[スポンサーリンク]

ケムステニュース

バイオディーゼル燃料による大気汚染「改善」への影響は…?

[スポンサーリンク]

 

The drops in air pollution from biodiesel use are so miniscule in part because even though trucks and buses contribute more than 50% of on-road pollution, they account for less than 2% of total air pollution, Rouleau says. In addition, by 2020 most trucks and buses will be using advanced tailpipe controls that cut exhaust pollutants by more than 95%–a far greater cut than that achieved by the cleaner biodiesel fuel.

化石燃料由来のディーゼル燃料から再生可能なバイオディーゼル燃料へと切り替えたところで、大気汚染の改善には些細な影響しか与えないかもしれない。Health Canadaのルーロー氏によると、仮にバスやトラックといったディーゼルエンジンを積んでいる車両が自動車による大気汚染の50%を占めると仮定した上でも、バイオディーゼル燃料だけでは大気汚染全体の高々2%しか改善されないという。それよりも、これらの車両が「95%以上の大気汚染物質をカットする」新たな基準の排気筒を2020年までに搭載することを挙げれば、排気ガスがよりクリーンになるとされるバイオディーゼル燃料の影響など取るに足らないのだ。(Chemical & Engineering News[1]より一部抜粋)

バイオディーゼル燃料は元が植物から取れるので全体の収支では二酸化炭素を増やさない排気中にススが出にくい(これの意味が殆ど無いのでは?というのがこの記事。)、あるいは廃油を再生利用できるなどとして、北米では(日本でも?)多くの大手ガソリンスタンドで通常のディーゼル燃料(軽油)と混合されて売られています[2]。レギュラーガソリンも同様にバイオエタノールとの混合物が売られていますが、筆者は燃費が悪くなる確かな実感があって選べる時は敢えて入れていません…(実際に燃費は落ちるようです[3])。それでも多くの代替エネルギーを模索することは重要で、いまや話題のテスラやテラモーターズなど電気自動車/バイクのように人気が出るものもありますし、あるいはハイブリッドといった方法など、決して環境保護と性能の向上はトレードオフであるとは限りません。もっとも、「エネルギーを他国に頼らない」という政治的な意味合いでも代替エネルギー研究は重要なのでしょうが、小難しいことは抜きにして子々孫々まで末永く気持ちよく生活できるための技術が普及すればよいですね。

 

  • 関連リンク

[1].?Switching To Biodiesel May Have Little Health Benefit – Chemical &Engineering News, 2013年11月5日版

[2].?バイオ燃料・バイオガソリンの基礎知識 – 公害・環境対策を考える

[3].?(※PDF)「バイオエタノールを使用した走行実証試験」 (秋田県分析化学センターによるレポート,?大阪府ホームページより)

[paragraph_right][block] Left Side Content [/block][block] Right Side Content [/block][/paragraph_right]

 

  • 関連商品

 

せきとも

投稿者の記事一覧

他人のお金で海外旅行もとい留学を重ね、現在カナダの某五大湖畔で院生。かつては専ら有機化学がテーマであったが、現在は有機無機ハイブリッドのシリカ材料を扱いつつ、高分子化学に

関連記事

  1. 何を全合成したの?Hexacyclinolの合成
  2. カシノナガキクイムシ集合フェロモンの化学構造を解明
  3. 独バイエル、世界全体で6100人を削減へ
  4. LG化学より発表されたプラスチックに関する研究成果
  5. 台湾当局、半導体技術の対中漏洩でBASFの技術者6人を逮捕
  6. 海洋生物の接着メカニズムにヒントを得て超強力な水中接着剤を開発
  7. 製薬各社 2010年度 第1四半期決算を発表
  8. 昭和電工、異種材接合技術を開発

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 化学工場災害事例 ~爆発事故に学ぶ~
  2. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑩:メクボール の巻
  3. グラフェン技術の最先端 ~量産技術と使いやすさの向上、今後の利用展開~
  4. 第80回―「グリーンな変換を実現する有機金属触媒」David Milstein教授
  5. スコット・ミラー Scott J. Miller
  6. ペイドン・ヤン Peidong Yang
  7. ソウル大教授Nature Materials論文捏造か?
  8. 「一家に1枚」ポスターの企画募集
  9. メタンハイドレートの化学 ~その2~
  10. 「サガミオリジナル001」、今月から販売再開 相模ゴム

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

書類選考は3分で決まる!面接に進める人、進めない人

人事担当者は面接に進む人、進まない人をどう判断しているのか?転職活動中の方から、…

期待度⭘!サンドイッチ化合物の新顔「シクロセン」

π共役系配位子と金属が交互に配位しながら環を形成したサンドイッチ化合物の合成が達成された。嵩高い置換…

塩基が肝!シクロヘキセンのcis-1,3-カルボホウ素化反応

ニッケル触媒を用いたシクロヘキセンの位置および立体選択的なカルボホウ素化反応が開発された。用いる塩基…

中国へ行ってきました 西安・上海・北京編①

2015年(もう8年前ですね)、中国に講演旅行に行った際に記事を書きました(実は途中で断念し最後まで…

アゾ重合開始剤の特徴と選び方

ラジカル重合はビニルモノマーなどの重合に用いられる方法で、開始反応、成長反応、停止反応を素反応とする…

先端事例から深掘りする、マテリアルズ・インフォマティクスと計算科学の融合

開催日:2023/12/20 申込みはこちら■開催概要近年、少子高齢化、働き手の不足の影…

最新の電子顕微鏡法によりポリエチレン分子鎖の向きを可視化することに成功

第583回のスポットライトリサーチは、東北大学大学院 工学研究科 応用化学専攻 陣内研究室の狩野見 …

\脱炭素・サーキュラーエコノミーの実現/  マイクロ波を用いたケミカルリサイクル・金属製錬プロセスのご紹介

※本セミナーは、技術者および事業担当者向けです。脱炭素化と省エネに貢献するモノづくり技術の一つと…

【書籍】女性が科学の扉を開くとき:偏見と差別に対峙した六〇年 NSF(米国国立科学財団)長官を務めた科学者が語る

概要米国の女性科学者たちは科学界のジェンダーギャップにどのように向き合い,変えてきたのか ……

【太陽ホールディングス】新卒採用情報(2025卒)

■■求める人物像■■「大きな志と好奇心を持ちまだ見ぬ価値造像のために前進できる人…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP