日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、オープンアクセスとして公開中の 35-2 号 (2025年5月発行)の紹介です。
各項目のタイトルおよび画像から該当記事へ飛べます (新しいタブで開きます) ので、隅々までご覧ください!
(著者様のご所属は掲載当時のものです)
■巻頭言
未来のメディシナルケミストリーの可能性
上野 裕明
田辺三菱製薬株式会社、日本製薬工業協会
低分子からバイオロジックスへと創薬トレンドが変化しつつありますが、新しい機能を有する分子を設計し得るのはメディシナルケミストしかいない! 製薬協会長のお立場から、メディシナルケミストに向けた熱いメッセージと期待が込められております。
■創薬最前線
Predict-first digital chemistryが切り拓く新たな創薬パラダイム
髙橋 秀典, 井川 英之
Schrödinger, Inc.
Schrödinger社の物理学ベースの予測モデルを駆使するPredict-first digital chemistryでは、DMTA(Design-Make-Test-Analyze)サイクルに予測過程(Predict)を加えた、DPMTAサイクルを回します。メディシナルケミストが経験・構造活性相関・物性値を基に一つずつ化合物を設計し合成する時代から,コンピューター上での同時最適化(in silico MPO)の時代へ。
■WINDOW
一期一会を大切に
遠藤 篤史
Moderna, Inc.
日本で大学院博士課程を修了後、海外でポスドクを経験し、海外企業との出会いを経て、各職場での分子との向き合い方や意識の変化を真摯に綴ったエッセイです。その時々の経験を通じて深まる視点や新たな挑戦が描かれており、若手研究者にとって示唆に富む内容です。
■ESSAY
蛋白質間相互作用の制御を可能にするPepMetics技術
高島 一
株式会社PRISM BioLab
PepMetics 技術は、蛋白質の αヘリックス構造や βターン構造を模倣した化合物を提供するプラットフォームです。この新たなモダリティーが常識を打ち破り、これまで困難とされている蛋白質間相互作用の制御を可能にする日も近いかもしれません。皆さん期待しましょう。
■DISCOVERY
リシン脱メチル化酵素を標的とするタンパク質複合体解離誘導剤の創製 ~アカデミア基礎研究から臨床開発へ~
鈴木 孝禎, 宮田 直樹, 伊藤 幸裕, 小笠原 大介, 飯田 哲也
大阪大学、名古屋市立大学
LSD1阻害薬の創製、この抗がん作用メカニズムがタンパク質複合体解離というユニークなものであること、phase II 試験の成功と Merck 社による買収、勇気と希望を与えてくれる内容です。
■DISCOVERY
中分子創薬プラットフォームの構築と経口KRAS阻害剤LUNA18の創製
小嶋 哲郎, 白石 拓也, 太田 淳, 棚田 幹將, 野村 研一
中外製薬株式会社
中外製薬では環状ペプチド創薬の画期的なプラットフォームが構築されています。本編ではその中分子版 Ro5 の開発とそれを応用した創薬手法が詳細に紹介されており、膨大なリソースを投入して得られた素晴らしい成果をぜひ一読してください。
■DISCOVERY
2024年度 日本薬学会 医薬化学部会 MCS優秀賞 受賞
内在性アクロレインとの[3+2]環化付加反応を利用した核医学治療
大出 雄大, 石渡 明弘, Ambara R. Pradipta, 田中 克典
東京科学大学、理化学研究所
理研の田中克典先生らのグループは、がん細胞内で選択的かつ高濃度で産生されるアクロレインに着目。細胞内のアクロレインとフェニルアジドの [3+2]環化付加反応を利用して RI 標識薬の高い腫瘍選択性と滞留性を実現しました。がん治療の新たな戦略として注目されます。
■DISCOVERY
2024年度 日本薬学会 医薬化学部会 BMC/BMCL賞 受賞
認知症の幻覚・妄想治療を志向したスピロピペリジン型5-HT2A・5-HT2Cデュアルインバースアゴニストの同定:X線結晶構造解析を活用した5-HT2C活性の飛躍的向上
岡本 龍治, 上野 達彦, 小熊 卓也, 日下部 兼一
塩野義製薬株式会社
2024 年度日本薬学会医薬化学部会 BMC/BMCL 賞を受賞した、認知症・幻覚妄想治療の創薬研究。本症状を抑制する承認薬がない中、5-HT2A 受容体と 5-HT2C 受容体のデュアルインバースアゴニストの創製を目指し、複合体構造解析に基づいた構造活性相関研究の結果、高活性の新規スピロピペリジン化合物が見出されました。
■DISCOVERY
2024年度 日本薬学会 医薬化学部会 BMC/BMCL賞 受賞
睡眠の時空間制御を目指した遠隔操作薬の開発
斉藤 毅, Lazarus Michael
筑波大学
睡眠制御を可能にする光薬理学に関する最先端研究についての解説文です。アデノシン受容体 (A2AR) の感受性を増強させる positive allosteric modulator の光ケージド薬物の巧みな分子デザインは必見です。
■DISCOVERY
2024年度 日本薬学会 医薬化学部会 ACS賞 受賞
微生物由来リガンドの構造的特徴を融合した新規MAIT細胞活性化剤の創製
髙﨑 亮助, 伊東 瑛美, 大野 浩章, 山﨑 晶, 井貫 晋輔
京都大学、大阪大学、徳島大学
本稿は、化学的に不安定な活性化合物を起点とし、安定性を獲得した MAIT 細胞活性化剤の創製研究の紹介です。不活性ながら安定な分解構造を参考にして、見事に活性と安定性を両立されました。創薬のみならず生物学的な研究ツールとしても今後の展開に大きな期待を感じさせる研究成果をぜひご一読ください。
■SEMINAR
ゲノム編集CRISPR-Cas3を用いたmRNA創薬
真下 知士, 石田 紗恵子, 吉見 一人
東京大学
近年、ゲノム編集が大きな注目を集めています。本稿では真下知士先生から我々メディシナルケミスト向けに分かり易く概説いただきました。また、先生が国産技術として開発する CRISPR-Cas3 を活用した次世代の遺伝子治療の展望についても述べられていますので、ご一読ください。
■COFFEE BREAK
コーヒー飲用によるココロの健康を科学する
笹島 祐子
味の素AGF株式会社
コーヒーを飲みながらケムステをご覧になっている読者の皆さん、いま、どんな気分ですか?「いつでも、ふぅ。」味の素AGF株式会社が開発した「ココロの可視化ツール」を使えば、コーヒー飲用前後の感情変化を観察できるようです。
■REPORT
7th Annual TPD & Induced Proximity Summit参加報告
野村 佳則
小野薬品工業株式会社
7th Annual TPD & induced proximity Summit の学会報告です。PROTAC (proteolysis targeting chimera) や molecular glue などの TPD (targeted protein degradation) や、二機能性分子による近接誘導は、新しい創薬モダリティとして爆発的に広がっています。
関連書籍
本号の「BOOKS 紹介」より①
本号の「BOOKS 紹介」より②
関連記事
MEDCHEM NEWS 紹介記事バックナンバー
・MEDCHEM NEWS 35-1 号「創薬の未来を担う若き研究者へのメッセージ」
・MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」
・MEDCHEM NEWS 34-3 号「2023年度メドケムシンポ優秀賞」
・MEDCHEM NEWS 33-2 号 「2023年度医薬化学部会賞」
・MEDCHEM NEWS 33-1 号「創薬を支える計測・検出技術の最前線」
・MEDCHEM NEWS 33-4 号「創薬人育成事業の活動報告」
・MEDCHEM NEWS 33-3 号「30年後の創薬研究」
・MEDCHEM NEWS 33-2 号 「2022年度医薬化学部会賞」
・MEDCHEM NEWS 33-1 号 「創薬への貢献」
・MEDCHEM NEWS 32-4 号「創薬の将来ビジョン」
・MEDCHEM NEWS 32-3号 「シン・メディシナルケミストリー」
・MEDCHEM NEWS 32-2号 「儲からないが必要な薬の話」
・MEDCHEM NEWS 32-1号「機械学習とロボティックス特集」
・MEDCHEM NEWS 31-4号「RNA制御モダリティ」
・MEDCHEM NEWS 31-3号「ケムステ代表寄稿記事」
・MEDCHEM NEWS 31-2号「2020年度医薬化学部会賞」
・MEDCHEM NEWS 31-1号「低分子創薬」
・MEDCHEM NEWS 30-4号「ペプチド化学」
・MEDCHEM NEWS 30-3号「メドケムシンポ優秀賞」













































