[スポンサーリンク]

M

ミニスキ反応 Minisci Reaction

[スポンサーリンク]

 

概要

炭素ラジカルを電子不足複素環へと求核付加させる形式で、芳香族置換反応を行う反応。ラジカル前駆体としてはカルボン酸+1電子酸化剤の組合せがよく用いられるが、C-H結合活性化を経て行うことも可能。

 

基本文献

  • Minisci, F.; Bernardi, R.; Bertini, F.; Galli, R.; Perchinummo, M. Tetrahedron 1971, 27, 3575. doi:10.1016/S0040-4020(01)97768-3
  • Minisci, F.; Vismara, E.; Fontana, F.; Morini, G.; Serravalle, M.; Giordano, C. J. Org. Chem. 1987, 52, 730. DOI: 10.1021/jo00381a004
  • Review; Minisci, F.; Vismara, E.; Fontana, F. Heterocycles 1989, 28, 489. DOI: 10.3987/REV-88-SR1
  • Review: Duncton, M. A. J. Med. Chem. Commun. 2011, 2, 1135. DOI: 10.1039/C1MD00134E

 

反応機構

プロトン化されてより求電子性の高まった複素環に求核的ラジカルが反応する機構が考えられている。カルボン酸を用いる際、副反応としてアシル化体が生成する。 (参考:: J. Org. Chem. 1991, 56, 2866)

Minisci_2.gif

反応例

Baranらによってカルボン酸の代わりに有機ホウ素化合物をもちいる改良条件が報告された。室温・水系・open airで行える非常に実用的な条件。[1]

Minisci_3.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] (a) Seiple, I. B.; Su, S.; Rodriguez, R. A.; Gianatassio, R.; Fujiwara, Y.; Sobel, A. L.; Baran, P. S. J. Am. Chem. Soc. 2010, 132, 13194. DOI: 10.1021/ja1066459 (b) Fujiwara, Y.; Domingo, V.; Seiple, I. B.; Gianatassio, R.; Bel, M. D.; Baran, P. S. J. Am. Chem. Soc. 2011, 133, 3292. DOI: 10.1021/ja111152z (c) Lockner, J. W.; Dixon, D. D.; Risgaard, R.; Baran, P. S. Org. Lett. 2011, 13, 5628. DOI: 10.1021/ol2023505 (d) Dixon, D. D.; Lockner, J. W.; Zhou, Q.; Baran, P. S. J. Am. Chem. Soc. 2012, 134, 8432. DOI: 10.1021/ja303937y

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3642123554″ locale=”JP” title=”C-H Activation (Topics in Current Chemistry)”][amazonjs asin=”3540648623″ locale=”JP” title=”Activation of Unreactive Bonds and Organic Synthesis (Topics in Organometallic Chemistry)”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. アセタール系保護基 Acetal Protective Grou…
  2. ジスルフィド架橋型タンパク質修飾法 Disulfide-Brid…
  3. カンプス キノリン合成 Camps Quinoline Synt…
  4. モヴァッサージ脱酸素化 Movassaghi Deoxigena…
  5. 求核剤担持型脱離基 Nucleophile-Assisting …
  6. ローソン試薬 Lawesson’s Reagent
  7. アイルランド・クライゼン転位 Ireland-Claisen R…
  8. コーリー・バクシ・柴田還元 Corey-Bakshi-Shiba…

注目情報

ピックアップ記事

  1. メルドラム酸 Meldrum’s Acid
  2. 研究者よ景色を描け!
  3. 「タキソールのTwo phase synthesis」ースクリプス研究所Baran研より
  4. 核酸合成試薬(ホスホロアミダイト法)
  5. 有機合成化学協会誌7月号:ランドリン全合成・分子間interrupted Pummerer反応・高共役拡張ポルフィリノイド・イナミド・含フッ素ビニルスルホニウム塩・ベンゾクロメン
  6. オートファジーの化学的誘起で有害物質除去を行う新戦略「AUTAC」
  7. 谷口 透 Tohru Taniguchi
  8. 位相情報を含んだ波動関数の可視化に成功
  9. 【8/25 20:00- 開催!】オンラインイベント「研究者と描くAI社会の未来設計」
  10. 表面酸化した銅ナノ粒子による低温焼結に成功~銀が主流のプリンテッドエレクトロニクスに、銅という選択肢を提示~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2012年12月
 12
3456789
10111213141516
17181920212223
24252627282930
31  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP