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カリコ― カタリン Karikó Katalin

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カリコ― カタリン(Karikó Katalin, 1955年1月17日-, ハンガリー生まれ)は、アメリカ在住の生化学者である。BioNTech SE 社 上席副社長 兼 ペンシルバニア大学 非常勤教授 (画像出典:Vilcek Foundation)。
2023年にドリュー・ワイスマン博士とともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。

 

経歴

1978 ヨージェフ・アティッラ大学 卒業
1983 ハンガリー科学アカデミー付属セゲド生物学センター 博士号取得 (Tomasz Jenő教授)
1983-1985 セゲド大学
1985-1988 テンプル大学 博士研究員, Uniformed Services University 博士研究員
1989- ペンシルバニア大学 非常勤教授
2006-2013 RNARx社 CEO
2013- BioNTech SE社

受賞歴

2020 ローゼンスティール賞
2021 ヴィルヘルムエクスナーメダル
2021 アストゥリアス皇太子賞
2021  ルイザ・グロス・ホロウィッツ賞
2021 オールバニ・メディカルセンター賞
2023 ノーベル生理学・医学賞
など

 

研究業績

mRNA(メッセンジャー アール エヌ エー)により引き起こされる炎症反応の抑制

mRNAを構成する物質の一つである「ウリジン」を「シュードウリジン」に置換することより、mRNAが生体内に入った際の炎症反応が抑えられることを発見した[1]。
mRNAは体内で炎症反応を起こすことから、ワクチンに用いることは困難であると考えられていたが、この技術により2020年に新型コロナウイルスのワクチンが開発された。
開発されたmRNAワクチンで多くの人命が救われたことが評価され、2023年にドリュー・ワイスマン博士とともにノーベル生理学・医学賞を受賞した。

シュードウリジンの合成(出典:WIkipedia)

 

名言

私を「ヒーロー」だという人もいるが、本当のヒーローは私ではなく、医療従事者や清掃作業にあたる人たちなど感染のおそれがある最前線で働く人たちだ。

 

関連文献

  1. Katalin Karikó, Michael Buckstein, Houping Ni, DrewWeissman, Immunity 2005, 23 (2), 165-175. DOI:10.1016/j.immuni.2005.06.008

 

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野口真司

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「国や地域を超えて格差なく化学を享受できる世界」の実現を目指す化学者。尊敬する化合物はTestosterone氏。将来の目標はJeff Seid選手になること。

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