[スポンサーリンク]

ケムステニュース

トレハロースが癒着防止 手術に有効、東大など発表

[スポンサーリンク]

トレハロース

菌類や植物、昆虫などに含まれ甘味料としても使われる糖質トレハロースが、手術中に乾燥が原因で起きる臓器や組織の癒着を防止するのに有効との研究結果を、東京大獣医外科学研究室、林原生物化学研究所(岡山市)などが1日発表した。

同研究室の佐々木伸雄教授は「生体に無害な上、水溶液を噴霧するだけで効果があるので、手術中の癒着防止も容易になる」としている。 (引用:京都新聞

 

 

トレハロース(Trehalose)は以前は抽出が難しく非常に高価なシュガー(糖)でしたが林原が1998年にデンプンからの発酵法により大量生産が可能となり、現在では多くの食品に用いられています。
糖といったら一般的には甘いもの、甘味料というイメージしかないですが、生体内における複雑な生命現象において、遺伝子やタンパク質と同様に糖鎖も中心的な役割を担ってるんですね。しかし、そういう重要なやつほど天然からはほとんど量が得られない場合や、似たような類縁体を作って比較するために、糖を合成することは非常に重要です。合成といっても見ての通り、水酸基だらけなので、非常に極性、水溶性があり、副反応も起こります。そのため保護基というもので保護しなければならないのですが、意外と糖の保護って収率がよくないんです。もちろん最終的には脱保護もしなければならない。さらに、糖鎖をつなげるためには上記のようなエーテル結合を作らなければならない(グリコシル化)。思ったよりめんどくさくて、大変な作業です。


最近は糖鎖の自動合成装置がありますが、それももちろんプログラムしなければなりませんし、目的の糖によって合成法が変わってくるためそれらの研究が精力的に行われています。

関連書籍

[amazonjs asin=”4621071580″ locale=”JP” title=”糖鎖/バイオマテリアル/分子認識/バイオインフォマティクス (先端化学シリーズ)”][amazonjs asin=”4891731230″ locale=”JP” title=”きちんとわかる糖鎖工学 (産総研ブックス)”]

 

 

 

関連リンク

Avatar photo

webmaster

投稿者の記事一覧

Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 超高性能プラスチック、微生物で原料を生産
  2. 吉岡里帆さん演じる「化学大好きDIC岡里帆(ディーアイシーおか・…
  3. 米社が液晶パネルのバックライトにカーボン・ナノチューブを採用
  4. カーボンナノチューブ量産技術を国際会議で発表へ
  5. 2010年化学10大ニュース【Part2】
  6. 劣性遺伝子押さえ込む メンデルの法則仕組み解明
  7. クラリベイト・アナリティクスが「引用栄誉賞2017」を発表
  8. 富士フイルム、英社を245億円で買収 産業用の印刷事業拡大

注目情報

ピックアップ記事

  1. 一流科学者たちの経済的出自とその考察
  2. 1回の実験で高活性な金属ナノ粒子触媒
  3. 材料開発における生成AIの活用方法
  4. 香りの化学4
  5. 第154回―「ランタノイド発光化学の生物・材料応用」Jean-Claude Bünzli教授
  6. CAS Future Leaders Program 2023 参加者インタビュー
  7. 植物毒の現地合成による新規がん治療法の開発
  8. 実験化学のピアレビューブログ: Blog Syn
  9. ガラス工房にお邪魔してみたー匠の技から試験管制作体験までー
  10. 湿度によって色が変わる分子性多孔質結晶を発見

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2005年7月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
25262728293031

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP