[スポンサーリンク]

D

水素化ジイソブチルアルミニウム Diisobutylaluminium hydride

[スポンサーリンク]

 

概要

水素化ジイソブチルアルミニウム(Diisobutylaluminium hydride: DIBAL, DIBAL-H)はHAliBu2の示性式を持つ還元剤。二量体として存在する。

アルミニウム上に空軌道をもつため、ルイス酸性を有する。この特性ゆえに、水素化リチウムアルミニウム(LAH)などのアート型還元剤とは異なる用途の還元反応に適用がある。

ニトリルはイミンに還元され、これは加水分解によりアルデヒドに導ける。このため、ニトリルはアルデヒド等価体と見なせる。
アセタールはエーテルへと変換出来る。たとえばベンジリデンアセタールをDIBALで処理すると、立体的に混み合った部位がBnエーテル化された生成物が得られる。(PMB保護を参照)
また低温で反応を行うと、エステルをアルデヒドに部分還元できる場合もあるが、一般にはそれほど容易ではない。2当量以上のDIBALでアルコールにまで還元した後に、アルデヒドへ酸化する方が、工程数は長くなるが確実である。例外的に5または6員環ラクトンの場合、ラクトールへの部分還元は容易である。近年、
NaOtBuを添加したアート型還元剤がこの部分還元目的に有効であることが示されている。
アルキンに対してはヒドロメタル化を起こす。

 n-BuLiを添加してアート型還元剤LiAlH(i-Bu)2(n-Bu)とすることで、還元様式の異なる強力な還元剤として使用することも出来る。

 

基本文献

 

反応機構

DIBAL_2.gif

 

反応例

アルキンに対してヒドロメタル化を起こすことが知られている。

hydrometal4.gif
DIBAL+NaOtBu(SDBBA)は、氷冷下という簡便な条件下にエステルをアルデヒドに還元する。[1]

red_ester_aldehyde_1.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Song, J. I.; An, D. K. Chem. Lett. 200736, 886. doi:10.1246/cl.2007.886

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”0198556640″ locale=”JP” title=”Oxidation and Reduction in Organic Synthesis (Oxford Chemistry Primers, 6)”]

 

外部リンク

Avatar photo

cosine

投稿者の記事一覧

博士(薬学)。Chem-Station副代表。国立大学教員→国研研究員にクラスチェンジ。専門は有機合成化学、触媒化学、医薬化学、ペプチド/タンパク質化学。
関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。
素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. ビニルシクロプロパン転位 Vinylcyclopropane R…
  2. デーブナー・フォン=ミラー キノリン合成 Doebner-von…
  3. 歪み促進逆電子要請型Diels-Alder反応 SPIEDAC …
  4. ファヴォルスキー転位 Favorskii Rearrangeme…
  5. ハートウィグ ヒドロアミノ化反応 Hartwig Hydroam…
  6. アセト酢酸エステル/マロン酸エステル合成 Acetoacetic…
  7. 根岸カルボメタル化 Negishi Carbometalatio…
  8. 野崎・檜山・岸反応 Nozaki-Hiyama-Kishi (N…

注目情報

ピックアップ記事

  1. 【25卒化学系イベント】 「化学系女子学生のための座談会(11/18・19)」 「Chemical LIVE(12/9・10)」Zoom開催
  2. スピノシン spinosyn
  3. 社会に出てから大切さに気付いた教授の言葉
  4. 界面活性剤のWEB検索サービスがスタート
  5. リン酸アルミニウムを飲んだら爆発?
  6. 土釜 恭直 Kyoji Tsuchikama
  7. 小山 靖人 Yasuhito Koyama
  8. FT-IR・ラマン ユーザーズフォーラム 2015
  9. メタンガスと空気からメタノールを合成する
  10. カリックスアレーン /calixarene

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2010年6月
 123456
78910111213
14151617181920
21222324252627
282930  

注目情報

最新記事

光でゆがむ分子 ― アルミニウム錯体の対称性の破れをコヒーレント振動分光で観測

第711回のスポットライトリサーチは、九州大学大学院理学研究院 化学部門(分光分析化学研究室)・江原…

有機合成のカラム精製に革新を 〜モノリスカラムで変わる「研究のスピード」〜

筆者の研究室では有機合成を行っています。合成も大変ですが、何より大変なのが精製操作。最近、とある…

酸素は系内に入り込み続ける【プロセス化学者のつぶやき】

前回まで1. 設定温度と系内の実温度のお話2. 温度値をどう判断するか3. 反応操作をし…

アンモニウム構造によりラジカル種の発生位置を完全に制御!

第710回のスポットライトリサーチは、関西学院大学理工学研究科 村上研究室の榊原 陽太(さかきばら …

化学つれづれ草【ある研究者の回想】

概要物理化学者で量子機能材料を専門とする著者によるエッセイ集.化学者としての研究,教育,人生…

第60回有機反応若手の会

開催概要有機反応若手の会は、有機化学分野で研究を行う全国の大学院生を中心とした若手研究者が集い、…

ノーベル賞受賞者と語り合う5日間!「第18回HOPEミーティング」参加者募集!

申し込みはこちら概要主催:独立行政法人 日本学術振興会(JSPS)開催地:神奈川…

光触媒による高効率なCO2還元の実現―まさかの光を弱く当てることが重要だった―

第709回のスポットライトリサーチは、東京科学大学 理学院(前田研究室)博士後期課程2年の仲田竜一 …

「π-πスタッキング」という言葉が生む誤解【芳香環の相互作用を見直す: 前編】

芳香環が平行に並んで近接しているとき、その構造を「π–π スタッキング」と表されることがよくあります…

一重項酸素によるC(sp2)−P結合切断を用いた長波長光によるリン化合物のアンケージング

第 708 回のスポットライトリサーチは、同志社女子大学 薬学部 医療薬学科 5…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP