[スポンサーリンク]

一般的な話題

サイエンスアゴラの魅力を聞く-「iCeMS」水町先生

[スポンサーリンク]

今月9・10日に日本科学未来館他で開催されるサイエンスアゴラ出展について、京都大学物質-細胞統合拠点(iCeMS)科学コミュニケーショングループ(加藤和人グループ)で活動している水町衣里先生にインタビューしてきました。

 

みんなでつくる未来像:iCeMS発の科学から考える
(日本科学未来館Aa-008)

 

「生活環境化学の部屋」・「日本コンピュータ化学会」の本間善夫先生日本蛋白質構造データバンク(PDBj)の工藤高裕先生に続き、インタビューは今回で3回目です。それではお話をどうぞ!

どういう団体ですか?

京都大学物質-細胞統合システム拠点(iCeMS=アイセムス)は、世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)に採択された研究拠点の1つです。物理学、化学、細胞生物学など多様な分野の研究者が集い、一緒に融合的な研究をしている拠点です。山中伸弥先生で有名になったiPS細胞研究所(CiRA=サイラ)はiCeMSの姉妹研究所です。今の拠点長は多孔性配位高分子(porous coordination polymers、PCP)でお馴染みの北川進先生が務めています。

iCeMSとしてアゴラへ出展するのは今回が初となります。iCeMSが取り組んでいる研究テーマは多様なので、今回のブースでは、テーマを幹細胞研究に絞っています。

 

会場では何が見どころですか?

いわゆる「見どころ」は用意していません。何かを見せる、伝えるためだけのブース展示ではありません。

今回は来場者の方に、科学に関する(今回は細胞生物学や再生医療など)素直な意見やアイデアを私たちのブースに残して行ってもらおうという企画です。

(*会場でみなさんからいただいたアイデアは、特設Facebookページでご覧いたけるようにしています。)

 

具体的にブースでしようと思っていることは、

  1. 神経細胞をキャラ化したフィギュアを作ってもらう。(これまでに高校生向けの実験教室で使ってきた「すごろく」教材のかわいいところにふれてもらう)
  2. フィギュアを作りながら、もしも質問されれば、幹細胞や再生医療、iCeMSでの研究について答える。
  3. 最後に「イノベ川柳」を詠んでもらう。

です。

 

2013年3月に実施された科学・技術フェスタに出展した際にもPCPやiPS細胞をテーマに同じような企画を行い、おもしろい意見をいただきました。あえていうならば、来場者のみなさんが残してくださる「作品」が今後の研究に生かされていく様子を「見どころ」にしたいと考えています。

iCeMS2.jpg

 

ケムステについて思っていることや気になることがあればひとつお話しください。

まず、どういった層を対象に作っているサイトなのでしょうか?

(※注:後日別の記事で回答させていただきたいと思います。)

研究者が、小・中・高校生に科学を伝える機会を得た際に使えるような素材集やポータルサイトがあればいいなと考えています。例えば、幹細胞研究に関する海外の事例としてはCalifornia Institute for Regenerative Medicine (CIRM)のサイトなどが充実しています。

 

サイエンスアゴラで気になる団体を他にひとつ教えてください。

個人的には、「宇宙100の謎」(日本科学未来館Aa-050)です。宇宙の謎について、研究者目線で質問と回答が語られるのではなくて、一般の方からの謎や疑問、例えば「宇宙人は存在するのか」といった質問を募集して研究者が答えるという活動を行っているのだそうです。ボトムアップ型が新鮮だなと思いました。

 

以前、アメリカ科学振興協会(AAAS)の年次大会に出席したのですが、その中で実施されていた家族向けイベント「ファミリー・サイエンス・デー」のブース展示の仕方が新鮮でし。そこでの多くのブースは、パネルなどの文字が極端に少なく、とにかく遊ばせてもらえる、というものでした。立ち寄った人が何も聞かなければ遊んで終わり、質問があれば答えてもらうことができます。研究者が一方的に話しかけてくると近づきにくい印象を受けますが、遊んでもらってから話すスタイルなら、より活発に質問や意見を出しやすくなると思います。

今までにない来場者との交流の仕方、科学の共有の仕方がもっと採用されたら良いのにと思っています。

 

水町先生、インタビューにご協力いただきありがとうございました。当日もよろしくお願いします。

今年のサイエンスアゴラではiCeMSをはじめWPIに採択されている9拠点が揃って出展するそうです。興味をもたれた方はぜひ、ケムステブースとあわせて足を運んで遊んでみてください!

 

関連書籍

[amazonjs asin=”4044052050″ locale=”JP” title=”宇宙100の謎 (角川ソフィア文庫)”][amazonjs asin=”4808309564″ locale=”JP” title=”宇宙100の謎 2″]
Avatar photo

GEN

投稿者の記事一覧

大学JK->国研研究者。材料作ったり卓上CNCミリングマシンで器具作ったり装置カスタマイズしたり共働ロボットで遊んだりしています。ピース写真付インタビューが化学の高校教科書に掲載されました。

関連記事

  1. 徹底的に電子不足化した有機π共役分子 ~高機能n型有機半導体材料…
  2. 2024年ノーベル化学賞ケムステ予想当選者発表!
  3. アメリカの大学院で受ける授業
  4. 結晶世界のウェイトリフティング
  5. キムワイプLINEスタンプを使ってみよう!
  6. 【9月開催】 【第二期 マツモトファインケミカル技術セミナー開催…
  7. 高い発光性を示すヘリセンの迅速的合成
  8. アステラス病態代謝研究会 2019年度助成募集

注目情報

ピックアップ記事

  1. 第47回ケムステVシンポ「マイクロフローケミストリー」を開催します!
  2. ホウ素アート錯体の1,2-メタレート転位 1,2-Metallate Rearrangement
  3. 元素のふるさと図鑑
  4. タングトリンの触媒的不斉全合成
  5. 危険物取扱者試験の乙種全類 磐田農高生6人が合格
  6. とある化学者の海外研究生活:アメリカ就職編
  7. 武田薬品、糖尿病薬「アクトス」に抗炎症作用報告
  8. エレクトライド:大量生産に道--セメント原料から次世代ディスプレーの材料
  9. シグマトロピー転位によるキラルα-アリールカルボニルの合成法
  10. 佐藤 一彦 Kazuhiko Sato

関連商品

ケムステYoutube

ケムステSlack

月別アーカイブ

2013年11月
 123
45678910
11121314151617
18192021222324
252627282930  

注目情報

最新記事

有馬温泉で鉄イオン水溶液について学んできた【化学者が行く温泉巡りの旅】

有馬温泉の金泉は、塩化物濃度と鉄濃度が日本の温泉の中で最も高い温泉で、黄褐色を呈する温泉です。この記…

HPLCをPATツールに変換!オンラインHPLCシステム:DirectInject-LC

これまでの自動サンプリング技術多くの製薬・化学メーカーはその生産性向上のため、有…

MEDCHEM NEWS 34-4 号「新しいモダリティとして注目を浴びる分解創薬」

日本薬学会 医薬化学部会の部会誌 MEDCHEM NEWS より、新たにオープン…

圧力に依存して還元反応が進行!~シクロファン構造を活用した新機能~

第686回のスポットライトリサーチは、北海道大学大学院理学研究院化学部門 有機化学第一研究室(鈴木孝…

第58回Vシンポ「天然物フィロソフィ2」を開催します!

第58回ケムステVシンポジウムの開催告知をさせて頂きます!今回のVシンポは、コロナ蔓延の年202…

第76回「目指すは生涯現役!ロマンを追い求めて」櫛田 創 助教

第76回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第75回「デジタル技術は化学研究を革新できるのか?」熊田佳菜子 主任研究員

第75回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第74回「理想的な医薬品原薬の製造法を目指して」細谷 昌弘 サブグループ長

第74回目の研究者インタビューは、第56回ケムステVシンポ「デバイスとともに進化する未来の化学」の講…

第57回ケムステVシンポ「祝ノーベル化学賞!金属有機構造体–MOF」を開催します!

第57回ケムステVシンポは、北川 進 先生らの2025年ノーベル化学賞受賞を記念して…

櫛田 創 Soh Kushida

櫛田 創(くしだそう)は日本の化学者である。筑波大学 数理物質系 物質工学域・助教。専門は物理化学、…

実験器具・用品を試してみたシリーズ

スポットライトリサーチムービー

PAGE TOP