[スポンサーリンク]

一般的な話題

アノマー効果を説明できますか?

[スポンサーリンク]

 

大学の授業で習う有機化学のあんなことやこんなこと。

分子軌道やDiels-Alder反応生成物の立体化学、アキシャルアタック。今でも説明できますか?

 

研究が専門的になるにつれて、徐々に専門外の分野の知識は忘れていってしまうもの。また、専門分野であってもあまり使わない知識は曖昧になっているかもしれません。

 

今回は大学院の有機化学の授業でおそらく習うであろう「アノマー効果」について取り上げてみたいと思います。

2位に電気陰性置換基Xを有するテトラヒドロピラン化合物は、その2位の置換基Xがアキシャル型となる立体配座が熱化学的に安定となります。この効果はアノマー効果と呼ばれています。

anomeric effect1.gif

 

この効果は以下の2通りの説明がなされます。

A 酸素原子上の孤立電子対が、C-X結合の反結合性軌道に超共役して非局在化され安定化されるという説明。

B 双極子反発が小さくなるために安定化されるという説明。

anomeric effect2.gif

 Aの説明の方がよく使われているでしょうか。少なくとも私はAの説明で習った気がします。しかしながら最近では、計算化学によりBの説明の方が適切なのではないかという報告もなされております。

 一つ一つの現象を解明するのも化学の面白さの一つ。大学の授業のノートをもう一度引っ張り出してみると、新しいアイディアが湧いてくるかもしれませんね。

Avatar photo

らぱ

投稿者の記事一覧

現在、博士課程にて有機合成化学を学んでいます。 特に、生体分子を模倣した超分子化合物に興味があります。よろしくお願いします。

関連記事

  1. 研究動画投稿で5000ユーロゲット?「Science in Sh…
  2. 不斉アリル位アルキル化反応を利用した有機合成
  3. 「誰がそのシャツを縫うんだい」~新材料・新製品と廃棄物のはざま~…
  4. 新規重水素化触媒反応を開発―医薬品への直接重水素導入を達成―
  5. 第3の生命鎖、糖鎖の意味を解明する!【ケムステ×Hey!Labo…
  6. 東京理科大学みらい研究室にお邪魔してきました
  7. 分子間および分子内ラジカル反応を活用したタキソールの全合成
  8. テトラサイクリン類の全合成

注目情報

ピックアップ記事

  1. 金触媒で変身できるEpoc保護基の開発
  2. 2024年ノーベル化学賞は、「タンパク質の計算による設計・構造予測」へ
  3. 創薬における中分子
  4. 徹底比較 特許と論文の違い ~その他編~
  5. Grubbs第一世代触媒
  6. 【25卒 化学業界企業合同説明会 8/29(火)・30(水)・9/5(火)・6(水) Zoomウェビナー開催!】化学系学生のための就活
  7. 神経変性疾患関連凝集タンパク質分解誘導剤の開発
  8. 紅麹を含むサプリメントで重篤な健康被害、原因物質の特定急ぐ
  9. システイン選択的タンパク質修飾反応 Cys-Selective Protein Modification
  10. Q&A型ウェビナー マイクロ波化学質問会

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年9月
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP