[スポンサーリンク]

ケムステニュース

毒劇アップデート

[スポンサーリンク]

毒物及び劇物指定令の一部を改正する政令(平成30年政令第197号。以下「改正政令」という。)及び毒物及び劇物取締法施行規則の一部を改正する省令(平成30年厚生労働省令第79号。以下「改正省令」という。)が平成30年6月29日に公布されました。(6月29日厚生労働省医薬・生活衛生局)

毒物に指定されたのは下記の化学品です。

(1)5-イソシアナト-1-(イソシアナトメチル)-1,3,3-トリメチルシクロヘキサン及びこれを含有する製剤
(2)2-クロロピリジン及びこれを含有する製剤
(3)(ジクロロメチル)ベンゼン及びこれを含有する製剤
(4)(トリクロロメチル)ベンゼン及びこれを含有する製剤
(5)ビス(4-イソシアナトシクロヘキシル)メタン及びこれを含有する製剤
(6)2-ヒドロキシエチル=アクリラート及びこれを含有する製剤
(7)2-ヒドロキシプロピル=アクリラート及びこれを含有する製剤

新たに毒物に指定された化合物の構造

1から5の化合物は急性吸引毒性が高いため、アクリロイル基を持つ6と7は急性経皮毒性が高いため毒物に指定されました。

一方、劇物に指定されたのは下記の化学品です。

(1)N-(2-アミノエチル)エタン-1,2-ジアミン及びこれを含有する製剤
(2)エタン-1,2-ジアミン及びこれを含有する製剤
(3)ジエチル=スルフアート及びこれを含有する製剤
(4)N,N-ジメチルプロパン-1,3-ジアミン及びこれを含有する製剤
(5)水酸化リチウム及びこれを含有する製剤
(6)水酸化リチウム一水和物及びこれを含有する製剤
(7)1,2,3-トリクロロプロパン及びこれを含有する製剤
(8)二酸化アルミニウムナトリウム及びこれを含有する製剤
(9)N,N′-ビス(2-アミノエチル)エタン-1,2-ジアミン及びこれを含有する製剤
(10)ホスホン酸及びこれを含有する製剤
(11)レソルシノール及びこれを含有する製剤。ただし、レソルシノール20%以下を含有するものを除く。

新たに劇物に指定された化合物の構造

1,2,4,9のジアミン、3、11は、眼刺激性と皮膚腐食性が劇物指定の理由です。5と6水酸化リチウムは、動物を使わない in vitro 皮膚腐食性試験で、10のホスホン酸も、動物ではなく表皮モデルを使った3次元モデル眼粘膜刺激性試験の結果で劇物指定となりました。

また除外された劇物も発表されました。

(1)有機シアン化合物及びこれを含有する製剤のうち、1-(3-クロロ-2-ピリジル)-4′-シアノ-2′-メチル-6′-(メチルカルバモイル)-3-[[5-(トリフルオロメチル)-2H-1,2,3,4-テトラゾール-2-イル]メチル]-1H-ピラゾール-5-カルボキサニリド及びこれを含有する製剤
(2)有機シアン化合物及びこれを含有する製剤のうち、4′-(シアノメチル)-2-イソプロピル-5,5-ジメチルシクロヘキサンカルボキサニリド及びこれを含有する製剤
(3)有機シアン化合物及びこれを含有する製剤のうち、2,3,3,3-テトラフルオロ-2-(トリフルオロメチル)プロパンニトリル及びこれを含有する製剤
(4)無水酢酸及びこれを含有する製剤のうち、無水酢酸0.2%以下を含有する製剤

劇物から除外された化合物の構造

1から3は有機シアン化合物なので包括的に劇物となりますが、事業者が調べたところ劇性を持たないことが判明したため劇物から除外されました。4の無水酢酸については0.2%以下では、劇性を持たないことが判明したため劇物から除外されました。そのため0.2%以上の無水酢酸は依然として劇物となります。企業が毒劇を含んだ製品を販売することは製造や流通、販売の観点からなるべく避けたいことであるため、厚生労働省に除外を申請しているようです。

研究室では新たに指定された化合物に対して、瓶に毒劇を示すステッカーを貼ったり、鍵付きのロッカーで保管し、使用料を記録するなど、法律に基づいた運用が必要になります。このような毒劇の指定は、厚生労働省、薬事・食品衛生審議会 毒物劇物部会が司っていて、今回の決定は今年の二月に行われた部会で審議されました。部会は公開で開催され、公開された議事録によれば、委員(大学の先生方)と一つ一つの化合物に対して毒性データを確認して毒劇判定を出しているようです。審議会の最後には、動物を使わない毒性評価法についてコメントがあり、積極的に使っていく一方で新しい実験方法で得られたデータの信頼性や解釈について議論を深める必要があるとのコメントが出されています。

関連書籍

関連リンク

Zeolinite

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. トムソン:2005年ノーベル賞の有力候補者を発表
  2. 相次ぐ海外化学企業の合併
  3. シュプリンガー・ネイチャー・グループが学問の継続のために経済的な…
  4. 抗精神病薬として初めての口腔内崩壊錠が登場
  5. パッションフルーツに「体内時計」遅らせる働き?
  6. 製造過程に発がん性物質/テフロンで米調査委警告
  7. 2016年化学10大ニュース
  8. 保護により不斉を創る

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2012年の被引用特許件数トップ3は富士フイルム、三菱化学、積水化学
  2. 1-フルオロ-2,4,6-トリメチルピリジニウムトリフルオロメタンスルホナート : 1-Fluoro-2,4,6-trimethylpyridinium Trifluoromethanesulfonate
  3. 2012年ノーベル化学賞は誰の手に?
  4. H・ブラウン氏死去/米のノーベル化学賞受賞者
  5. 2015年化学10大ニュース
  6. 専門用語豊富なシソーラス付き辞書!JAICI Science Dictionary
  7. 分子標的薬、手探り続く
  8. シリンドロシクロファン生合成経路の解明
  9. グラフェン技術の最先端 ~量産技術と使いやすさの向上、今後の利用展開~
  10. 学振申請書の書き方とコツ

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年7月
« 6月   8月 »
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

注目情報

最新記事

腎細胞がん治療の新薬ベルツチファン製造プロセスの開発

2021年夏に米国 FDA はベルツチファン (belzutifan, WeliregTM) という…

マテリアルズ・インフォマティクスの基本とMI推進

見逃し配信視聴申込はこちら■概要2021年9月7日に開催されたウェブセミナー「マテリアル…

【四国化成工業】新卒採用情報(2023卒)

◆求める人財像:『使命感にあふれ、自ら考え挑戦する人財』私たちが社員に求めるのは、「独創力」…

四国化成工業ってどんな会社?

私たち四国化成工業株式会社は、企業理念「独創力」のもと「有機合成技術」を武器に「これまでになかった材…

ポンコツ博士の海外奮闘録 外伝② 〜J-1 VISA取得編〜

ポンコツシリーズ番外編 その2 J-1 VISA取得までの余談と最近日本で問題になった事件を経験した…

結合をアリーヴェデルチ! Agarozizanol Bの全合成

セスキテルペンAgarozizanol Bの全合成が初めて達成された。光照射下で進行するカスケード反…

有機合成化学協会誌2022年1月号:無保護ケチミン・高周期典型金属・フラビン触媒・機能性ペプチド・人工核酸・脂質様材料

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2022年1月号がオンライン公開されました。本…

第167回―「バイオ原料の活用を目指した重合法の開発」John Spevacek博士

第167回の海外化学者インタビューは、ジョン・スペヴァセック博士です。Aspen Research社…

繊維強化プラスチックの耐衝撃性を凌ぐゴム材料を開発

名古屋大学大学院工学研究科有機・高分子化学専攻の 野呂 篤史講師らの研究グループは、日本ゼオンと共同…

反応化学の活躍できる場を広げたい!【ケムステ×Hey!Labo 糖化学ノックインインタビュー②】

2021年度科学研究費助成事業 学術変革領域研究(B)に採択された『糖鎖ケミカルノックインが拓く膜動…

Chem-Station Twitter

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP