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化学者のつぶやき

リチウムにビリリとしびれた芳香環

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リチウムイオン電池の電極として炭素材料は注目を浴びてきました。あなたが今お使いのノートパソコンにもリチウムイオン電池が使われているかもしれませんね。

炭素材料はたいていグラフェンを用います。グラフェンは芳香環が延々と続いたような化学構造をしています。今回、芳香環を持ったモデル化合物を用いた実験により、リチウムイオン電池がどこまで高性能になるのか、新たに限界が明らかにされました。芳香環と芳香環の間に最大いくつまでリチウムイオンをためられるのか、限界を迎えたときに炭素骨格はどうなるのか、その答えはいかに!?

軽さの割に高容量で、充電も可能なリチウムイオン電池は、年々工夫がほどこされ、現代の最先端となると、何重にも工夫がはりめぐらされ、それ自体で芸術作品とも言えるほど、技術の緻密な積み重ねで成り立っています。一般には、正極にリチウム金属酸化物を用い、負極にグラファイト(黒鉛)のような炭素材料を用いるものが主流とされます。

ここで言うグラファイトとは、グラフェンの層が積み重なったものです。グラフェンの化学構造は、ベンゼン環が無限に連なり炭素原子が同一平面に広がったようなものです。リチウムイオンが電解質を動き回り、グラフェンの層と層の間に挟まることが、リチウムイオン電池が動作するための重要なポイントのひとつです。

 

グラフェンのように、リチウムイオン電池のための、炭素を用いた電極材料がさかんに研究されてきましたが、ベンゼン環のような六角形の芳香環と芳香環の間に、リチウムイオンが最大いくつまで挿入することができるかは、明らかにされていませんでした。従来はせいぜい2つ程度だろうと思われていました。

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最大ここまでいける!

六角形のベンゼン環が2つ隣り合ったナフタレン環を持つナフタレンテトラカルボン酸二無水物をモデル化合物にして実験したところ、6つの炭素原子が、最大で6つものリチウムイオンを許容できることが、明らかになりました。芳香環の6つの炭素原子あたり、限界は「6」ということになります。ここまで来ると、炭素原子は同一平面上に並ぶことができません。

 

今回「リチウムイオン6つまで可能」と限界が示されました。この限界に挑むことで、グラフェンに根差した従来の電極材料は、さらなる改良が可能になるかもしれません。

 

参考論文

  1.  “How Many Lithium Ions Can Be Inserted onto Fused C6 Aromatic Ring Systems?” Xiaoyan Han et al. Angew. Chem. Int. Ed. 2012 DOI: 10.1002/anie.201109187

 

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