[スポンサーリンク]

A

アリルオキシカルボニル保護基 Alloc Protecting Group

[スポンサーリンク]

概要

アリルオキシカルボニル(allyloxycarbonyl, Alloc)基は、カルバメート形成によってアミンの保護目的に多用される。
強塩基によるエステル加水分解条件・求核条件・弱めのヒドリド還元条件に強く、パラジウム(0)触媒を用いる求核置換反応条件で除去可能。Cbzを除去する接触還元条件、Bocを除去す強酸条件には不安定である。


基本文献

review

反応機構

保護

クロロギ酸アリル(Alloc-Cl)が最も多用される。ピリジンやトリエチルアミンを塩基として添加し、アミンと反応させる。アミノ酸などに対しては、無機塩基をもちいるショッテン・バウマン条件なども簡便である。

脱保護

パラジウム(0)触媒を作用させると、π-アリルパラジウム中間体を生じ、適切な求核剤(モルホリンや1,3-ジケトンなど)を共存させるとそれが捕捉される形で脱保護が行える。脱保護後のアミンがπ-アリルパラジウムに求核攻撃し、しばしばN-アリルアミンを副生物として与える。

反応例

I2条件での脱保護[1]

参考文献

  1. Szumigala, R. H. Jr.; Onofiok, K.; Karady, S.; Armstrong, J. D. III; Miller, R. A. Tetrahedron Lett. 2005, 46, 4403. doi: 10.1016/j.tetlet.2005.04.064

関連反応

関連書籍

[amazonjs asin=”1118057481″ locale=”JP” title=”Greene’s Protective Groups in Organic Synthesis”]

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. チャン転位(Chan Rearrangement)
  2. 過酸による求核的エポキシ化 Nucleophilic Epoxi…
  3. ヒンスバーグ オキシインドール合成 Hinsberg Oxind…
  4. サレット・コリンズ酸化 Sarett-Collins Oxida…
  5. 可視光酸化還元触媒 Visible Light Photored…
  6. クレーンケ ピリジン合成 Kröhnke Pyridine Sy…
  7. 向山酸化還元縮合反応 Mukaiyama Redox Conde…
  8. カルボニル化を伴うクロスカップリング Carbonylative…

注目情報

ピックアップ記事

  1. ウォルター・コーン Walter Kohn
  2. 在宅となった化学者がすべきこと
  3. ピラーアレーン
  4. リッチー・サーポン Richmond Sarpong
  5. CRISPRの謎
  6. 種子島沖海底泥火山における表層堆積物中の希ガスを用いた流体の起源深度の推定
  7. 2012年イグノーベル賞発表!
  8. 2009年7月人気化学書籍ランキング
  9. 熊田誠氏死去(京大名誉教授)=有機ケイ素化学の権威
  10. 褐色の要因となる巨大な光合成膜タンパク質複合体の立体構造の解明

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2018年7月
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031  

注目情報

最新記事

配座制御が鍵!(–)-Rauvomine Bの全合成

シクロプロパン環をもつインドールアルカロイド(–)-rauvomine Bの初の全合成が達成された。…

岩田浩明 Hiroaki IWATA

岩田浩明(いわたひろあき)は、日本のデータサイエンティスト・計算科学者である。鳥取大学医学部 教授。…

人羅勇気 Yuki HITORA

人羅 勇気(ひとら ゆうき, 1987年5月3日-)は、日本の化学者である。熊本大学大学院生命科学研…

榊原康文 Yasubumi SAKAKIBARA

榊原康文(Yasubumi Sakakibara, 1960年5月13日-)は、日本の生命情報科学者…

遺伝子の転写調節因子LmrRの疎水性ポケットを利用した有機触媒反応

こんにちは,熊葛です!研究の面白さの一つに,異なる分野の研究結果を利用することが挙げられるかと思いま…

新規チオ酢酸カリウム基を利用した高速エポキシ開環反応のはなし

Tshozoです。最近エポキシ系材料を使うことになり色々勉強しておりましたところ、これまで関連記…

第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り拓く次世代型材料機能」を開催します!

続けてのケムステVシンポの会告です! 本記事は、第52回ケムステVシンポジウムの開催告知です!…

2024年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!

大変長らくお待たせしました! 2024年ノーベル化学賞予想の結果発表です!2…

“試薬の安全な取り扱い”講習動画 のご紹介

日常の試験・研究活動でご使用いただいている試薬は、取り扱い方を誤ると重大な事故や被害を引き起こす原因…

ヤーン·テラー効果 Jahn–Teller effects

縮退した電子状態にある非線形の分子は通常不安定で、分子の対称性を落とすことで縮退を解いた構造が安定で…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP