[スポンサーリンク]

一般的な話題

サイエンスアゴラの魅力-食用昆虫科学研究会・「蟲ソムリエ」中の人に聞く

今週末9日(土曜日)・10日(日曜日)に日本科学未来館で開催されるサイエンスアゴラ2013出展について、食用昆虫科学研究会にインタビューし、ウェブサイト蟲ソムリエへの道中の人からご回答をいただきました。日本コンピュータ化学会の本間先生日本タンパク質構造データベースの工藤先生京都大学物質-細胞統合拠点iCeMSの水町先生に続き、インタビューは4回目です。

 

・展示・実演・説明 型 出展 Aa-088 昆虫食を科学する~国連が認めた食料~
・シンポジウム・トーク型 出展型出展 Ab-616 国連が薦める昆虫食~昆虫を食べる時代がついにやってきた~

 

ウェブサイト『蟲ソムリエへの道』中の人は、普通に料理しても、昆虫を使って料理しても、さすがの腕前で、ひそかに評判です。新しい時代の昆虫食を社会に役立てるため、活発にご活動されています。今回、食用昆虫科学研究会でのご活動と熱意のほどを紹介くださいました。それでは、実際にお話をどうぞ。

どういう団体での参加ですか?

食用昆虫科学研究会(Edible insect science meeting e-ism)」は日本で唯一の昆虫食を科学的に研究する団体です。当研究会は昆虫食をテーマとする大学院生有志によって2011年に設立されました。日本や世界における文化としての昆虫食を栄養学的な解析を行うことで評価し、養殖化の技術を通じて昆虫を含めた未来の食料生産の形を提案しています。関東のコアメンバー8人が毎月どこかに集まって勉強会を開催し他地域の方とメーリングリストでつながっています。

E-ISM-LATE2013-large.jpg
メンバーの一人、内山昭一は日本最大の趣味の昆虫食団体「昆虫料理研究会」代表であり毎月の昆虫試食会の開催や季節ごとの野外採集昆虫食イベント、参加者200名を超える昆虫食の祭「東京虫食いフェスティバル」を主催しています。この秋には当研究会との共同で昆虫食が普及した未来のビジョンを提示するアート写真集むしくい散歩2033 ~未来の街角から 昆虫食写真集」を出版しました。

また、フィールドで活動するメンバーもいます。ラオス農村部では採集昆虫食を含む森林生態系利用文化の「食の主権」の保護を目的に活動しており、タイ東北部ではコンケン大学が主導により低所得農家へコオロギ養殖技術を指導することで農村地域の所得向上を目指すプロジェクトに関与しています。

日本でも、東北地方におけるイナゴの放射線量解析を行い、生物濃縮の程度を測定とイナゴ食習慣に与える影響を調査しました。この成果は近々論文として公開されます。

スピンオフ研究として、ブログ「蟲ソムリエへの道」では、記載的な昆虫学と昆虫食を繋げるために採集昆虫の同定と、味の記載や養殖法、メニューの開発を行っています。同時に、ウェブページむしぎらい文化研究所」では、日本人の過半数と言われる「むしぎらい」現象を肯定的にとらえ、社会心理学的な解析をめざして情報を収集しています。

今回は昆虫食の啓蒙だけでなく、研究仲間の募集も大きな目標となっています。昆虫食研究に興味のある方はぜひお声をお掛けください

 

実際に昆虫料理をご紹介くださいませんか。

まずは1品目。「森の昆虫パエリア」。

Paella-with-Japanese-beetles.jpg

エリサンの前蛹と炊き込み、ダシと風味が馴染んだパエリアに形が楽しい甲虫や彩りの良い構造色を持つ甲虫を揚げてトッピングし「森の甲虫パエリア」を作りました。160℃低温・220℃高温の二度揚げ方式の採用によりザクザクとした食感と風味の保持に成功しました。

そして、2品目。「秋の紅葉ピザ」。?pizza2013.JPG

エビに含まれる赤色素、アスタキサンチン(ケムステ記事・身のまわりの分子「アスタキサンチン」)は加熱により遊離し赤色を呈します。直翅目昆虫にもアスタキサンチンを含む種があるので、加熱すると赤くなる「秋の紅葉ピザ」を焼きました。そのまま、ピザ生地に乗せて焼くと、昆虫の死体が乗っているだけのように見えてしまいます。そこで、昆虫標本のように足を揃えて美しくみせるために、2013年版は展足して配置することで昆虫の「死体感」の低減を目指しました。

エビのすり身で、エビのすべてを堪能できるわけではないことと同じように、料理は色やかたちなど見ためがあってのものです。今回、開発した調理法によって、昆虫の色やかたちを楽しみながら、召しあがることができます。

 

会場では何が見どころですか?

今年初の取り組みとして、「国連が薦める昆虫食~昆虫を食べる時代がついにやってきた~」という講演会を行います。国際連合食糧農業機関FAOが2013年5月に公開した報告書「食用昆虫の食料生産への利用についての問い合わせがあまりに多かったので、200ページにわたるこの報告書の内容を我々がわかりやすく90分で解説します。初日の朝、9日午前10時半から、日本科学未来感1階の特設ステージにて行いますのですいているうちにお越しください。

また、例年通り日本科学未来館の売店のすぐ側にて試食用昆虫も用意しました。私たちメンバーの専門はそれぞれ全く違うので、講演で目星をつけて、ブースに話しに来ていただきたいです。浅草の提灯職人手描きの「食用昆虫」赤ちょうちんが目印です。

 

ケムステについて思っていることや気になることがあればひとつお話しください。

化学系学生の支援サイトと、一般向け化学トピックがメインというイメージがあり、あまり馴染みがなかったので物理や生物などの関連する分野との共同研究を促進するような「つなげる」トピックや動きがあると、よりとっつきやすくなると思います。

 

サイエンスアゴラで気になる団体を他にひとつ教えてください。

昨年「サイエンスアゴラ賞」と「フジテレビ賞」を受賞したプレゼンテーションの面白さを今年も勉強したい、ということで黒ラブ教授に注目しています。今年も昆虫を食べてもらいたいと思います。

e-ism2.jpg食用昆虫研究会のメンバー / サイエンスアゴラ当日は「食用昆虫」赤ちょうちんが目印!

 

文章:「蟲ソムリエへの道」中の人 / 文字の色つけ等の整形:ケムステスタッフ

 

インタビューにご協力いただきありがとうございました。当日もよろしくお願いします。興味をもたれた方はぜひ、ケムステブースとあわせて足を運んで遊んでみてください!

 

参考ウェブサイト

  1. サイエンスアゴラ2013 Aa-088昆虫食を科学する~国連が認めた食料~
  2. サイエンスアゴラ2013 Ab-616国連が薦める昆虫食~昆虫を食べる時代がついにやってきた~
  3. 食用昆虫科学研究会 Edible insect science meeting e-ism
  4. 「むしくい散歩2033 未来の街角から 昆虫食写真集」を出版しました
  5.  蟲ソムリエへの道 
  6. むしぎらい文化研究所 
  7. 蟲喰ロトワtwitter

 

ケムステスタッフが選んだ「蟲ソムリエへの道」おもしろ記事・三撰

The following two tabs change content below.
Green

Green

静岡で化学を教えています。よろしくお願いします。
Green

最新記事 by Green (全て見る)

関連記事

  1. 直接クプラート化によるフルオロアルキル銅錯体の形成と応用
  2. アミン存在下にエステル交換を進行させる触媒
  3. Reaxys Prize 2011発表!
  4. 仙台の高校生だって負けてません!
  5. iPadで計算化学にチャレンジ:iSpartan
  6. 『Ph.D.』の起源をちょっと調べてみました② 化学(科学)編
  7. 有機アジド(4)ー芳香族アジド化合物の合成
  8. 1,2-還元と1,4-還元

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. インドール一覧
  2. 【朗報】HGS分子構造模型が入手可能に!
  3. 第32回 BMSコンファレンス(BMS2005)
  4. メントール /menthol
  5. ポリセオナミド :海綿由来の天然物の生合成
  6. Medical Gases: Production, Applications, and Safety
  7. JAMSTEC、深度1万900mに棲むエビから新酵素を発見 – バイオ燃料応用に期待
  8. ケック ラジカルアリル化反応 Keck Radicallic Allylation
  9. ピバロイルクロリド:Pivaloyl Chloride
  10. 有機化学命名法

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP