[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

ペタシス試薬 Petasis Reagent

[スポンサーリンク]

アルデヒド、ケトン 、カルボン酸誘導体→ アルケン

概要

Petasis試薬(Cp2TiMe2)は、チタノセンクロリド(Cp2TiCl2)および、メチルリチウム(MeLi)もしくはメチルグリニャール試薬(MeMgX)から容易に調製されるメチレン化試薬である。Tebbe試薬と同様、エステルなどにも用いることが可能。
Tebbe試薬に比べて安定性・再現性の面で優れており、ルイス酸性の強いアルミニウムを含まないため、よりマイルドに反応が行える。メチレン化を行うには若干の加熱(60℃)が必要。

基本文献

  • Petasis, N. A.; Bzowej, E. I. J. Am. Chem. Soc. 1990112, 6392. doi:10.1021/ja00173a035
  • Payack, J. F.; Hughes, D. L.; Cai, D.; Cottrell, I. F.; Verhoeven, T. R. Org. Synth. 2002, 7, 19. [website]

 

反応機構

生成してくるSchrockカルベン活性種とその反応様式はTebbe試薬と同様。活性種は60℃に熱することにより形成する。
one-en16.gif

反応例

Gelsemineの形式全合成[1] petasis_reagent_3.gif
TiCl4-RCHX2-Zn-TMEDA[2]の反応系(Lombardo-Takai反応)を用いると、置換アルケンの合成(アルキリデン化)も可能。反応はZ-選択的に進行する。
petasis_reagent_4.gif

実験手順

Petasis試薬の調製法 [3]

petasis_reagent_5.gif
スターラーバー、温度計、バブラー、滴下漏斗(250mL)を備えた三口フラスコ(1L)内部を窒素置換し、チタノセンジクロリド(41.5g, 0.167mol)と無水トルエン(450mL)を加える。撹拌しながら-5℃に冷却する。塩化メチルマグネシウム(3M in THF, 126mL, 0.38mol)を1時間かけて滴下する。反応溶液の温度が8℃を超えないように注意する。生じたオレンジ色の混合物を0~5℃に保ってさらに1時間撹拌すると、チタノセンジクロリドの溶解が確認されてくる。反応追跡はNMRで行う。
スターラーバー、温度計、バブラーを備えた別の三口フラスコ(2L)内部を窒素置換した6%塩化アンモニウム水溶液(117mL)を入れ、撹拌しながら氷浴で冷却する。
反応の完結をNMRで確認したら、カニュラーを使って反応溶液を、冷却塩化アンモニウム水溶液に1時間かけて滴下する。溶液温度は0~5℃に保つ。元の反応溶液をトルエン(30mL)ですすぎ、塩化アンモニウム溶液に移す。滴下終了後、分液漏斗に移し水相を分離。有機相を冷水(x3)、飽和食塩水で洗浄後、無水硫酸マグネシウム(>35g)で乾燥。ろ過し、全量が150g程度になるまで溶媒を減圧留去する。エバポレータの水浴温度が35℃異常にならないよう気をつける。この溶液(ca. 20wt%)をそのまま次の反応に使う。
保存したい場合は、窒素雰囲気下密封フラスコに入れ、冷蔵庫(0~10℃)で保存。一週間以上使わない場合は安定可能のあるTHF(160mL)で薄めて保存する。

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Atarashi, S.; Choi, J.-K.; Ha, D.-C.; Hart, D. J.; Kuzmich, D.; Lee, C.-S.; Ramesh, S.; Wu, S. C. J. Am. Chem. Soc. 1997,
119, 6226. DOI: 10.1021/ja970089h 

[2] (a) Takai, K.; Hotta, Y.; Ohshima, K.; Nozaki, H. Tetrahedron Lett. 1978, 19, 2417. doi:10.1016/S0040-4039(01)94789-6 .(b) Takai, K.; Kakiuchi, T.; Kataoka, Y.; Uchimoto, K. J. Org. Chem. 1994, 59, 2668. DOI: 10.1021/jo00089a002

[3] Payack, J. F.; Hughes, D. L.; Cai, D.; Cottrell, I. F.; Verhoeven, T. R. Org. Synth. 2002, 7, 19. [website]

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. マーデルング インドール合成 Madelung Indole S…
  2. 向山・鈴木グリコシル化反応 Mukaiyama-Suzuki G…
  3. スルホキシド/セレノキシドのsyn-β脱離 Syn-β-elim…
  4. 生体共役反応 Bioconjugation
  5. 可視光酸化還元触媒 Visible Light Photored…
  6. ベックマン転位 Beckmann Rearrangement
  7. ミズロウ・エヴァンス転位 Mislow-Evans Rearra…
  8. 脱酸素的フッ素化 Deoxofluorination

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. ワーグナー・メーヤワイン転位 Wagner-Meerwein Rearrangement
  2. タンパクの「進化分子工学」とは
  3. エチレンをつかまえて
  4. 文具に凝るといふことを化学者もしてみむとてするなり⑥:実験室でも長持ち「ステンレス定規」の巻
  5. Pallambins A-Dの不斉全合成
  6. 高反応性かつ取扱い容易な一酸化炭素の代用試薬,N-ホルミルサッカリン
  7. 研究者版マイナンバー「ORCID」を取得しよう!
  8. おまえら英語よりもタイピングやろうぜ ~上級編~
  9. Arborisidineの初の全合成
  10. 鴻が見る風景 ~山本尚教授の巻頭言より~

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

有機合成化学協会誌2019年11月号:英文版特集号

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2019年11月号がオンライン公開されました。…

製品開発職を検討する上でおさえたい3つのポイント

基礎研究と製品開発は、目的や役割がそれぞれ異なります。しかし、求人情報の応募要件を見てみると「〇〇の…

二刀流のホスフィン触媒によるアトロプ選択的合成法

不斉付加環化反応による新奇アリールナフトキノン合成法が報告された。2つの機能を有する不斉ホスフィン触…

ヒドロゲルの新たな力学強度・温度応答性制御法

第230回のスポットライトリサーチは、東京農工大学大学院工学府(村岡研究室)・石田敦也さんにお願い致…

光誘導アシルラジカルのミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応

可視光照射条件下でのアジン類のミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応が開発された。官能基許容性が高いため…

イオン交換が分子間電荷移動を駆動する協奏的現象の発見

第229回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 新領域創成科学研究科(竹谷・岡本研究室)・山下…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP