展示会&国際学会情報
  10. 正宗・バーグマン反応 Masamune-Bergman Reaction

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2020年4月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

7th Compound Challengeが開催されます!【エントリー〆切:2026年03月02日】 集え、”腕に覚えあり”の合成化学者!!

メルク株式会社より全世界の合成化学者と競い合うイベント、7th Compound Challenge…

乙卯研究所【急募】 有機合成化学分野(研究テーマは自由)の研究員募集

乙卯研究所とは乙卯研究所は、1915年の設立以来、広く薬学の研究を行うことを主要事業とし、その研…

大森 建 Ken OHMORI

大森 建(おおもり けん, 1969年 02月 12日–)は、日本の有機合成化学者。東京科学大学(I…

西川俊夫 Toshio NISHIKAWA

西川俊夫(にしかわ としお、1962年6月1日-)は、日本の有機化学者である。名古屋大学大学院生命農…

市川聡 Satoshi ICHIKAWA

市川 聡(Satoshi Ichikawa, 1971年9月28日-)は、日本の有機化学者・創薬化学…

非侵襲で使えるpH計で水溶液中のpHを測ってみた!

今回は、知っているようで知らない、なんとなく分かっているようで実は測定が難しい pH計(pHセンサー…

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP