[スポンサーリンク]

ケムステまとめ

チャート式実験器具選択ガイド:スパチュラ・グローブ編

[スポンサーリンク]

2020年からスタートした試してみたシリーズ、器具選択において大変役に立っています。たくさんの商品が紹介されている中、誰しも自分の用途に一番合った器具を選びたいと思うものです。チャート式実験選択ガイドの第三弾ではスパチュラと手袋を紹介します。

はじめに

今回は、スパチュラとグローブを紹介します。ケムステの記事で紹介した器具を対象に、アズワン株式会社さんのAXELに記載されている特徴を引用して分類しました。取り上げているのは商品番号そのものの特徴であるため、姉妹品では特徴が異なる場合もあります。

スパチュラ編

  1. 2-8221-01 細口用スプーン 205mm
  2. 3-8946-02 カーブスパチュラ(SUS304) 中
  3. 3-648-01 スポロー 100本入
  4. 3-8186-01 ステンレスパウダーサンプラー 150mL
  5. 2-3863-01 ステンロングスプーン 268mm
  6. 3-285-01 マイクロスパチュラ(ハイマンスタイル)
  7. 3-6892-01 研究者用サンプリングスパーテルセット
  8. 2-337-02 フッ素コーティングミクロスパーテル 180細
  9. 5-5625-01 PFAスプーン 174×22×10
  10. 3-8587-01 使い捨て紙スプーン 10mL 416個入

第一に繰り返し使用できるものか、使い捨てなのかで分類し、第二にスパチュラの幅で分類しました。幅の基準には15/25のスリを参照しましたが、これは有機合成においてよく行われるナスフラスコからの生成物の回収を想定しています。ステンレスのスパチュラや薬さじが一般的かと思われますが、310といった使い捨てのスパチュラも販売されています。310も粘性液体など洗うのに手間がかかる化合物や金属腐食性の化合物を取り扱う際に便利だと思います。9はプラスチック製ですが繰り返し使用でき、PFAなので溶媒で溶ける心配も少ないようです。2はヘラ部がストレートなので、フラスコにこびりついた固体をかきとるのに便利です。は米の品評会で使われるような袋に刺して固体を取り出す器具です。太めのオープンカラムにシリカゲルを充填する時に便利かもしれません。は、スパチュラ、薬さじ、ピンセット、はさみのセットです。固体の取り出しや洗浄において、手や通常の器具ではアクセスできないところに詰まることは時々あり、そんなときのためにこのセットに含まれるいろいろな形のツールが役に立つかもしれません。

グローブ編

耐切創編

  1. 3-9105-01 タートルスキン(R)アンダーグローブ CP insider S CPB-300
  2. 3-9107-03 タートルスキン(R)グローブ CPR Wrap L CPR0-3300-1090
  3. 3-9104-01 タートルスキン(R)グローブ CP High Vis PM S CPM-33A

耐切創手袋は手のひらを中心にアラミド繊維が緻密に編み込まれており、鋭利な物の貫通を防ぎます。合成実験においては、ガラス器具を組むときに無理な力をかけてガラスが割れ、それが手に突き刺さることがあります。そのため、ガラス器具に何かを差し込むときは耐切創手袋を装着すべきだと思います。1はインナーグローブとして装着が可能なので、このグローブの上から耐薬品のグローブを装着し、断続的なガラス器具の作業に便利かと思われます。2は、手の甲の通気性が良いので長時間の作業に適しているようです。

耐熱編

  1. 4-1945-01 耐熱耐切創手袋 シリコンコーティング  S5TKS/18XK
  2. 6-8253-02 耐熱プロテクター アームプロテクター

マッフル炉やバーナーを使った実験では、このような耐熱の装備も必要だと考えられます。は耐切創性も有している手袋で、一時的に高温物体を取り扱う場合に便利だと予想されます。一方は、手袋とアームプロテクターがあり長時間の使用に向いていると思われます。

耐薬品編

  1. 4-2524-01 使い捨て耐薬手袋 TRILITES 994 S 100枚入
  2. 3-270-02 トリオニック耐酸性グローブ 7インチ 12双入 517317
  3. 4-2518-01 ハイグリップ耐薬品手袋 Jersette 301 S  34301166
  4. 4-2516-01 ウルトラニトリル厚手手袋 Ultranitril 381 M  34381337
  5. 6-916-03 クリーンノール手袋(耐溶剤) No.20S
  6. 4-2525-02 耐薬厚手ネオプレン手袋 UltraNeo 382 M  34382037
  7. 4-2491-01 厚手フッ素ゴム手袋 Fluotech 344 M  34344139

多くの化学実験では薬品が手にかかる可能性があり、何らかの手袋を使用していると思います。広く使われているのはのような使い捨てのタイプです。しかし薬品飛散からの保護に留まるため、器具洗浄のような溶媒の中に手を入れたり、たくさん溶媒が手にかかる場合には、耐薬品性がより高い手袋を使用する必要があります。耐薬品グローブの選定は使用する溶媒次第ですが、7はフッ素ゴムを使用しており多くの溶媒に耐性があります。一方は厚みが0.2 mmと薄く作業しやすいですが、DMF・THF・ピロリドン・アノンには使用できません。また3,4,7は、EN 388:2016の耐摩耗性や耐引裂きに準拠しており、手袋の耐久性が担保されています。

スパチュラは固体を取り扱う際には作業効率を左右する重要な器具であり、価格もさほど高価ではないため、いろいろなタイプのスパチュラをそろえても良いかと思います。グローブは手のけがを防止する重要な安全器具であり、リスクのある作業に関しては個人のテクニックを過信せず適切なグローブを使用すべきだと思います。

関連書籍

[amazonjs asin=”4759820663″ locale=”JP” title=”続続 実験を安全に行うために 失敗事例集”] [amazonjs asin=”4759818340″ locale=”JP” title=”続 実験を安全に行うために第4版 基本操作・基本測定編”]

試してみたシリーズ

Avatar photo

Zeolinite

投稿者の記事一覧

ただの会社員です。某企業で化学製品の商品開発に携わっています。社内でのデータサイエンスの普及とDX促進が個人的な野望です。

関連記事

  1. インフルエンザ治療薬と記事まとめ
  2. 分子マシンー2016年ノーベル化学賞より
  3. 世界を股にかける「国際学会/交流会 体験記」
  4. ケムステVシンポまとめ
  5. 美しい化学構造式を書きたい方に
  6. 有機合成化学協会誌 紹介記事シリーズ
  7. 理系の海外大学院・研究留学記
  8. 機器分析の基礎知識【まとめ】

注目情報

ピックアップ記事

  1. 日本の海底鉱物資源の開発状況と課題、事業展望【終了】
  2. 有機合成化学協会誌2022年3月号:トリフリル基・固相多点担持ホスフィン・触媒的アリル化・スルホニル基・荷電π電子系/ 菅 敏幸 先生追悼
  3. 光刺激に応答して形状を変化させる高分子の合成
  4. ケムステ版・ノーベル化学賞候補者リスト【2018年版】
  5. アラスカのカブトムシは「分子の防寒コート」で身を守る
  6. 「架橋ナノゲル」を応用したがんワクチンDDS
  7. 天然物化学談話会
  8. ダルツェンス縮合反応 Darzens Condensation
  9. NMRデータ処理にもサブスクの波? 新たなNMRデータ処理ソフトウェアが登場
  10. 【日本精化】化粧品・医薬品の原料開発~「キレイ」のチカラでみんなを笑顔に~

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2022年4月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

アクリルアミド類のanti-Michael型付加反応の開発ーPd触媒による反応中間体の安定性が鍵―

第622回のスポットライトリサーチは、東京理科大学大学院理学研究科(松田研究室)修士2年の茂呂 諒太…

エントロピーを表す記号はなぜSなのか

Tshozoです。エントロピーの後日談が8年経っても一向に進んでないのは私が熱力学に向いてないことの…

AI解析プラットフォーム Multi-Sigmaとは?

Multi-Sigmaは少ないデータからAIによる予測、要因分析、最適化まで解析可能なプラットフォー…

【11/20~22】第41回メディシナルケミストリーシンポジウム@京都

概要メディシナルケミストリーシンポジウムは、日本の創薬力の向上或いは関連研究分野…

有機電解合成のはなし ~アンモニア常温常圧合成のキー技術~

(出典:燃料アンモニアサプライチェーンの構築 | NEDO グリーンイノベーション基金)Ts…

光触媒でエステルを多電子還元する

第621回のスポットライトリサーチは、分子科学研究所 生命・錯体分子科学研究領域(魚住グループ)にて…

ケムステSlackが開設5周年を迎えました!

日本初の化学専用オープンコミュニティとして発足した「ケムステSlack」が、めで…

人事・DX推進のご担当者の方へ〜研究開発でDXを進めるには

開催日:2024/07/24 申込みはこちら■開催概要新たな技術が生まれ続けるVUCAな…

酵素を照らす新たな光!アミノ酸の酸化的クロスカップリング

酵素と可視光レドックス触媒を協働させる、アミノ酸の酸化的クロスカップリング反応が開発された。多様な非…

二元貴金属酸化物触媒によるC–H活性化: 分子状酸素を酸化剤とするアレーンとカルボン酸の酸化的カップリング

第620回のスポットライトリサーチは、横浜国立大学大学院工学研究院(本倉研究室)の長谷川 慎吾 助教…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP