[スポンサーリンク]

化学者のつぶやき

複雑なアルカロイド合成

今日の講演はMohammad Movassaghi, Ph.D (Assistant Professor, Massachusetts Institute of Technology, Department of Chemistry)でした。最近、よく論文でみる名前でMITであることは知っていましたが、私は勝手に怪しげなインド人の顔を想像してました(苦笑)。 お題は、”Cascade Reactions in Complex Alkaloid synthesis” 彼は2003年にMITにポジションをとったばかりの若手研究者。こういうのがなかなかよい仕事をしているから、そういう意味ではアメリカはすばらしい。日本では講座制なのでこのぐらいの年齢であると自分の仕事ができないから。

簡単に彼について説明すると、彼はUCバークレーを卒業後、Harvard 大学Andrew G. Myersのところで学位を取得(この時点ですでに王道。)、その後、同大のEric N. Jacobsenのところでポスドクと、ハーバードの2研究室を渡り歩いています。

学生、ポスドク時の研究は、主に反応の開発が中心であったようです。 例えば、院生時代にはNBSH(o-nitrobenzenesulfonylhydrazine)を用いた脱ヒドロキシル化反応は彼の仕事です[1]

deoxyganation_of_alcohol.gif

最近はアルカロイドの全合成研究を中心に研究を行っています。今回の話は最近不斉全合成を達成したアルカロイド(-)Galbulimima Alkaloid 13[3]と(-)-Calycanthine[4]の話でした。最近はやりのBiomimetic Synthesisで結構きれいに化合物を合成していました。あとは、多置換Pyrimidineの1ステップ合成。アミドの活性化剤としてTf2Oに加え、2-chloropyridineを使い、活性化した後にニトリルを加え、環化異性化反応でうまくPyrimidine誘導体をつくっていました[5]

(-)-Calycanthineはovermanなどの合成もすばらしいですが、誰でも考えるようなホモカップリング反応を触媒をうまく選択し、実現したところは面白いと思います。

これらの詳細は、また別に紹介いたします。

関連文献

[1].Myers, A. G.; Movassaghi, M.; Zheng, B.J. Am. Chem. Soc.1997,119, 8572. DOI:10.1021/ja971768v

[2].Myers, A. G.; Movassaghi, M.J. Am. Chem. Soc.1998,120, 8891. DOI:10.1021/ja981918h

[3].Movassaghi, M.; Hunt, D. K.; Tjandra, M.J. Am. Chem. Soc.2006128,8126.  DOI:10.1021/ja0626180

[4].Movassaghi, M.; Schmidt, M. A.Angew. Chem. Int. Ed.2007,46, 3725. DOI:10.1002/anie.200700705

[5]Movassaghi, M.; Hill, M. D.J. Am. Chem. Soc.2006,128, 14254.DOI:10.1021/ja066405m

関連リンク

Movassaghi Group Home Page

The following two tabs change content below.
webmaster
Chem-Station代表。早稲田大学理工学術院教授。専門は有機化学。主に有機合成化学。分子レベルでモノを自由自在につくる、最小の構造物設計の匠となるため分子設計化学を確立したいと考えている。趣味は旅行(日本は全県制覇、海外はまだ20カ国ほど)、ドライブ、そしてすべての化学情報をインターネットで発信できるポータルサイトを作ること。

関連記事

  1. 鍛冶屋はなぜ「鉄を熱いうちに」打つのか?
  2. 真空ポンプはなぜ壊れる?
  3. ケムステイブニングミキサー2018ー報告
  4. レビュー多すぎじゃね??
  5. ESIPTを2回起こすESDPT分子
  6. “マイクロプラスチック”が海をただよう …
  7. 化学者に役立つWord辞書
  8. Carl Boschの人生 その2

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. Gabriel試薬類縁体
  2. 反応経路最適化ソフトウェアが新しくなった 「Reaction plus pro」
  3. カメレオン変色のひみつ 最新の研究より
  4. 「化学の日」はイベント盛り沢山
  5. ケムステイブニングミキサー2017へ参加しよう!
  6. 2-トリメチルシリル-1,3-ジチアン:1,3-Dithian-2-yltrimethylsilane
  7. エリック・フェレイラ Eric M. Ferreira
  8. 究極のエネルギーキャリアきたる?!
  9. 第34回 生物学と合成化学のハイブリッド高分子材料を開発する―Jeroen Cornelissen教授
  10. 有機反応を俯瞰する ーシグマトロピー転位

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

化合物の秤量

数mgを量り取るといったことは多くの化学系の研究者の皆様が日常的にされていることかと思います。しかし…

小スケールの反応で気をつけるべきこと

前回はスケールアップについて書いたので、今回は小スケールの反応での注意すべきことについてつらつらと書…

尿から薬?! ~意外な由来の医薬品~ その1

Tshozoです。今まで尿に焦点をあてた記事を数回書いてきたのですが、それを調べるうちに「1…

OPRD誌を日本プロセス化学会がジャック?

OPRD(Organic Process Research & Development)はJ…

ワークアップの悪夢

みなさま、4月も半分すぎ、新入生がラボに入ってきていると思います。そんな頃によく目にするのが、エマル…

単一分子の電界発光の機構を解明

第194回のスポットライトリサーチは、理化学研究所Kim表面界面科学研究室で研究員を務められていた、…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP