[スポンサーリンク]

世界の化学者データベース

グレッグ・ウィンター Gregory P. Winter

グレゴリー・ポール・ウィンター (Sir Gregory Paul Winter、1951年4月14日(Leicester, イギリス生)-)は、イギリスの生化学者である。MRC分子生物学研究所 所長(写真:Cambridge Innovation Capital)2018年度ノーベル化学賞受賞

経歴

1973 ケンブリッジ大学トリニティカレッジ 卒業
1976 ケンブリッジ大学 博士号取得
19xx インペリアルカレッジ 博士研究員
19xx ケンブリッジ大学遺伝学研究所 博士研究員
1981 MRC分子生物学研究所 プログラムリーダー
1994-2006 Joint Head of PNAC division
2006-2011 LMB Deputy Director
1990-2010 CPE Deputy Director  

受賞歴

1994 Scheele Award
1995 King Faisal International Prize
1999 William B. Coley Award
2004 ナイトの称号
2011 Royal Medal
2013 MRC Millennium Medal
2018 ノーベル化学賞

研究概要

ヒト化モノクローナル抗体作成法の開発

1970年代にCésar MilsteinとGeorges Köhlerによって齧歯類からモノクローナル抗体を得る手法が開発され、抗体医薬の原型が出来上がった。しかしながら齧歯類モノクローナル抗体は免疫応答によってヒト体内から速やかに排除されてしまうため、医薬として用いることは困難であった。

1980年代中盤、Winterはタンパク質工学の手法を用い、齧歯類から得られたモノクローナル抗体の一次配列をヒトのものに変換し、この免疫応答を回避することを成し遂げた。この基盤技術は現在65%以上の市販抗体医薬に対して用いられている。例えば乳がん治療薬ハーセプチン、大腸がん治療薬アバスチン、リウマチ関節炎治療薬ヒュミラなどはその典型である。

ファージディスプレイ法による抗体医薬開発

1980年代後半、ファージディスプレイ法によって得られる抗体フラグメントライブラリ選択法を開発した。本技術によりCambridge Antibody Technology社を立ち上げる。

化学架橋型ファージディスプレイ法による環状ペプチド医薬の探索

システイン架橋法によるbicyclicペプチド合成法をファージディスプレイと組み合わせることで、化学修飾型エンコードライブラリを組み上げ、中分子医薬品の迅速探索系を提案した[2]。この技術に基づき、Bicycle Therapeutics社を設立した。

関連動画

コメント&その他

  1. 開発した独自技術に基づき、3つのベンチャー企業の立ち上げを行う。Cambridge Antibody Technology (1989, アストラゼネカに買収)、Domantis (2000, GSKに買収)、Bicycle Therapeutics (2009)。

参考文献

  1. ”Replacing the complementarity-determining regions in a human antibody with those from a mouse.” Jones, P. T.; Dear, P. H.; Foote, J.; Neuberger, M. S.: Winter, G. Nature 1986, 321, 522. doi:10.1038/321522a0
  2. “Reshaping human antibodies for therapy” Riechmann, L.; Clark, M.; Waldmann, H.; Winter, G. Nature 1988, 332, 323. doi:10.1038/332323a0
  3. “Phage antibodies: filamentous phage displaying antibody variable domains” McCafferty, J.; Griffiths, A. D.; Winter, G.; Chiswell, D. J. Nature 1990, 348, 552. doi:10.1038/348552a0
  4. “Phage-encoded combinatorial chemical libraries based on bicyclic peptides” Heinins, C.; Rutherford, T.; Freund, S.; Winter, G. Nat. Chem. Biol. 2009, 5, 502. doi:10.1038/nchembio.184
  5. “Sir Greg Winter—humaniser of antibodies” Lancet 2006, 368, 550.

関連リンク

The following two tabs change content below.
cosine

cosine

博士(薬学)。Chem-Station副代表。現在国立大学教員として勤務中。専門は有機合成化学、主に触媒開発研究。 関心ある学問領域は三つ。すなわち、世界を創造する化学、世界を拡張させる情報科学、世界を世界たらしめる認知科学。 素晴らしければ何でも良い。どうでも良いことは心底どうでも良い。興味・趣味は様々だが、そのほとんどがメジャー地位を獲得してなさそうなのは仕様。

関連記事

  1. リチャード・ラーナー Richard Lerner
  2. 岡本佳男 Yoshio Okamoto
  3. ルーベン・マーティン Ruben Martin
  4. 高知和夫 J. K. Kochi
  5. ベンジャミン・リスト Benjamin List
  6. 稲垣伸二 Shinji Inagaki
  7. 井口 洋夫 Hiroo Inokuchi
  8. ジン=クアン・ユー Jin-Quan Yu

コメント、感想はこちらへ

注目情報

ピックアップ記事

  1. SciFinder Future Leaders in Chemistry参加のススメ
  2. 化学のうた
  3. 田辺製薬、エイズ関連治療薬「バリキサ錠450mg」を発売
  4. 第32回生体分子科学討論会 
  5. START your chemi-storyー日産化学工業会社説明会
  6. 3Mとはどんな会社?
  7. 第三回 ナノレベルのものづくり研究 – James Tour教授
  8. 使い方次第で猛毒、薬に
  9. ヘテロベンザイン
  10. 元素周期表:文科省の無料配布用、思わぬ人気 10万枚増刷、100円で販売

関連商品

注目情報

注目情報

最新記事

酵母菌に小さなソーラーパネル

Harvard大学のNeel S. Joshi教授らは、光合成を行わない微生物に光増感剤を担持するこ…

有機合成反応で乳がん手術を改革

理化学研究所(理研)、大阪大学、カザン大学の国際共同研究グループは、乳がんの手術中に摘出した組織で有…

有機合成化学協会誌2018年12月号:シアリダーゼ・Brook転位・末端選択的酸化・キサンテン・ヨウ素反応剤・ニッケル触媒・Edoxaban中間体・逆電子要請型[4+2]環化付加

有機合成化学協会が発行する有機合成化学協会誌、2018年12月号がオンライン公開されました。…

Googleの面接で話した自分の研究内容が勝手に特許出願された

This is what happened when I went to visit a giant…

信頼度の高い合成反応を学ぶ:Science of Synthesis(SoS)

今回はScience of Synthesis(SoS)という合成化学のオンラインデータベースを紹介…

ホイスラー合金を用いる新規触媒の発見と特性調節

第174回目のスポットライトリサーチは、東北大学 学際科学フロンティア研究所・小嶋隆幸 助教にお願い…

PAGE TOP