[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

有機化学美術館が来てくれました

[スポンサーリンク]

10月25日の銀河系軍団の来襲、いや講演にはやはり圧巻で驚かされるばかりでしたが【参照:今年の名古屋メダルはアツイぞ!】、実は次の日が本番!前回述べたように有機化学美術館の館長さんである佐藤健太郎さんがついに来てくれました。一部では、佐藤さん曰く、「ケムステと有機美術館の対決か?」(笑)と言われていたらしいのですが、そんなワケもなく、昔から会いたいと思っていた人でした。ニアミスがあったのは2007年の春。佐藤氏の著書【有機化学美術館へようこそ】を査読させていただいたのですが、完成後に本書をわざわざ大学まで届けて下っさったのです。しかし残念ながら、筆者は米国に旅立ったあとで、会えなかったことを大変残念に思っていました。

ようやく会えた、佐藤さんの第一印象は。。。

デカい!

….いや、実は筆者と同じほどの背丈(180cm)であったのですが、非常に大きく感じタダならぬオーラを発していました(失礼な表現で申し訳ございません)。そんな佐藤さんの講演は「変容する医薬品業界」というタイトル。近年のそして2010年問題を迎える医薬品業界について熱く語っていただきました。いつも埋まらない、講演室が当日は満員!さすがです。

 

本音をいうと分子のお話で「講演室を有機化学美術館にしていただきたかった」のですが、これはこれで楽しく聞かせていただきました。非常に淡々としゃべっている感じだったので緊張していないのかと思いきや、めちゃくちゃ緊張していたとのこと。なかでも創薬はベストバランスを求める「最善の妥協」である。

毎年化合物2万個以上つくり、1つに1500億円かけて、約15年の後、15?20個が医薬品として上市される。創薬化学者がこれを当てるのはまさにノーベル賞受賞者級だ。

大変良い言葉、たとえだと思います。

講演後、筆者の研究室にも立ち寄っていただき、学生と共に2時間以上もお話をしました。常に淡々と話していますが、思っていたよりも話をされるようで、特に自虐ネタにはそのウマさに皆で大爆笑。国道ネタもキレてました。いや、本当にいい人でした!!まさにトップの写真の様に、我々が「有機化学美術館に入ってしまいました。」(トップの画像、バックの絵は有機化学美術館のバナーです。勝手に使ってしまいました。事後承諾でお願いします。)

化学者の講演ももちろんよいですが、こういう元研究者で研究者の立場にいるサイエンスコミュニケーターの方を呼んでお話していただけるのはとても新鮮でよいことです。一方で、前にでていくこのような方々はフリーの方を除いてほとんどが東大に所属しています。もちろん予算の面で困難であることあ承知の上で話します、化学、科学の表現を広げてくれる架け橋となる方々の活躍場所をセッティングする。これも現在重要視してもいい部分ではないでしょうか。

そんなワケでお互い化学を盛り上げていけたらと思っていますので、今後とも宜しくお願い致します。佐藤さん講演と面白いお話ありがとうございました!

…そういえばなにやら重大発表が近々あるとのこと。楽しみにしていましょう。

関連書籍

[amazonjs asin=”4106103486″ locale=”JP” title=”医薬品クライシス―78兆円市場の激震 (新潮新書)”][amazonjs asin=”4774135178″ locale=”JP” title=”化学物質はなぜ嫌われるのか ‾「化学物質」のニュースを読み解く (知りたい!サイエンス 33)”][amazonjs asin=”4774131148″ locale=”JP” title=”有機化学美術館へようこそ ‾分子の世界の造形とドラマ (知りたい!サイエンス)”]

 

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 糖鎖クラスター修飾で分子の生体内挙動を制御する
  2. 『リンダウ・ノーベル賞受賞者会議』を知っていますか?
  3. アルキン来ぬと目にはさやかに見えねども
  4. 特許にまつわる初歩的なあれこれ その1
  5. NMRの基礎知識【測定・解析編】
  6. MEDCHEM NEWS 30-3号「メドケムシンポ優秀賞」
  7. フェノールのC–O結合をぶった切る
  8. マテリアルズ・インフォマティクスのためのデータサイエンティスト入…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 無金属、温和な条件下で多置換ピリジンを構築する
  2. 研究リーダーがPJを成功に導く秘訣
  3. PACIFICHEM2010に参加してきました!①
  4. 有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~
  5. 第30回 弱い相互作用を活用した高分子材料創製―Marcus Weck教授
  6. ワールドクラスの日本人化学者が語る研究物語―『化学者たちの感動の瞬間』
  7. 伊丹健一郎 Kenichiro Itami
  8. 【12月開催】第十四回 マツモトファインケミカル技術セミナー   有機金属化合物 オルガチックスの性状、反応性とその用途
  9. 小説『ラブ・ケミストリー』聖地巡礼してきた
  10. 光学分割 / optical resolution

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年10月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP