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海外化学者インタビュー

第161回―「C-H官能基化と脱芳香族化を鍵反応とする天然物合成」Shu-Li You教授

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第161回の海外化学者インタビューは、シューリー・ユー教授です。中国科学院上海有機化学研究所・有機金属化学国家重点実験室に有機化学教授として勤務し、方法論の開発、全合成、医薬化学に取り組んでいます。それではインタビューをどうぞ。

Q. あなたが化学者になった理由は?

高校時代に化学が得意で、大学では化学を専攻しました。今は、興味のある新しい分子に簡単にアクセスできるような新しいツールを開発することで、化学者としての仕事を楽しんでいます。

Q. もし化学者でなかったら、何になりたいですか?またその理由は?

現実として、もし大学で学ぶ機会がなかったら今頃、親の仕事を継いで農家をしているでしょう。しかし、もし選べるのなら、科学雑誌の編集者になりたいと思っています。すべての投稿が公平に扱われるように、最善を尽くしたいと思います。

Q. 現在取り組んでいることは何ですか?そしてそれをどう展開させたいですか?

C-H結合の直接官能基化と不斉脱芳香化をベースにした新しい方法論の開発に取り組んでいます。究極的には、興味ある分子を作ろうとするとき、すべての化学者が私たちの方法論を使用できるようになるといいですね。

Q.あなたがもし、歴史上の人物と夕食を共にすることができたら誰と?またその理由は?

インスリンの発見で1923年にノーベル賞を受賞したフレデリック・G・バンティング氏です。インスリンの発見物語にはとても興味をそそられており、聞きたいことがたくさんあります。

Q. あなたが最後に研究室で実験を行ったのはいつですか?また、その内容は?

そういえば、かなり久しぶりにラボワークをしました。最後に実験したのは約1年前で、不斉フリーデル・クラフツ反応でした。独立して間もない頃、実験時間がたくさんあった頃が、今となってはとても懐かしいです。

Q.もしあなたが砂漠の島に取り残されたら、どんな本や音楽が必要ですか?1つだけ答えてください。

化学の本ではないことは確かです。難しい選択ですが、おそらくダン・ブラウンの「ダ・ヴィンチ・コード」と、ポップシンガーの故・テレサ・テンの音楽集を持っていくと思います。

Q.「Reactions」でインタビューしてほしい化学者と、その理由を教えてください。

同じ学部にいるLixin Dai教授です。Dai先生は高貴な方であり、偉大な化学者であり、ユニークな個性を持つ方です。

 

原文:Reactions – Shuli You

※このインタビューは2011年6月23日に公開されました。

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博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

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