[スポンサーリンク]

odos 有機反応データベース

辻・トロスト反応 Tsuji-Trost Reaction

[スポンサーリンク]

 

概要

アリルアルコールから誘導されるアリルハライド/エステル/カーボネート/ホスホネートなどを基質とし、パラジウム(0)触媒存在下、さまざまな求核剤を置換反応により導入できる。通称Allylic
Alkylation。

基質の適用範囲が広く、穏和な条件で炭素ー炭素結合が合成できる極めて有用な方法である。

モリブデン、イリジウムなどの金属触媒も類似の反応を進行させるが、こちらは内部炭素で置換が起こり、多置換生成物を与える。

tsuji_trost_7.gif

基本文献

  • Tsuji, J.; Takahashi, H.; Morikawa, M. Tetrahedron. Lett. 1965, 4387. doi:10.1016/S0040-4039(00)71674-1
  • Trost, B. M.; Fullerton, T. J. J. Am. Chem. Soc. 197395, 292. DOI: 10.1021/ja00782a080
  • Tsuji, J.; Shimizu, I.; Minami, I.; Ohashi, Y.; Sugiura, T.; Takahashi, K. J. Org. Chem. 1985, 50, 1523. DOI: 10.1021/jo00209a032
  • Frost, C. G.; Howarth, J.; Williams, J. M. J. Tetrahedron: Asymmetry 1992, 3, 1089. doi:10.1016/S0957-4166(00)82091-1
  • 辻二郎, 有機合成化学協会誌 1999, 57, 1036.

 

反応機構

まずパラジウム(0)に基質が酸化的付加し、π-(η3)-アリルパラジウム中間体を形成する。その後、パラジウムの逆面から求核剤が攻撃し、生成物が得られる。アリル位においては、通常不活性なエステルやカーボネートでも酸化的付加は容易に起きる。これは酸化的付加の前段階において、配位可能なオレフィンが近傍に存在するためである。

通常は酸化的付加および求核攻撃とも立体反転で進行するため、全体として二重反転、すなわち立体保持の生成物を与える。

しかしながらハード性の高い求核剤を用いた場合には、Pd上へのトランスメタル化→還元的脱離の経路で進行し、求核付加の段階が立体保持になる。この場合は全体として立体反転する。この場合にはリン配位子を加えずに反応を行うことが重要である。

置換は通常最も置換基(立体障害)の少ない炭素上で起こる。
tsuji_trost_2.gif
π-アリルパラジウムはσ-(η1)-アリルパラジウムを経由してcis/trans異性化する。この異性化速度は求核付加よりも速く、生成してくるオレフィンの立体化学に留意する必要がある。(環状アリルアルコールの場合にはこの異性化は起こらないので、基質としては比較的扱いやすい。)
tsuji_trost_3.gif

反応例

Baseを共存させておく事で、分枝型成績体を選択的に得る事が可能。[1] tsuji_trost_9.gif
Sordarinの合成[2]:分子内辻-Trost反応を用いるVicinal四級炭素の構築。
tsuji_trost_4.gif
Marcfortine B の合成[3]:トリメチレンメタン等価体をPd触媒によって発生させ、[3+2]付加を行っている。
tsuji_trost_5.gif

実験手順

 

実験のコツ・テクニック

 

参考文献

[1] Dubovyk, I.; Watson, I. D. G.; Yudin, A. K. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 14172. DOI: 10.1021/ja076659n 

[2] Chiba, Y.; Kitamura, M.; Narasaka, K. J. Am. Chem. Soc. 2006, 128, 6931. DOI: 10.1021/ja060408h

[3] Trost, B. M.; Cramer, N.; Bernsmann, H. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 3086. DOI: 10.1021/ja070142u

 

関連反応

 

関連書籍

 

外部リンク

The following two tabs change content below.
Hiro

Hiro

Hiro

最新記事 by Hiro (全て見る)

関連記事

  1. デヒドロアラニン選択的タンパク質修飾反応 Dha-Selecti…
  2. ネバー転位 Neber Rearrangement
  3. フォルスター・デッカー アミン合成 Forster-Decker…
  4. 福山アミン合成 Fukuyama Amine Synthesis…
  5. パール・クノール フラン合成 Paal-Knorr Furan …
  6. N-カルバモイル化-脱アルキル化 N-carbamoylatio…
  7. フィッシャー インドール合成 Fischer Indole Sy…
  8. ネフ反応 Nef Reaction

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. 2009アジアサイエンスキャンプ・参加者募集中!
  2. 「ドイツ大学論」 ~近代大学の根本思想とは~
  3. 基礎有機化学討論会開催中
  4. グラーメ・モード Graeme Moad
  5. 【追悼企画】水銀そして甘み、ガンへー合成化学、創薬化学への展開ー
  6. クノール ピロール合成 Knorr Pyrrole Synthesis
  7. イタリアに医薬品販売会社を設立 エーザイ
  8. ノーベル化学賞明日発表
  9. 有機反応を俯瞰する ー芳香族求電子置換反応 その 2
  10. 2007年度ノーベル化学賞を予想!(5)

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

ヒドロゲルの新たな力学強度・温度応答性制御法

第230回のスポットライトリサーチは、東京農工大学大学院工学府(村岡研究室)・石田敦也さんにお願い致…

光誘導アシルラジカルのミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応

可視光照射条件下でのアジン類のミニスキ型ヒドロキシアルキル化反応が開発された。官能基許容性が高いため…

イオン交換が分子間電荷移動を駆動する協奏的現象の発見

第229回のスポットライトリサーチは、東京大学大学院 新領域創成科学研究科(竹谷・岡本研究室)・山下…

化学産業における規格の意義

普段、実験で使う溶媒には、試薬特級や試薬一級といった”グレード”が記載されている。一般的には、特級の…

特許資産規模ランキング2019、トップ3は富士フイルム、三菱ケミカル、住友化学

株式会社パテント・リザルトは、独自に分類した「化学」業界の企業を対象に、各社が保有する特許資産を質と…

TQ: TriQuinoline

第228回のスポットライトリサーチは、足立 慎弥さんにお願い致しました。シンプルながらこれま…

Chem-Station Twitter

PAGE TOP