[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

ウギ反応 Ugi Reaction

[スポンサーリンク]

アルデヒド・ケトン、イソニトリル、カルボン酸、アミン → アミド

概要

アルデヒド・イソニトリル・カルボン酸・アミンを混ぜるだけで、生成物であるジペプチドが良好な収率で得られる四成分縮合反応(Four-component
Condensation)。非常に活性な反応で、室温下およそ数秒~数分のうちに終了することも多い。

極性溶媒が適しており、メタノールがもっとも良く用いられる。原料に比べて生成物が溶解しにくいため、生成系に優位な反応プロファイルを示すとともに、後処理をも容易とする。

ルイス酸を加えると反応は加速される。

化合物がペプチドそのものであり、反応自体きわめて高速なため、新規薬物探索に頻用される。 R1~R4を様々に変えるだけでライブラリーを構築することが出来る。
また、基質のバリエーションをいろいろと変えることでペプチドだけでなく、複素環合成などにも応用できる。詳しくは下記Reviewや参考書籍を参照されたい。

基本文献

 

反応機構

イミンがプロトン化された活性イミニウム中間体にイソニトリルが求核付加し、ついでカルボキシレートアニオンが付加、アシル転位(Mumm転位)を経て生成物を与える。
ugi_2.gif
水の添加により反応は加速される。(参考:J. Am. Chem. Soc.2004, 126, 444.)

 

反応例

いくつかの生理活性物質の合成に適用されている。高収束的合成を指向した多成分縮合反応は、次世代型有機合成において重要なポイントとなってくるであろう。

Ecteinascidin 743の合成[1] ugi_3.gif
Ugiライブラリーを用いるトロンビン阻害剤の探索[2]遺伝的アルゴリズム(GA)を用いることで探索を高効率化している点が特徴。

 

実験手順

典型的なUgi反応の例[3] ugi_4.gif

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Endo, A.; Yanagisawa, A.; Abe, M.; Tohma, S.; Kan, T.; Fukuyama, T. J. Am. Chem. Soc. 2002, 124, 6552. DOI: 10.1021/ja026216d

[2] Weber, L. et al. Angew. Chem. Int. Ed. 199534, 1739. doi:10.1002/anie.199517391

[3] Marcaccini、S.; Torroba ,T. Nature Protocols 20072, 632. doi:10.1038/nprot.2007.71

 

関連反応

 

関連書籍

[amazonjs asin=”3527332375″ locale=”JP” title=”Multicomponent Reactions in Organic Synthesis”]

 

関連リンク

関連記事

  1. ワーグナー・メーヤワイン転位 Wagner-Meerwein R…
  2. 芳香族求核置換反応 Nucleophilic Aromatic …
  3. カルボン酸の保護 Protection of Carboxyli…
  4. デーブナー・フォン=ミラー キノリン合成 Doebner-von…
  5. ワートン反応 Wharton Reaction
  6. エッシェンモーザー・タナベ開裂反応 Eschenmoser-Ta…
  7. グレーサー反応 Glaser Reaction
  8. オーヴァーマン転位 Overman Rearrangement

注目情報

ピックアップ記事

  1. 酸化反応条件で抗酸化物質を効率的につくる
  2. 中分子創薬に挑む中外製薬
  3. ケムステニュース 化学企業のグローバル・トップ50が発表【2020年版】
  4. 天然にある中間体から多様な医薬候補を創り出す
  5. 第30回 弱い相互作用を活用した高分子材料創製―Marcus Weck教授
  6. エントロピーの悩みどころを整理してみる その1
  7. 相次ぐ化学品・廃液の漏洩・流出事故
  8. 蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)のドナーとして利用される蛍光色素
  9. Newton別冊「注目のスーパーマテリアル」が熱い!
  10. ダグ・ステファン Douglas W. Stephan

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2009年6月
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
2930  

注目情報

最新記事

アザボリンはニ度異性化するっ!

1,2-アザボリンの光異性化により、ホウ素・窒素原子を含むベンズバレンの合成が達成された。本異性化は…

マティアス・クリストマン Mathias Christmann

マティアス・クリストマン(Mathias Christmann, 1972年10…

ケムステイブニングミキサー2025に参加しよう!

化学の研究者が1年に一度、一斉に集まる日本化学会春季年会。第105回となる今年は、3月26日(水…

有機合成化学協会誌2025年1月号:完全キャップ化メッセンジャーRNA・COVID-19経口治療薬・発光機能分子・感圧化学センサー・キュバンScaffold Editing

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2025年1月号がオンライン公開されています。…

配位子が酸化??触媒サイクルに参加!!

C(sp3)–Hヒドロキシ化に効果的に働く、ヘテロレプティックなルテニウム(II)触媒が報告された。…

精密質量計算の盲点:不正確なデータ提出を防ぐために

ご存じの通り、近年では化学の世界でもデータ駆動アプローチが重要視されています。高精度質量分析(HRM…

第71回「分子制御で楽しく固体化学を開拓する」林正太郎教授

第71回目の研究者インタビューです! 今回は第51回ケムステVシンポ「光化学最前線2025」の講演者…

第70回「ケイ素はなぜ生体組織に必要なのか?」城﨑由紀准教授

第70回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

第69回「見えないものを見えるようにする」野々山貴行准教授

第69回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

第68回「表面・界面の科学からバイオセラミックスの未来に輝きを」多賀谷 基博 准教授

第68回目の研究者インタビューです! 今回は第52回ケムステVシンポ「生体関連セラミックス科学が切り…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP