[スポンサーリンク]

M

マーティンスルフラン Martin’s Sulfurane

概要

マーティンスルフラン(Matrin’s Sulfurane)は中性条件・低温にて、アルコールの脱水反応が行える試薬。第二級・第三級アルコールからアルケンを与える。第一級アルコールは脱水せず、エーテルを与える。

基本文献

<review>

開発の経緯

1971年、イリノイ大学(当時)・J. C. Martinによって開発された。超原子価化合物の研究者だったMartinはまた、Dess-Martin酸化剤の開発者としても知られている。

James Cullen Martin(1928-1999)[引用:Wikipedia]

反応機構

硫黄(IV)上のアルコール配位子交換、アルコキシスルホニウムイオンの形成、引き続くE1もしくはE2脱離機構で進行する(参考:J. Am. Chem. Soc. 197294, 5003. )。

反応例

Neocarzinostatin Chromophoreの合成[1] Martin_sulfurane_3.gif
Garsubellin Aの合成[2] Martin_sulfurane_4.gif
(+)-Acutiphycinの合成[3] Martin_sulfurane_5.gif

ビシナル位にアルコールがあるとエポキシドが得られる[4]。

試薬の調製

2-フェニル-2-(1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ)プロパノールカリウム塩、ジフェニルスルフィド、臭素を混合することで得られる[5]。

実験手順

Martin_sulfurane_6.gif
窒素雰囲気下、アルコール(0.41g, 0.94 mmol)のジクロロメタン溶液(10mL)に、Martinスルフラン(0.949g, 1.41mmol)のジクロロメタン溶液(5mL)を室温にて滴下する。反応溶液は淡黄色になる。24時間撹拌後、溶媒を減圧留去し、得られた黄色油状物をフラッシュカラムクロマトグラフィ(石油エーテル/酢酸エチル=3/2)にて精製する。得られた生成物をメタノール/水から再結晶し、目的物を無色固体として得る(0.33g, 収率84%)。[6]

実験のコツ・テクニック

  • 進行させる反応の性質上、吸水によって分解しやすいため、保管と取扱には禁水を心がける。

参考文献

  1. Myers. A/ G.; Glatthar, R.; Hammond, M.; Harrington, P. M.; Kuo, E. Y.; Liang, J.; Schaus, S. E.; Wu, Y.; Xiang, J.-N. J. Am. Chem. Soc. 2002124, 5380. DOI: 10.1021/ja012487x
  2. Kuramochi, A.; Usuda, H.; Yamatsugu, K.; Kanai, M.; Shibasaki, M. J. Am. Chem. Soc. 2005127, 14200. DOI: 10.1021/ja055301t
  3. Moslin, R. M. Jamison, T. F. J. Am. Chem. Soc. 2006128, 15106. DOI: 10.1021/ja0670660
  4. Martin, J. C.; Franz, J. A.; Arhart, R. J. J. Am. Chem. Soc1974, 96, 4604. doi:10.1021/ja00821a041
  5. Martin, J. C.; Arhart, R. J.; Franz, J. A.; Perozzi, E. F.; Kaplan, L. J. Org. Synth. 1977, 57, 22. DOI: 10.15227/orgsyn.057.0022
  6. Begum, L.; Box, J. M.; Drew, M. G. B.; Harwood, L. M.; Humphreys, J. L.; Lowes, D. J.; Morris, G. A.; Redon, P. M.; Walker, F. M.; Whitehead, R. C. Tetrahedron 2003, 59, 4841. doi:10.1016/S0040-4020(03)00697-5

関連反応

外部リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. N-カルバモイル化-脱アルキル化 N-carbamoylatio…
  2. バーチ還元 Birch Reduction
  3. ジェイコブセン速度論的光学分割加水分解 Jacobsen Hyd…
  4. 脱離反応 Elimination Reaction
  5. ペイン転位 Payne Rearrangement
  6. ジョンソン・クライゼン転位 Johnson-Claisen Re…
  7. ブレデレック試薬 Bredereck’s Reage…
  8. ジェイムス・ブル エナンチオ過剰率決定法 James-Bull …

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I) クロリド:Tris(triphenylphosphine)rhodium(I) Chloride
  2. 世界が終わる日までビスマス
  3. 芳香環のハロゲン化 Halogenation of Aromatic Ring
  4. 振動結合:新しい化学結合
  5. 怒涛の編集長 壁村耐三 ~論文と漫画の共通項~
  6. 金属を使わない触媒的水素化
  7. 分子モーター / Molecular Motor
  8. ショウガに含まれる辛味成分
  9. ルボトム酸化 Rubottom Oxidation
  10. Organic Synthesis Workbook

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ルミノール誘導体を用いるチロシン選択的タンパク質修飾法

2015年、東京工業大学・中村浩之らは、ルミノール誘導体と鉄-ポルフィリン複合体(ヘミン)を用い、チ…

酵素触媒によるアルケンのアンチマルコフニコフ酸化

酵素は、基質と複数点で相互作用することにより、化学反応を厳密にコントロールしています。通常のフラ…

イオンの出入りを制御するキャップ付き分子容器の開発

第124回のスポットライトリサーチは、金沢大学 理工研究域物質化学系錯体化学研究分野(錯体化学・超分…

リチウムイオン電池の課題のはなし-1

Tshozoです。以前リチウムイオン電池に関するトピックを2つほど紹介した(記事:リチウムイ…

アルコールをアルキル化剤に!ヘテロ芳香環のC-Hアルキル化

2015年、プリンストン大学・D. W. C. MacMillanらは、水素移動触媒(HAT)および…

三種類の分子が自発的に整列した構造をもつ超分子共重合ポリマーの開発

第123回のスポットライトリサーチは、テキサス大学オースティン校博士研究員(Jonathan L. …

Chem-Station Twitter

PAGE TOP