[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

上田 善弘 Yoshihiro Ueda

[スポンサーリンク]

 

上田 善弘(うえだ よしひろ)は日本の有機化学者である京都大学化学研究所 物質創製化学研究系・助教。専門は有機合成化学・天然物化学・超分子化学。学術変革領域研究(B)「糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動態制御」(略称:糖化学ノックイン)班員。第24回ケムステVシンポ「次世代有機触媒」講師。

経歴

2008年   京都大学薬学部総合薬学科 卒業
2010年   京都大学大学院薬学研究科 創薬科学専攻 修士課程修了
2010年   日本学術振興会特別研究員(DC1)
2012年   マックスプランク石炭研究所 訪問研究員(Alois Fürstner 教授)
2013年   京都大学大学院薬学研究科 創薬科学専攻 博士後期課程修了(川端猛夫 教授)
2013年   浦項工科大学 博士研究員(藤田誠 教授)
2013年   東京大学工学系研究科 特任研究員(藤田誠 教授)
2014年   京都大学化学研究所 特定助教(川端猛夫 教授)
2015年   京都大学化学研究所 助教
2023年 国立研究開発法人産業技術総合研究所 主任研究員

受賞歴

2015年   京大化研奨励賞
2016年   日本薬学会 関西支部奨励賞
2019年   日本化学会 第99春季年会 優秀講演賞(学術)
2019年   内藤コンファレンス Poster Award for Excellence
2020年   日本薬学会 奨励賞
2021年   天然物化学談話会 奨励賞

研究業績

反応の「位置選択性」をキーワードに従来困難とされた分子変換や合成法の開発に取り組んできた[1]

① 非古典的逆合成解析に基づく糖関連天然物の短段階合成

糖関連物質の合成に不可欠とされる「水酸基の保護基」を極力使用しない合成法の開発を目指し、無保護糖を用いる位置選択的反応を基盤とした天然物の全合成を行った。アグリコン部位にも第一級水酸基を有する天然物 wallicoside に対し、有機分子触媒 1 を利用したアシル化はグルコピラノシド 4 位水酸基選択的に進行し、天然配糖体から標的天然物 multifidoside B へのワンポット変換を実現した[2] 。また、α-グルコースの 5 つの水酸基を順次位置選択的に官能基化する方法論 (連続位置選択的官能基化) を開発し、数種のエラジタンニンの短段階全合成を達成した[3,4,5]


② ロジウム二核錯体触媒による位置選択的C-Hアミノ化反応の開発

強力なアミノ化活性を有するロジウムナイトレン錯体を活用し、配位性配向基を持たない基質の分子間位置選択的 C-H アミノ化の開発に取り組んだ。これまでに、アルコキシアレーンのパラ位 C(sp2)-H 結合やケイ素原子β位の第一級 C(sp3)-H結合等の、ロジウムナイトレン種に対して従来反応活性と捉えられてこなかった結合のアミノ化反応が、分子間で選択的に進行することを明らかにした[6,7]

関連文献

  1. Ueda, Y. Chem. Pharm. Bull, 2021, 69, 931–944, DOI: 10.1248/cpb.c21-00425
  2. Ueda, Y.; Furuta, T.; Kawabata, T. AngewChem. Int. Ed, 201554, 11966–11970, DOI: 10.1002/anie.201504729
  3. Takeuchi, H.; Mishiro, K.; Ueda, Y.; Fujimori, Y.; Furuta, T.; Kawabata, T. AngewChem. Int. Ed, 201554, 6177–6180, DOI: 10.1002/anie.201500700
  4. Takeuchi, H.; Fujimori, Y.; Ueda, Y.; Shibayama, H.; Nagaishi, M.; Yoshimura, T.; Saamori, T.; Tokitoh, N.; Furuta, T.; Kawabata, T. Org. Lett, 202022, 4754–4759, DOI: 10.1021/acs.orglett.0c01549
  5. Shibayama, H.; Ueda, Y.; Tanaka, T.; Kawabata, T. JAm. Chem. Soc. 2021, 143, 1428–1434, DOI: 10.1021/jacs.0c10714
  6. Arai, K.; Ueda, Y.; Morisaki, K.; Furuta, T.; Sasamori, T.; Tokitoh, N.; Kawabata, T. ChemCommun, 201854, 2264–2267, DOI: 10.1039/C7CC09952E
  7. Ninomiya, R.; Arai, K.; Chen, G.; Morisaki, K.; Kawabata, T.; Ueda, Y. Chem. Commun202056, 5759–5762, DOI: 10.1039/D0CC00959H

関連記事

関連書籍

有機合成のための新触媒反応101

有機合成のための新触媒反応101

¥4,620(as of 09/11 10:41)
Amazon product information
Avatar photo

DAICHAN

投稿者の記事一覧

創薬化学者と薬局薬剤師の二足の草鞋を履きこなす、四年制薬学科の生き残り。
薬を「創る」と「使う」の双方からサイエンスに向き合っています。
しかし趣味は魏志倭人伝の解釈と北方民族の古代史という、あからさまな文系人間。
どこへ向かうかはfurther research is needed.

Avatar photo

糖化学ノックイン

投稿者の記事一覧

2021年度科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)「糖化学ノックイン」の広報アカウントです。生体分子現象の一つ「糖タンパク質の膜動態」にフォーカスし、生命系を理解し制御するための新たな反応化学技術「ケミカルノックイン」の確立を目指しています。
領域ホームページ:https://glycan-chemical-knockin.com/

関連記事

  1. エリック・アレクサニアン Eric J. Alexanian
  2. トーマス・エブソン Thomas Ebbesen
  3. ブライアン・ストルツ Brian M. Stoltz
  4. マイケル・オキーフィ Michael O’Keeff…
  5. エマニュエル・シャルパンティエ Emmanuel Charpen…
  6. 安藤弘宗 Hiromune Ando
  7. エド・ボイデン Edward Boyden
  8. ディーン・トースト F. Dean Toste

注目情報

ピックアップ記事

  1. 実現思いワクワク 夢語る日本の化学者
  2. 第29回 ケムステVシンポ「論文を書こう!そして…」を開催します
  3. ボルテゾミブ (bortezomib)
  4. 金属キラル中心をもつ可視光レドックス不斉触媒
  5. 上田 実 Minoru Ueda
  6. ブーボー・ブラン還元 Bouveault-Blanc Reduction
  7. 溶液を流すだけで誰でも簡単に高分子を合成できるリサイクル可能な不均一系ラジカル発生剤の開発
  8. 2024年ノーベル化学賞は、「タンパク質の計算による設計・構造予測」へ
  9. 女優・吉岡里帆さんが、化学大好きキャラ「DIC岡里帆(ディーアイシーおか・りほ)」に変身!
  10. 開発者が語る試薬の使い方セミナー 2022 主催:同仁化学研究所

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年1月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

条件の「前後」も実験条件である【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

そのpH、“本当にその場所”の値ですか?ニードル式pHセンサーを使ってみた!

突然ですが、「培養の再現性がなんか悪い」「同じ条件のはずなのに結果がズレる」といった経験はあ…

「骨格編集」×「ナノカーボン合成」〜ナノカーボン合成の新戦略を実証〜

第719回のスポットライトリサーチは、名古屋大学大学院工学研究科(忍久保研究室)博士後期課程2年の平…

【書評】立体化学 はじめの一歩

立体化学は,分子の三次元構造を理解するための重要な分野であり,有機化学や…

水のシミュレーション入門 — 水分子を計算機の中でどう”描く”か —

身近なのに、計算機にとって手強い"水"。本記事では、点電荷モデルから機械学習まで、その"描き方"の進…

◆◇◆◇ 第36回フォーラム・イン・ドージン開催のご案内 ◆◇◆◇

同仁化学研究所が熊本から世界へ情報発信するフォーラム・イン・ドージンの開催ご案内です。今年は『な…

『力』による円偏光発光のon/off制御を単一分子レベルで実現

第718回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 物質理工学院(相良研究室)博士後期課程2年の野中…

数日かかっていた反応機構解析を、わずか数分に!

機械学習ポテンシャルが変える計算化学の現在近年、DFT計算による反応機構解析は広く行われるよ…

海外ポスドクのオファーをもらう【アメリカで Ph.D. を取る: 進路編】

ポスドクとして海外に留学する場合、希望する研究室の教授に直接連絡を取り、面接などを通して適性を判断さ…

MDで観るトライボロジー 〜原子が擦れるその場をシミュレーション〜

軽くて強いのに摩耗に弱いチタン合金は、航空機や人工関節に広く使われています。原子が擦れ合うその場を分…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP